『ハースストーン』開発者メディア合同インタビュー。「超大型」開発秘話や新種族ナーガが担う役割を聞いた

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Blizzard Entertainmentは3月18日、デジタルカードゲーム『ハースストーン』の新拡張版「深淵に眠る海底都市」を発表した。実装は4月13日を予定している。これに合わせて、今回取材の機会をいただき、『ハースストーン』の開発メンバーであるChadd Nervig氏(Senior Game Designer)とLeo Robles氏(Associate Game Designer)へ、新拡張版の内容に関するメディア合同インタビューをおこなう運びとなった。本稿では、その模様をお届けしていく。


――今回の拡張パックの題材として、なぜ古代都市ジン・アズシャリとしたのか、新種族としてナーガを追加することに決めたのか教えて下さい。

Leo Robles氏:
海底をコンセプトにした拡張版を作りたいというときに、『World of Warcraft』の世界観の中で古代都市ジン・アズシャリはピッタリの舞台でした。であれば、都市の住人であるナーガを採用するべきであるという考えに至りました。

新種族「ナーガ」……今拡張からゲーム内に追加される新たな種族。呪文とのシナジーがあることが特徴の種族になっている。詳しい設定、情報は公式動画をチェックしてほしい。


――新拡張のシネマティックトレーラーに関する質問です。今回のトレーラーはそれまでのものとは(ミュージカル調ではないなど)雰囲気が異なるものでした。どういった意図で作られたのか教えて下さい。

Chadd Nervig氏:
今回のトレーラーに関しては、これまでとはまったく異なるアプローチのもと作られています。今までと違うことに挑戦したいというのが大きな理由です。モダン風のスタイルを採用し、英語版だけではありますが、視覚障害者向けに音作りをするなどをしています。これまではミュージカル調を採用していたため、挿入歌をさまざまな言語のもと歌っていただいていましたが、今回はあえてインストゥルメンタルを強調することで、拡張版の雰囲気をたくさんの人に楽しめるようにしたい、というのがトレーラーの趣旨となっています。結果、さまざまなコミュニティの方から高い評価を頂いております。

――拡張ごとのトレーラーは専門チームを用意し単独で制作されているのでしょうか。それとも開発チーム全体で制作されているのでしょうか。

Chadd Nervig氏:
もちろん、トレーラーを制作する担当のチームは存在しています。ただ担当チームだけで制作されているのではなく、Team 5(『ハースストーン』開発チーム)と互いにアイデアを出し合って制作されています。


――今回導入された新しいキーワードである「超大型」「海底探査」についてお聞きします。前者は使用する場合、多くのマナを消費します。後者は「カードを底から引き上げて手札に入れる」までに複数ターンが必要です。どちらも効果的に使うにはレイトゲームを意識したデッキ構築をしなければいけない印象を受けました。どういったゲームメイクを意図してデザインされたキーワードなのか教えて下さい。

Chadd Nervig氏&Leo Robles氏:
両者ともに、レイトゲームをそこまで意識したデザインを施しているというわけではないです。コントロールタイプ向けのデザインも中にはありますが、特に「海底探査」はアグロタイプのデッキに採用してもスピーディーにゲームを展開できると思います。

――以前より開発メンバーがSNSを通じて「今後は一撃必殺型をはじめとするコンボデッキの活躍を抑制したい」「盤面で戦うゲームメイクを促進したい」という旨のメッセージをしばしば発信していますが、今回登場する新しいキーワード「超大型」「海底探査」は、そうした方針を実行するための施策の1つであると、考えてよろしいでしょうか。

新キーワード「超大型」……あらゆる手段で召喚された場合、専用のトークンカードもセットで召喚されるミニオン群。「超巨大な生物」という世界観を表現するため、一枚のイラストをトークンを含めた複数枚のカードに切り分けるビジュアルデザインをおこなっていることに特徴がある。

新キーワード「海底探査」……デッキの一番下から3枚のカードを見て、その内1枚を選んでデッキの一番上に置く効果。


Chadd Nervig氏:
その認識のとおりです。今年度は「一撃必殺型」のデッキが大流行することになりました。一部のファンの方には喜んでいただいたものの、来年度は活躍を軽減するようにし、最初からデッキに入っているカードで戦っていくことを方針として意識しています。ミッドレンジタイプのデッキや、コントロールタイプのデッキでも、楽しめる環境づくりを計画しています。


――「超大型」というキーワードのアイデアはいつ生まれたものでしょうか。だいぶ前から構想は存在していたのか、それとも今回の拡張版に合わせて生まれたのかを教えて下さい。

Chadd Nervig氏&Leo Robles氏:
「超大型」のアイデア自体は、2019年12月11日にサービス開始した「激闘!ドラゴン大決戦」の時に一瞬浮かんでいたのです。しかし実現が難しいということで、お蔵入りになっていたという過去があります。そして今回、海底の大型生物を表現するために採用されました。

――「超大型」のアートを複数枚のカードに分割するデザインは素晴らしいです。何かユニークな開発エピソードがあれば教えて下さい。

Leo Robles氏:
「超大型」についてはシンプルに、巨大なミニオンを作ってみようという場所からスタートして、複数枚のカードで表現しようという段階になり、では複数枚という状態に適した効果は何が良いだろうという経過のもと制作されています。まず巨大なモンスターという着想が先立ち、それを『ハースストーン』に落とし込むにはどうすれば良いか考えていくという点で、通常のカードとは制作プロセスが異なっています。


