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『ルーンスケープ:ドラゴンワイルズ』は“10万人の声”を反映したからサバイバルクラフトになった。長寿MMOシリーズ新作が急に「サバイバル」になった理由
9月15日にはバージョン1.0をリリース予定の『ルーンスケープ:ドラゴンワイルズ』。本作のエグゼクティブプロデューサーを務めるMod DutchことJesse America氏にインタビューを実施した。

弊社アクティブゲーミングメディアのパブリッシングブランドGraphは、Jagexが手がけるサバイバルクラフトゲーム『ルーンスケープ:ドラゴンワイルズ』をPC(Steam)向けに早期アクセス配信中だ。また、9月15日にはバージョン1.0をリリース予定だ。同時にPC(Epic Gamesストア)/Nintendo Switch 2/PS5/Xbox Series X|S版も展開される見込みで、クロスプラットフォームマルチプレイにも対応する。
今回弊誌はゲームの祭典「gamescom 2026」にて、開発元Jagexにてそんな本作のエグゼクティブプロデューサーを務めるMod DutchことJesse America氏にインタビューを実施した。Jagexが次の『RuneScape』作品としてMMOではなくサバイバルクラフトを選んだ理由や、プレイヤーからのフィードバックによってもたらされた変更などについて訊いた。

『RuneScape』はJagexが手がける、ファンタジー世界を舞台としたMMORPGだ。2001年より運営されており、その歴史は長い。また『Old School RuneScape』として、2007年バージョンの『RuneScape』を切り離したものも存在し、2作は個別にアップデートが続けられている。
America氏によれば、Jagexは、長年運営されているこの2つのMMORPGを超えて『RuneScape』を拡大できるゲームとはどのようなものか、何年にもわたって検討してきた。その答えは、直感だけで決められたものではなかったという。そんなスタジオをサバイバルジャンルへと導く一助となったのは、10万人のアクティブな『RuneScape』プレイヤーを対象に実施した調査だったようだ。

10万人のプレイヤーの声を反映した、攻めの「サバイバルゲーム化」
サバイバルクラフトゲームである『ドラゴンワイルズ』という方向性を固めるまで、JagexはアクションRPGのコンセプト、モバイル向けプロジェクト、移植など、新たな大型タイトルについて幅広い可能性を検討していた。America氏によると、COVID-19が流行した時期あたりから、サバイバルジャンルの魅力が増していったという。
というのも、『サブノーティカ』(2018年リリース)などの作品の盛り上がりによって、サバイバルゲームは必ずしもプレイヤー同士が競い合ったり、互いの拠点を襲撃したりするゲームである必要はない、との“気づき”を得たようだ。サバイバルゲームは、よりリラックスして楽しめる、居心地のよい体験にもなり得ることが示されたと振り返っている。

Jagexが、10万人のアクティブな『RuneScape』プレイヤーを対象に独自に行ったユーザー調査も、この方向性を裏付けたそうだ。既存の『RuneScape』プレイヤーが遊びたいジャンルとして、アクションRPG、ライフシミュレーション、サバイバルゲームはいずれも上位に入った。
「ほとんどの企業は、このような形で自分たちのユーザーにリーチすることができません。そのため、私たちがどこへ向かうべきかについて、非常に明確な方向性を得ることができました」とAmerica氏は語る。
またAmerica氏の言では、サバイバルクラフトは『RuneScape』のサンドボックス型のゲームデザインとも自然に馴染むものだったという。『RuneScape』のプレイヤーは自由であるかどうかを重視する傾向にあり、一般的に「何をすべきか」「どのように進めるべきか」について、行動を縛られたくないと望んでいるとのことだ。さらに新たなジャンルに挑むにあたっては、早期アクセスを通じて実験をおこなった。これはJagexがコミュニティとともにゲームを開発していくための現実的な道筋になったという。

こうしたフィードバックのプロセスは、開発期間を通して続いている。Jagexは大型アップデートのたびにプレイヤーへのアンケートを実施しており、何が好きか、何が嫌いか、何をさらに拡張してほしいかについて、数千人のプレイヤーから回答を得ている。これによりJagexはゲームを成長させ、コミュニティとの強い関係を築くことができているという。“10万人”規模のプレイヤーベースを活かしたフィードバックループが、本作の改善に大いに寄与しているようだ。
ジャンルは変わっても「『RuneScape』らしさ」を受け継ぐ
America氏によると、『ドラゴンワイルズ』の開発チームでは「RuneScape-ness(RuneScapeらしさ)」を内部的な基準として使用しているという。新しいコンテンツだとしても、「シリーズの一部」だと認識できるものでなければならず、世界設定ともつながっていなければならないとする思想だ。この考え方は、一般的なデザイン上の判断よりも優先される場合もある。そしてその“らしさ”を守るために、MMORPG版に携わってきたライターも、『ドラゴンワイルズ』にて作業に参加しているという。
アーティストはまず、『RuneScape』と『Old School RuneScape』の両方から、その地域に関連するクリーチャーや装備などを参考資料として集め、再解釈する。America氏によると、アートディレクターは、デザインが“SFの領域”に入り込みすぎた場合、それを引き戻す役割を担っているといい、チーム一丸となって、「RuneScapeらしさ」を保つためにあらゆる要素を注意深く見ているという。

