『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のラストにおける展開が、日本語版と英語版で少し異なっていることを、ローカライズを検証するサイトLegends of Localizationを運営するClyde Mandelin氏が指摘している。この先の内容には『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のラストについてのネタバレが含まれているので、読み進める方は十分気をつけてほしい。
今回議論されているのはラスボスと対峙するシーンだ。日本語版でのゼルダは巨大な魔獣ガノンについて「復活を諦めない妄念から暴走した姿」と解説している。一方英語版ではガノンについてゼルダは「彼は復活を諦め、純粋に憤慨した姿になった」とコメントしている。主人公であるリンクは最終的にこのガノンを倒して地に平和をもたらすのだが、日本語のニュアンスならばガノンが将来的に復活しするという含みがあり、英語のテキストではガノンは復活する見込みがないということになる。ただ、Mandelin氏は日本語版について「復活を諦めない暴走したガノン」を倒すことによりガノンがもう復活しないことを示唆しているのではないかとも語っている。
どういったニュアンスかという議論は分かれるものの、はっきりと意味合いが違うことは事実のようだ。日本の京都で開発されたゲームであるだけに、日本語のテキストが正しいように思える。ただどちらにせよ、ガノンが復活しないということはシリーズの歴史を見ても考えにくい。『スーパーマリオ』におけるクッパのように、『ゼルダの伝説』においてガノンは欠くことのできない悪役だ。日本語・英語のニュアンスが正しかったとしても、ガノンは間違いなく今後また登場すると考えられる。ある意味答えは出ているが、それでもコミュニティではこのテキストの差異についての話し合いは続いている。こうしたテキストのニュアンスが一文のニュアンスが違うだけで議論が発生するほど、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は世界中に愛されている作品なのだろう。