ニンテンドースイッチの販売台数が正式にWii U越え。発売10か月で、4年3か月をかけて積み上げられた記録を超えていく

 

任天堂は本日1月31日に「2018年3月期 第3四半期 決算参考資料」を掲載し、ゲーム専用機販売実績資料を更新した。同ページにはこれまで販売された歴代任天堂ハードの販売台数が掲載されている。2017年末時点でのNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)の販売台数は1,486万台。前世代機であるWii Uは1,356万台となっており、ニンテンドースイッチがWii Uを上回ったことが公式に確定した。

任天堂公式ホームページより

ニンテンドースイッチが発売されたのは2017年3月3日であるので、発売から約10か月を経てWii Uを超えたことになる。一方でWii Uが発売されたのは2012年11月18日(アメリカ向け)。5年をかけて積み上げた販売台数を10か月で超えていったと考えればなかなかインパクトがある。

とはいえ、Wii Uはすでに生産停止されており販売されていない時期もある。Wii Uが販売停止されたのは発売から51か月(4年3か月)後。5年まるまる販売が続けられたわけではないので、4年3か月販売されてきた記録を10か月で超えていったと表現する方が適切かもしれない。Wii Uが1,000万台の到達に要したのは31か月(2年半強)であり、その後約2年を経て積み上げたのは350万台。初動自体もさることながら、ハードウェア熟成機においても思ったように市場形成ができなかった側面をのぞかせる。販売台数においては大きくは成功できなかったとされているニンテンドーゲームキューブでも2,174万台販売されているので、1,500万台の壁を超えられなかったWii Uの停滞と苦悩を感じさせる。なお、ソフトの販売本数に関しては、まだWii Uがニンテンドースイッチをダブルスコアで上回っており、この点は強さを感じさせる。

任天堂公式ホームページより

またニンテンドースイッチユーザーとWii Uユーザーがあまり被っていないと推測できる資料も出てきている。代表的なのは『マリオカート8 デラックス』の販売本数だろう。ニンテンドースイッチ向け『マリオカート8 デラックス』の世界累計販売台数は733万本。Wii U版『マリオカート8』の840万本には及ばないものの、将来的に上回ることが予想される。『マリオカート8 デラックス』は『マリオカート8』にDLCや追加要素を搭載した完全版だ。完全版の販売本数がオリジナルに迫ることはそうそうなく、Wii Uで同作を遊んでいないユーザーのニーズを感じさせる。

また昨年9月に発売された『ポッ拳 POKKEN TOURNAMENT DX』は1月15日~1月21日のランキングにおいても依然として4300本を販売している(メディアクリエイト調べ)。同作も『マリオカート8デラックス』に近い完全版だ。任天堂よりデータが公開されていないのではっきりしたことはいえないが、長く売れ続けているという点はWii U版とは異なるユーザーが購入していることを感じさせるだろう。

そのほかインディーゲームでも例をあげられる。ニンテンドースイッチ版は『Shovel Knight』がほかのプラットフォームを上回ったことが報告されている(GamesIndustry)。ここにはもちろんWii Uも含まれている。同作はWii U版は任天堂のサポートを受けたタイトルであるが、ニンテンドースイッチ版が売れており、Wii U版とは異なるユーザーが購入していることを感じさせる。任天堂もまた、Wii Uで発売された『ドンキーコング トロピカルフリーズ』をニンテンドースイッチ向けに5月3日に発売することからもわかるように、Wii Uタイトルの移植はマーケット的にも需要がありそうだ。

『マリオカート8 デラックス』

Wii Uを愛したユーザーにとっては心苦しい話が出がちであるが、ニンテンドースイッチの好調さを支える主要ソフト『マリオカート8 デラックス』や『スプラトゥーン』はWii Uがなければ生み出されなかったタイトルでもある。米任天堂幹部も「ソフトのリリースペース」や「起動の速さ」はWii Uに学ぶものがあったと語っており(関連記事)、やはりWii Uのつまづきの多くがニンテンドースイッチに生かされているのだろう。

景気のいい話が続くニンテンドースイッチであるが、むしろ発売10か月後が重要になる側面もある。スタートダッシュを達成したニンテンドースイッチは、WiiとPlayStation 4とほぼ同ペースで売れている。両ハードは10か月経過後も勢いを維持もしくは増しており、最終的に長期的な大成功を収めた(関連記事)。ホリデーシーズンが終わった1月もしくは2月の売り上げは、ニンテンドースイッチが今後どのような足跡をたどるかを予想する上で、ヒントになるかもしれない。


国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)