米任天堂、公式サイトにてユーザーが投稿できる「ゲームレビュー欄」を設置するも、数日で削除

Image Credit : WiiUBricker

ニンテンドー・オブ・アメリカは、2月25日より公式サイトにて設けていたユーザーが投稿できるゲームレビュー欄を取り下げた。このレビュー欄は、『スーパーマリオ オデッセイ』や『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』といった一部タイトルのページに限り設置されていた。自由記述も可能であるが、誰にでも投稿できるというわけではなく、ニンテンドーアカウントを所持しており、2時間以上プレイしたユーザーのみが5段階にてゲームを評価できるシステムが導入されていたという(Engadget日本語版)。

しかしそうしたユーザーレビュー欄が、現地時間2月28日に削除されたことを複数メディアが報じている。運用開始より約4日後という短期間での削除となった。米任天堂は公式サイトにて「ユーザーレビューは、我々がその特徴や機能について判断した結果、取りやめることにしました。現在のところ、この続報をお伝えする日時などは未定です。我々のゲームに素敵なレビューを投稿してくださったユーザーとポジティブな反応に深く感謝しています。」と記述している。

一般的にレビュー欄が取り下げられるとなると、レビューが機能しなくなったり、無法地帯になってしまったのではないかと予想する人も多いだろう。しかし今回のレビューシステムは米任天堂が「ポジティブな反応」と述べるようにうまく機能していたように見える。というのも、前述したようにニンテンドーアカウントの所持が必須で、プレイ時間が2時間以上という縛りがあるがゆえに、購入し遊んだユーザーのみが評価できるシステムであった。つまりレビューの質は、一定以上担保されていたわけだ。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のレビューの推移も、星5および4が多く、その中に星3が混じる程度、レビューは短文が多いがシンプルでそれほどおかしな点もなかった。

投稿画面 Image Credit : Ars Technica

それではなぜレビュー欄は取り下げられたのだろうか。KotakuおよびPolygonの問い合わせに応じたニンテンドー・オブ・アメリカは、公式サイトに記述された説明と同様の内容の回答を提示しつつ、「トライアルに熱心に協力していただき感謝しています。」と付け加えている。つまり、レビューシステム自体が試験的導入であったと説明している。取り下げの説明としては要領を得ていないものの、最初から試験的な意義が強かったと強調しているとも解釈できるだろう。

オンラインプラットフォームのストアレビューといえば、Steamはレビューシステムが充実している。運営するValveはレビューシステムの開発に熱心であり、さまざまな角度から精査し、より参考になるレビューをユーザーに届けようとしている。マイクロソフトはValveほど熱心ではないものの、ストアにて購入したユーザーを対象とした自由記述が可能なレビューを開放中。GoogleやAppleも、アプリをダウンロードしたユーザー向けの自由記述ありのレビューシステムを開放している。

2時間以上遊んでいなければ投稿することができない。 Image Credit : Ars Technica

一方ソニー・インタラクティブエンタテインメントと任天堂は、レビューシステムに対しては慎重であり、ニンテンドーeショップ・PlayStation Storeともに5段階評価による自由記述なしのレビュー形式を採用している。レビューは購買意欲を促進するポテンシャルがある一方で、モラルなきユーザーの投稿であふれればプラットフォームのイメージを低下につながる。運用に特に注意が必要なコンテンツだろう。

そういった意味でも、任天堂は特にレビューの運用に気を配っていると考えられる。荒れ模様がなかったものの、それでも今回導入したレビューシステムは、任天堂の求める高い水準を満たさなかったのかもしれない。もしくはすでに求めていたデータを採集やテスト運用を終えたという可能性もあるだろう。アメリカで試験的に始まったこのシステムがまだ試験的な段階である以上、日本を含んだ全世界向けの導入にはもう少し時間がかかりそうだ。

【UPDATE 2018/3/1 12:40】
本文の結論に関する記述を修正しました。