日本を愛する海外のオタクたちは「サイバーパンク」に惹かれ出会った。『VA-11 Hall-A』×『2064: Read Only Memories』開発者対談

 

弊社アクティブゲーミングメディアが運営するパブリッシャーPLAYISMは、今月11月16日に『VA-11 Hall-A(ヴァルハラ)』日本語版をPlayStation Vita/PC向けに、11月22日に『2064: Read Only Memories』日本語版をPlayStation 4/PC向けに発売した。

『VA-11 Hall-A』

奇妙にも、両作品とも海外のデベロッパーが開発した「サイバーパンク」をテーマとしたアドベンチャーゲームだ。『VA-11 Hall-A』ではプレイヤーは近未来のバーにてカクテルを提供する。『2064: Read Only Memories』ではプレイヤーは近未来のサンフランシスコを冒険する。ビジュアルもテーマも似通った作品であるが、異なる魅力を持つ別々のタイトルだ。

『2064: Read Only Memories』

似ているけれど、どこか違う両タイトルを開発した開発者たちが、今年の9月に東京ゲームショウのために来日した。その際にPLAYISMの協力を経て、彼らが対談する場が設けられた。シリアスあり脱線ありのサイバーパンクと日本愛にあふれた開発者達のフリーダムな対談をお送りする。

――まずは自己紹介をお願いします。

JJ Signal(以下、JJ):
JJ Signal、『2064: Read Only Memories(以下、2064:ROM)』のディレクターだ。

Matt Conn(以下、Matt):
Matt Conn、MidBossのCEOであり、『2064:ROM』のクリエイター。

Christopher Ortiz(以下、Christopher):
Christopher Ortiz、またの名はkiririn51。『VA-11 Hall-A』のリードアーティスト。それとSukeban GamesのCEO。

Fernando Damas(以下、Fernando):
Fernando Damas。ライティングとプログラムを担当してる。

MidBossのJJ Signal氏

――早速ですが、みなさんの作品はどういうサイバーパンク作品に影響されましたか。映画やゲーム、色々あると思いますが。

JJ:
とても多くのサイバーパンク作品に影響された。1980年代のアニメやマンガにも影響を受けている。ゲームの開発中に特に読みふけったのは浦沢直樹の「Pluto」。鉄腕アトムをベースにしていて、とてもよかった。ほかには「バブルガムクライシス」、「メガゾーン23」、ロボットカーニバルなど。1985年から1992年までの作品に強く影響を受けた。

Matt:
俺の場合は1995年から2000年代までのゲームが特に影響を受けた。たとえば『スナッチャー』『ライズ・オブ・ザ・ドラゴン』『ファイナルファンタジーVII』、『デジモン』もデジタル世界を探索するサイバーパンクだと思う。パラレルユニバースっていうのかな。未来を探索するものは好きだけど、ディストピアンなものがとても好きなわけではない。希望的なものの方が好きだ。

Christopher:
サイバーパンクは大好きだけど、特に傾倒していたのは押井守。「攻殻機動隊」を代表に小さな頃からずっと彼の作品を見ていたしね。彼の作品は、ゲームの雰囲気を作りに影響している。彼の作品の世界観は静かで内省的で、かつ巨大。彼のサイバーパンクはいわゆるジャンルのそれとは少し違うものかもしれないが、それも彼のスタイル。僕らがゲームにおいてなしとげたいものもそれに近い。「攻殻機動隊」がもっとも強く『VA-11 Hall-A』の雰囲気作りに強く影響を与えた作品だと思う。

Sukeban GamesのCEOであるChristopher Ortiz氏

Fernando:
影響を受けたものとしては、すでに出ているタイトルだけど、「攻殻機動隊」「バブルガムクライシス」。それと『真・女神転生』もサイバーパンクだけど、神を中心にさまざまな要素を融合していてクールだよね。もっともゲームを作る上で影響を受けたのは「勇者王ガオガイガー」かな。トランスヒューマンの宇宙飛行士が主人公の作品だ。サイボーグとして、人間としてどう生きるのかが描かれる。人間じゃないけど人間であろうとするところにサイバーパンクの要素を感じる。

JJ:
ああ、彼が話し終わった後に俺も『真・女神転生』について語ろうと思っていたんだけど。特に『真・女神転生IV』は、サイバーパンクで、だけど少し暗くて、とてもスマートだ。『真・女神転生』シリーズがアメリカでもっと人気があればいいんだけど。

――よく質問されることだと思いますが、なぜサイバーパンクのゲームを作ろうとしたのか教えてもらえますか。

JJ:
彼(Fernando)がすでにトランスヒューマニズムについて言及していたよね。俺達は今新時代にいる。数百年経っても地球はあるだろうが、人間の存在のあり方は大きく変わるだろう。脳の機能を果たす巨大な機械が出来てきている。そうした未来についての答えを探していた。何が未来的でかっこいいか、恐ろしいか、考えていかなければいけないのか。ゲームの開発自体は未来への不安から生まれたんだ。書いてみて、考えてみて。そうした繰り返しによりゲームが生まれた。

