配信開始された大麻栽培・販売シム『Weedcraft Inc』、YouTubeやFacebookでの宣伝がブロックされる


Devolver Digitalは4月11日、『Weedcraft Inc』をSteam/GOG.com向けに配信開始した。価格は2050円で、4月19日までは15%オフの1742円で購入できる。『Weedcraft Inc』は、ポーランドのスタジオVile Monarchが開発する、大麻栽培・販売シミュレーションゲーム。嗜好用大麻の合法化が進む米国を舞台に、成長産業となりつつある大麻市場に参入した事業主として、マリファナの生産・販売業務のマネジメントをおこなう。交配により他では手に入らない品種を育てて差別化を図ったり、スタッフを増員したりと、ビジネスとして経営しながら事業を成長させていく(関連記事)。

大麻をテーマとしているように、なかなかインモラルなコンセプトのゲームとなっているが、どうやらDevolver Digitalは本作のプロモーション面で苦しんでいるようだ。Gameindustry.bizArs Technicaが、その詳細を報じている。同社のPR担当者であるStephanie Tinsley Fitzwilliam氏はツイッターにて、『Weedcraft Inc』の動画がYouTubeおよびFacebookでブロックされていると明かした。同氏がGamesindustry.bizに語るところによると、YouTubeにおいてはコンテンツクリエイターの収益化が「不適切なコンテンツ」として差し止められているほか、Facebookについてはゲームのページが制限されており「いいね!」しているユーザー以外には宣伝できない状態であるという。

『Weedcraft Inc』の世界では、大麻は合法化されており、ゲーム内で違法ドラッグや暴力描写が存在するわけでもない。にもかかわらずこうした処分を受けたことについて、Fitzwilliam氏は銃乱射ゲームや殺人ゲームの広告が可能であるとあげつらいながら、皮肉をまじえて不満を述べている。同様の投稿は、Devolver Digital公式Twitterアカウントでも確認できる。同アカウントは、収益化が実現しないにもかかわらず、ゲームの実況を続けている投稿者に、感謝の意を告げている。なお、アメリカでは連邦法レベルでは現在大麻は所持および仕様が禁止されている一方で、州法レベルでは33州にて医療用大麻が、10州にて嗜好用大麻が合法化済みである。

Facebookの宣伝については、違法薬物や娯楽のための麻薬のプロモーションを許可しないというガイドラインに沿って、広告宣伝が禁止されているという。Facebookの広告ポリシーページでは、「広告で違法薬物、処方薬、娯楽のための麻薬などの販売や使用を宣伝してはいけません」と記載されており、これに基づいた判断なのだろう。そしてYouTubeの広告ガイドラインもまた、有害で危険なコンテンツに関するポリシーを明示している。「違法薬物、規制対象の指定薬物や物質、その他の危険な商品の販売、使用、乱用を取りあげるか、または助長する動画」を禁止している一方で、「教育、ドキュメンタリー、芸術目的で薬物や危険物質について論じている動画については、それらの使用や乱用が描写または賞賛されていない限り、通常は広告掲載に適しています」とも記載されている。大麻が規制薬物であるかは国および州レベルで判断が変わると思われるが、『Weedcraft Inc』は大麻事業の経営としての一面に焦点を当てているとはいえ、「それらの使用や乱用が描写または賞賛」されていると捉え得ることから、広告掲載は難しいのかもしれない。

いずれにせよ、『Weedcraft Inc』はYouTubeやFacebook(Instagram含む)では積極的に宣伝できない状態にあるという。Devolver Digitalは同作の配信が許可されているTwitchにてゲームを実況しているものの、プラットフォームの制限によりインフルエンサーたちの後押しを思うように得られていないのが現状であるようだ。Devolver Digitalは以前にも『Gris』のローンチトレイラーの広告がFacebookでブロックされるという事例があった。最終的にそちらは『Gris』の問題ではなく、関連して表示される『SCUM』や『Genital Jousting』といったDevolver Digitalのセクシャル表現のあるゲームの広告が原因だとされていた(関連記事)。本作のブロックの原因は、コンテンツのコンセプトの根幹にあるもの。FacebookやYouTubeだけに限られた問題ではないだろう。コンソール展開なども含めて、今後もなにかしら制約を受ける可能性もありそうだ。