――「ナーガ」という種族を新たに追加するということは大きな決断であったと思います。これについて、ゲームデザイン上の意図はどういったものでしょうか。

Chadd Nervig氏:
今回新しい種族を追加した理由としては、呪文の使用を重視した遊び方や、いろいろなミニオンを組み合わせての戦術構築といった、新しいプレイスタイルの提供を意図してのものです。

――昨年追加された種族「キルボア」は登場後にカードが追加されませんでした。「ナーガ」も今拡張版限りの種族であると考えていいでしょうか。

Chadd Nervig氏&Leo Robles氏:
「ナーガ」については今後の拡張版でも追加していくことを考えています。そもそも比較対象である「キルボア」はバトルグラウンドに追加することを先立って考えていた種族であり、結果として好評であったため、王道ハースストーンに逆輸入という形を取っています。「ナーガ」に関しては「キルボア」よりも、今後『ハースストーン』のさまざまな場所で見ることになると思います。

――「キルボア」のように、「ナーガ」もバトルグラウンドモードに登場させる予定はありますか?

Chadd Nervig氏:
当然、今は何も言えませんが、面白い部分でもあるので、将来的に何かが起こるかもしれません。

――「超大型」ミニオンや新種族「ナーガ」にはどのような使い方をプレイヤーに期待していますか。

Leo Robles氏:
まず「超大型」に関してですが、すべてのクラスにそれぞれの特徴を持ったカードを用意しているので、いろんなクラスで遊んでいただきたいです。「ナーガ」に関しては呪文とのシナジーを持ったミニオンが多いです。「ナーガ」はデッキの構築いかんによってアグロ寄りにもコントロール寄りにも活躍できます。「アグロ」「ミットレンジ」「コントロール」といった、従来のデッキタイプの枠組みに囚われない遊び方ができるデザインを施しています。新しい遊び方を試してほしいですね。

――今回の拡張版ではかつて流行したデッキタイプ「メックメイジ」復活の可能性など、「ナーガ」以外の種族シナジーも予想されますが、それに合わせて、ワイルドフォーマットにおける、カードパワーのバランス調整の予定はありますか?

Chadd Nervig氏:
「メックメイジ」ですよ!ヤッター!メックメイジが大好きで、再びスタンダードフォーマットで見られるのを楽しみにしています。ただ、それに合わせてワイルドフォーマットでバランス調整をおこなう予定はありません。

――今年度にはすべての拡張版に、途中でカードを追加販売する「ミニセット」がついてきました。来年度は予定されていますか。

Chadd Nervig氏:
現状でお伝えできることはありません。ただ、「ミニセット」という仕組みがコミュニティ内で人気があるということは理解しています。

――今年度の3月後半には既にすべての拡張版に対し「ミニセット」が付属することが発表されていました。しかし、今はまだ発表されていません。であれば、何か新しい発表が控えていると期待していいでしょうか。

Chadd Nervig氏:
発表が遅れているのはゲーム内容のアップデートに注力しているためであり、特にこれといった理由はありません。

――来年度は今年の「傭兵」のように、一年間にわたって拡張版を通じた物語が語られるのでしょうか。それとも拡張ごとに独立した物語になっているのでしょうか。

Chadd Nervig氏:
拡張版には内容がシリーズ化するものと単独で完結するものの2種類がありますが、今回の拡張版は単独で完結する内容となっています。


――今回のシネマティックトレーラーで「サー・フィンレー・マルグルトン」が登場しましたが、ほかの探検同盟のキャラクターの登場には期待できますか。

Chadd Nervig氏:
サー・フィンレーについては既に「海の案内人サー・フィンレー」としてカード化が確定していますが、ほかのメンバーについてはありません。

――おととしからシングルプレイヤー用のコンテンツとして、「英雄の書」「傭兵の書」というソロアドベンチャーが展開されましたが、来年度以降、同様のコンテンツを用意していく予定はありますか。

Chadd Nervig氏:
現時点で何かをお伝えすることはできませんが、シングルプレイヤーのコンテンツは引き続き新しいものを提供したいと考えていますので、楽しみにしていてください。

――今回の新拡張にも隠しパズルは追加されていますか?

Chadd Nervig氏:
「隠し」パズルなので「あります」とは当然言えません(笑)ただ私個人として、コミュニティの方々がパズルを発見し、解いてくれるのを見るのは大好きです。

――最後に、日本のコミュニティのみなさんへ一言お願いします。

Chadd Nervig氏:
日本のコミュニティのみなさんに新しい拡張版を楽しんで欲しいのはもちろんのこと、旅行が自由にできるようになったらすぐにでも日本に行きますので、そのときはよろしくお願いします。

Leo Robles氏:
新拡張版を通じて、ゲームだけに限らない色んな楽しみ方を味わってくれるのを楽しみにしています。

『ハースストーン』の新拡張パック「深淵に眠る海底都市」は4月13日実装予定。これに合わせて、通常よりお得なパックの先行購入を受け付けている。詳しくは公式サイトをチェックしてほしい。

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