MidBossのCEOであるMatt Conn氏

Christopher:
サイバーパンク世界における「普通の人々」を描く物語を作りたかった。ゲームや映画ではたいていヒーローが描かれる。普通の人々が悩んでどう生きるか伝えたかった。さまざまな背景のキャラクターが登場するけれど、みんな普通の人々。苦しい時代のなかで楽観視し、生きようと、笑おうとしてるんだ。そういうものが描きたかった。僕にとってサイバーパンクは敬愛すべきものだし、議論すべきものだし…「ロボコップ」の映画みたいに(笑)だから『2064:ROM』が好きだ。僕らの作品とは違う世界だけど、いくつかつながりがあって、同じスピリットがあって、人間への希望を見出そうとしているところも(笑)

――そこを聞きたかったんですが、お互いのゲームを発売前に知っていましたか?

一同:
イエス

――最初知った時、プレイした時はどう思いましたか?

JJ:
最初に『VA-11 Hall-A』を知った時はプロトタイプだった。プロローグかな?Twitterで話している人々がいて、スクリーンショットが貼られていた。スクリーンショットを見て「PC-98のゲームかな」と思った。その後すぐに、あえてこういう風にしていることに気付いて、すぐにすげえ才能があると思った。俺はそういうセンスがある人好きだったから。テキストは楽しいし、犬が好きだし(笑)音楽も全体の演出を引き締めていて、大好きだ。すぐにMattに話して連絡するように決めたんだ。

Matt:
セガCDスタイルとPC-98。そっくりだし、お互いそうだ。友人になれそうだなと思ったね。

JJ:
『2064:ROM』の目指していたのは、少しぼやけた奇妙なMSX-2スタイルとPCエンジンの融合。彼らとはどこかつながりを感じたよ。みんなポイント・アンド・クリックのアドベンチャーやビジュアルノベルを作るけれど、高解像度のものやルーカスアーツ*のものを好むよね。

* 『The Secret of Monkey Island』など大ヒットアドベンチャーゲームを生み出した今はなきパブリッシャー。『スターウォーズ』作品でも知られる。

Matt:
そういうのもいいと思うけど、個人的には『スナッチャー』や『ポリスノーツ』みたいな作品を恋しく思うよ。バイオモンスターを倒すようなね。だからむしろ日本の古いアドベンチャーベースのものを作りたいと思った。

Sukeban GamesのFernando Damas氏。シナリオ執筆とプログラミングを担当。

Christopher:
確か君たちは最初にTumblrでメッセージをくれたんだっけ?

JJ:
Tumblrか、それかTwitterかな。

Christopher:
最初に『2064:ROM』を知った時、確かトレイラーを見たんだったかな。ぶっちゃけ嫉妬したよ!

JJ:
俺だって嫉妬したよ!

一同:
(笑)

Christopher:
異なる視点だったけど、より力強かった。『2064:ROM』を見た時、テーマが被っていてやられた!と思った。僕らの作品よりもMSXゲームっぽくて、それに僕らの目指していたPC-98ゲームっぽくもある。「僕らのものよりそれっぽいじゃん!」って。でも、自分のゲームは『2064:ROM』に似ているわけじゃないと思うけど、少なくとも同じような感じにできたとは思ってる。ちなみにトレイラーを初めて見てから数か月経ってデモやって、最初の方で引っかかってしまった。

JJ:
ああ、よくみんな引っかかっているところだね。最初の体験版の。そこのパズルはいっぱいいじったよ。

Christopher:
そこで引っかかってた。そこで止まったけど、それでも十分伝わった。本物の雰囲気を楽しめたね。バーに行って情報を探すためにバーをうろついて。それが楽しかった。パイルドライバーを食らった気分だったな。そういう理由でコラボしたかったけど、僕はとにかくシャイだった。なぜかわからないけどインターネット上ではシャイなんだ(笑)

一同:
(笑)

Christopher:
最初は軽い気持ちで言っているのかなと思っていたんだけど、本気でコラボを望んでもらえていることに驚いた。MidBossからメッセージがあって、連絡があったらいいなと思った。5分後Mattから連絡がきてさ!

Matt:
Kickstarterで、バッカーがゲーム内のお酒に名前をつけるっていう企画を採用したんだけど、そういうカスタムドリンクシステムがとても気に入って、積極的に導入した。だから、素材を使ってカクテルを作るっていうのも面白いと思ったけど、カクテルで世界観をつなげようと思った。それだけでもコラボしたいと思った。そこからアイディアが生まれまくって、相性がよかった。両方やらなくてもコラボの意味はわかるけど、ただどっちもやると世界観の理解が進むようになってるよね。

『VA-11 Hall-A』ではカクテル作りを中心にゲームが展開される

Fernando:
『2064:ROM』を見てそのセンスに惹かれて、動画を見て体験版をダウンロードした。(ゲーム内の)部屋から出ずに30分ぐらいプレイし続けて熱中し続けた。ゲーム内はなんでもクリックできるから。

Matt:
イエーイ!ありがとう!わかってる人々はゲーム内のオブジェクトをしつこく調べ尽くす。それこそが俺らを目指してたところなんだ。俺らのゲームのすごいところは、いろんなとこを探し回りたくなるところ。最近ではストーリーをぱぱっと終わらせるのが一般的。そういうのもいいけど、ゲームの本来の遊び方は深いところまで遊んでほしい。

Fernando:
ポイント・アンド・クリックアドベンチャーだからポイントしまくらなきゃ!それがポイントだろ!