とはいえ、『ドラゴンワイルズ』では『RuneScape』に関連するすべての要素が同じ優先度で扱われているわけではない。たとえばPvP要素は『RuneScape』においてはプレイヤー同士で実際にプレイヤーがPvPの小競り合いを行うこともあるうえ、荒野ではPKing(プレイヤーキル)などもしばしば発生する。しかしAmerica氏によれば、『ドラゴンワイルズ』ではPvPコンテンツはそのほかのコンテンツと比べて優先順位が低いという。そのため専用のシステムを構築せず、PvPをしたいプレイヤーが既存のツールを活用することで、ほかのプレイヤーと戦えるようにするかたちで実装している。あくまで『ドラゴンワイルズ』ではサバイバルクラフトという主軸を置きつつ、シリーズ作品らしさを保っているようだ。
サバイバルを支える魔法

魔法は、『ドラゴンワイルズ』が『RuneScape』のアイデアを新しいジャンルへ適応させていることがもっとも明確に表れている要素のひとつだ。プレイヤーは戦闘でスタッフやワンドを使用できるものの、America氏によると、ほとんどのスキルスペルは建築、探索、サバイバルを支援することを目的としている。
「本質的には、ひと揃いの道具なのです」と彼は説明する。「ゲームにスキルを追加するたびに、そのスキルと連動できるあらゆるスペルについて考えます」
各スキルはレベル99まで成長させることができ、その過程でパッシブ効果やパーク、スペルなどを習得できる。そのため、新たなスキルの追加は、アシェンフォールを探索する新たな手段を生み出すことにもつながる。America氏はその一例として「俊敏」を挙げた。『RuneScape』では長年、多くのプレイヤーから敬遠されてきたスキルだが、『ドラゴンワイルズ』ではより楽しめるものになっているとチームは考えているという。アビリティのひとつでは、あらかじめ地点を設定しておくことで、落下死した際にその場所へ戻ることができる。
Jagexは今後も、探索を容易にし、プレイヤーにより大きな自由を与える方向で魔法を発展させていく予定だ。America氏にとって重要なのは、単純な戦闘での有効性ではなく、スペルによって新しい可能性が開かれることを発見したときに生まれる喜びの感覚だという。
当初は“サプライズすぎて”MMORPGと勘違いされた

2025年4月にサプライズで開始された本作の早期アクセスは非常に大きな注目を集めた一方で、同時に問題も生んだ。Jagexが『ドラゴンワイルズ』を発表したのは発売のわずか約2週間前。America氏によると、一部のプレイヤーは本作が新たなMMORPGではなくサバイバルゲームだと理解しないままプレイを始めたという。
「MMOはどこにあるんだ?」と尋ねるプレイヤーもいたとAmerica氏は振り返る。そのほかにも、杖や幅広い種類の魔法など、『RuneScape』と強く結びついた要素が最初から存在することを期待していたプレイヤーもいたとのこと。
開発チームは『ドラゴンワイルズ』においては、早期アクセスを「コンテンツを段階的にリリース」したうえで、その内容をテストしつつ、プレイヤーからの意見に応じていくプロセスとして捉えていた。しかし昨今では、早期アクセス期間中ながら、すでにほぼ完成した状態で登場するタイトルも散見される。America氏によれば、そうした背景もあり、「早期アクセス」にユーザーが期待するものが変化しているとの見解を示している。『ドラゴンワイルズ』は早期アクセス開始時、“ほぼ完成”の状態にはなく、そうした点での認識違いもあったようだ。

