発売から19年、ドイツで初代『Half-Life』の無規制版が入手可能に。規制版では海兵隊がロボットにされるなど多数の修正

 

1998年に全世界でリリースされたValve SoftwareのFPS『Half-Life』。同作のドイツ語版は、敵として登場する海兵隊がなぜかロボットに変更されていたりと、人間に対する暴力表現の過度な規制で知られていた。オリジナルとは異なるバージョンの映画やコミック、ゲームに関する情報を発信するドイツのWebサイト「Schnittberichte.com」によれば、発売から19年の時を経て、ついにドイツで『Half-Life』の無規制版が入手可能になったという。

これはインデックスからドイツにおける規制版のエントリが削除されたもので、Valveはこれにより公式にドイツで無修正版をリリースできるようになるという。

ドイツ版の表現に怒ったユーザーが2008年に投稿した以下の映像は有名で、今回のニュースに際して多くのメディアが引用している。流血がいっさい出ないところからはじまり、死体が殴れず消滅したり、警備員や研究者などのNPCが殺せなかったり(気絶のような表現になっている)と、オリジナル版の表現とは大きく異なっている。また特に大きな変更として、前述のようにドイツ版では海兵隊がロボットに置きかえられているほか、天井に貼り付き触手で人間を喰らうバーナクルが、倒されたときになぜか人肉ではなくネジやバネを吐き出すことも有名となっている。

ドイツは特に暴力表現への厳しい規制で知られる国のひとつだ。流血や人体を損壊する表現はたびたび規制されることが多く、またラグドール(キャラクターが死亡したあとに物理演算に従って転がったり吹っ飛んだりすること)もカットされることが少なくない。ほかにも『Wolfenstein: The New Order』では、暴力表現とともに、ナチスのハーケンクロイツなどを意識させるマークはすべて修正されている。同国ではナチス関連のシンボルやコンテンツを含むような作品の販売に関与した場合、ドイツの刑法典に触れて罰金や懲役3年の刑に科せられる可能性がある。

※2014年5月に公開されたEurogamerによる『Wolfenstein: The New Order』のインターナショナル版とドイツ版の比較映像。鉤十字や暴力表現の変更など、同国のレーティングの厳しさがよくわかる作品となっている