Nintendo Switchのスティックが勝手に動く“Joy-Conドリフト”を巡る米国の集団訴訟、裁判所が和解を勧告


Nintendo Switch用コントローラーであるJoy-Conを巡り、2019年7月にアメリカで提起されていた集団訴訟について、裁判所が和解を勧告していたことが明らかになった。

本件は、いわゆる“Joy-Conドリフト”への対応を求めるクラスアクション制度に基づく集団訴訟である。Joy-Conドリフトとは、アナログスティックに触れていないのに勝手にスティック操作がおこなわれる、以下の映像のような現象のこと。日本ではさまざまな呼び方がなされているようだが、海外では補正画面などで入力ポインターがDrift(漂流)しているとしてそう名付けられた。

Joy-Conドリフトが発生する原因についてはさまざまな見方があるものの、いずれにせよアナログスティックの内部パーツに何らかの不具合が起こっていることは間違いなさそうだ。そして、これが製品としての欠陥に当たるかどうかが訴訟における争点のひとつとされていた。

原告のRyan Diaz氏側は、Joy-Conドリフトのような問題については発売前のテストにて認識できたはずであり、米国任天堂はそれを消費者に知らせることなく宣伝・販売を続けてきたと主張。そして集団訴訟の代表として、同社に対して違法かつ不公正な商慣習を一時的または恒久的に禁じることや、Joy-Conのリコールや無料交換プログラムの実施、懲罰的なものを含む損害賠償や訴訟費用の支払いなどを命じるよう裁判所に訴えていた(関連記事)。

その後、任天堂はNintendo Switch Liteを発売。こちらの本体に搭載されたアナログスティックでも“ドリフト”が発生するとのユーザーからの報告があり、2019年10月にはNintendo Switch Liteも対象製品として同訴訟に追加されている。そして、一方の米国任天堂側はというと、訴えの棄却もしくは仲裁を裁判所に求めていた。

ワシントン州西部地区連邦地方裁判所は3月2日、米国任天堂の求めのうち、集団訴訟の棄却について却下したうえで、和解に向けた仲裁手続をとるよう勧告した(Top Class Actions)。これにより、両者は仲裁人を加えて和解手続を進め、和解締結から14日以内もしくは2020年12月31日までのいずれか早い方を締め切りとして、共同でステータスレポートを提出することになる。なお今回の集団訴訟については、この和解の締結を見るまでは一旦保留されるとのことだ。

Joy-Conドリフトを巡るこの集団訴訟が提起された直後には、米国任天堂が関連する不具合の修理を、保証期間内か否かに関わらず一律無料でおこなうよう、米国でのサポート対応を変化させていることが報じられていた(関連記事)。おそらくこうした点も考慮した上で、和解締結に向けた協議がおこなわれることだろう。

なお、日本を含め米国以外の国でのJoy-Conの修理は、保証期間を過ぎている場合は依然として有償である。日本では、Joy-Con1本あたり2200円(税込)と参考価格が案内されている。