そうして2025年4月の早期アクセス配信より1年以上が経過。America氏は、リリース当初の約20時間のゲーム体験から、現在では100時間を超えるコンテンツを備えたゲームへと成長したと見積もっている。さらにいよいよ登場するバージョン1.0では、最初の大きなストーリーにも結末が用意される。
America氏は本作のストーリーを、「サバイバルゲームとしてユニークな存在にしている要素のひとつ」と認識している。また「語るべき物語」には終わりが訪れるとし、その「次の物語」も準備中とのこと。さらなるストーリーの展開も期待できるようだ。
ドラゴンクイーンを倒した後の物語
バージョン1.0では、アシェンフォールを支配し、大陸各地へドラゴンを送り込んでいるドラゴンクイーン「クルドラ」をめぐる物語が完結する。しかし彼女を倒しても、この土地を取り巻く大きな謎がすべて解決するわけではない。
アシェンフォールは古代の魔法によってギエリノルのほかの地域からその存在を隠されており、そのため、ほかの『RuneScape』作品の地図には登場しない。America氏は今後のストーリーについて詳しく明かすことはできないとしながらも、長期的には、アシェンフォールの存在が徐々に外の世界に知られていくことになると語った。
America氏によれば本作は、アシェンフォールという大陸の存在が知られるようになり、世界から隠された場所ではなくなり、新たなフロンティアとして人々が入植できる土地になっていくまでを描く物語だという。数年にわたって展開し、やがて非常に大きな物語へと発展していくと、今後の展望についても語った。

『ドラゴンワイルズ』は『RuneScape』シリーズの“入り口”にぴったり
正式リリースでは『ドラゴンワイルズ』がコンソールにも登場するため、『RuneScape』シリーズに触れたことのないプレイヤーにもより広くアプローチできる可能性がある。America氏によると、意図的に本作をシリーズへの入り口として位置づけているものの、引用や設定説明を大量に用意し、新規プレイヤーを圧倒させてしまうようなことは望んでいないという。
『ドラゴンワイルズ』では、プレイヤーが最初に出会うNPCである老賢者はクエストを提示するが、それを無視することもできる。その代わり、ゲーム開始時の景色にはいくつもの視覚的な目標が提示される。頭上を飛ぶドラゴン、遠くに見えるゴブリンの砦、そして空に浮かぶクルドラの領域だ。より深く知りたいプレイヤーは、自分のペースで伝承についての本やクリーチャーの説明を発見することができるわけだ。
こうした取り組みもあってか、すでに『ドラゴンワイルズ』をきっかけに『RuneScape』を知り、その後シリーズのほかのゲームもプレイするようになったというプレイヤーからの報告も寄せられているそうだ。

このような「入り口」としての役割は、特に日本でより効果的にはたらく可能性がある。というのも、日本では一部の欧米市場ほど『RuneScape』の歴史やノスタルジーは根付いていない。America氏は本作を「特定の層に支持されるクラフトビール」になぞらえている。つまり、「イギリスならではのファンタジー解釈」という日本でなじみの薄いものを、そのまま提供できる作品という位置付けだ。America氏は本作/本シリーズに根付く「ファンタジーの見方」について、おそらく日本のプレイヤーにとっては、ちょっと奇妙で興味深いものになるだろうとの考えを述べている。
「正式リリース後」の展望

そしてJagexは9月15日に『ドラゴンワイルズ』を正式リリースした後、マルチプレイ体験の拡張も計画している。現在『ドラゴンワイルズ』では、進行システムを変更したり、プレイヤー上限数を増やしたりするものを含め、Modを使用できる。America氏によると、Modを使ってすぐにレベル99に到達することはゲーム体験の一部を損なう可能性があるとしても、スタジオとしてその自由を閉ざすつもりはないという。
その一方で、開発チームは2026年後半に「セキュアサーバー」を導入する予定だ。これらのサーバーではModが制限され、リーダーボードにも対応する。America氏は「セキュアサーバーでファイアケープを身につけ、さまざまなスキルがレベル99になっている人に出会ったなら、その人は自分の力でそれを獲得したということです」と語る。セキュアサーバーでの実績は、プレイヤーの努力によるものとして、自慢に値するものになりそうだ。なおセキュアサーバー以外では、引き続きModは使用可能だ。
MMORPGからサバイバルクラフトという驚異の転身をおこなったにもかかわらず、人気を博し続けている『ルーンスケープ:ドラゴンワイルズ』。今回はAmerica氏より、制作における裏話や設計思想、そして今後の展望まで直接訊くことができた。正式リリースを控え、いよいよ盛り上がりを見せる本作の行方には期待が高まるところだ。

『ルーンスケープ:ドラゴンワイルズ』は、PC(Steam)向けに早期アクセス配信中。そして9月15日にバージョン1.0配信とともに正式リリース予定だ。同時にPC(Epic Gamesストア)/Nintendo Switch 2/PS5/Xbox Series X|S版も発売される予定となっている。なおクロスプラットフォームマルチプレイにも対応する。
[聞き手・執筆:Anthony Thompson]
[編集:Kosuke Takenaka]
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