Matt:
同意するね!実況プレイを見ていると、ストーリーのみを重視してる人が多い。それも遊び方だけど、ちょっと残念だなと思う。

JJ:
オブジェクトにカーソルをあわせたらハイライトするシステムにした。いろんなものにポイントクリックできるよと伝えるデザインにしたんだけど、あまり把握してもらえてないとは思う。

――あらためて両方の作品の似ている点、異なる点について話してもらえますか。

Matt:
同じものというと、オーグメンテッドアイというニュースサービスが両方の作品に出てくる。ほかに、同じカクテルがでてくる。ディープな話をすると、『VA-11 Hall-A』を見て思ったのは、こっちもトランスヒューマニズムにふれていたことだね。未来の世界はどうなるんだろうと考えると、ハイブリッドな人間がいるのかなと思う。違う角度から、そうした同じ話題にふれていた。近未来の世界でのマイノリティはどうなるとか、変わっているやつらはどういうやつらとか、どういう風に普通の社会において普通の人々と接するか。社会はマイノリティを守るのはあるのかな。あったらどうなのか。

俺らはLGBT側の人間だから、俺の中でトランスヒューマニズムはLGBTのメタファーの意味がある。『VA-11 Hall-A』のトランスヒューマニズムは、扱い方が違うんだ。でもそれがいい。俺たちは同じ人間だ。アメリカとベネズエラで出身地は違うんだけど、同じように未来や将来について考え込んでいる。いろんな人から見る、それぞれの現実がある。未来はどういう風にマッチングするんだろう。そんなことを考えながら作った。

『2064:ROM』は、「種」をテーマとしている。

JJ:
両方のタイトルはビジュアルが違う。でも同じようなゴールを目指していると思う。日本のPC、コンソールゲームに似ているという点でもね。

Matt:
さっきも言われていたけど、普通のゲームではプレイヤーはヒーローの役割を担うことが多い。そうではなくて、俺らのゲームでは日々の生活で必死になりながら幸せを見つけようとする人々を描いている。人々と会話することで世界観をより知っていく。ゲーム内を探索して、多くの変わった独特の人々とふれあうことで、深く没入し、彼らの深い部分の性格を知っていく。自分がそこにいるように感じるんだ。『VA-11 Hall-A』もそうだけど、ビールとかジュースとかタバコ、飲みながら、ゆっくりとプレイできる。そんなゲームを目指した。ゲーム内の中に入って暮らせるような環境。そこがポイント。ゲームをクリアすればエンドレスクリスマスモードと呼ばれるモードを遊べる。ゲームの世界を自由に歩き回ることができる。実はメインとしてはそれがやりたかった。ストーリーもそうだけど、完全にゲーム内で生きていける。

JJ:
『VA-11 Hall-A』もそう。メインのキャラクターはヒーローじゃない。人の話を聞く一般人だ。『2064:ROM』の主人公も、すっとこどっこいのジャーナリストだ。

――ふたつの作品で、似ていて驚いたところなどはありますか。

Christopher:
うーん、難しいね。僕らはベネズエラをバックグラウンドにしてゲームを作って、MidBossはサンフランシスコをバッググラウンドにして。やっぱりサンフランシスコはベネズエラとは違うから。昼と夜みたいな違いに近い。自分の育った、知っている文化を取り入れようと思った。全然バックグラウンドも違ってるけど、そうした文化を取り入れたのに、結果としては色んな人に共感してもらえるゲームになった。周りにあるようなものと文化特有のものを取り入れたのに、理解してもらえたのが嬉しかったね。僕たちとMidBossは、生まれてすぐに引き離された双子みたいだなあ。

Matt:
よくいわれることだけど、俺らのゲームはサイバーパンクにしては明るすぎると言われるんだ。言い分はわかるけど、俺らはゲームをサンフランシスコらしく明るくしたかった。キャラクターもそうだし、ゴールデンゲート公園やトレジャーアイランドも行ける。未来の話なので、実際とは違ったりするけど、実際世界がダメにならない限りは未来でも残り続けるだろうし、リアリティのあるものにしたかった。こうした場所は50年後も存在していると思いたい。だからこそゲームに入れたいと思った。

JJ:
暗いありきたりなサイバーパンクを作りたくなかった。代表的な作品でいうと『ブレードランナー』の世界はずっと夜だし、街が汚いとかが定番だ。ずっと湯気が出てたり、雨が降っていて全部濡れてるし、車が飛んでいたりもしてる。2064年は、遠いのは遠いけど遥かに遠いわけじゃない。50年後には技術は進むだろうけど、車が飛んだりずっと夜が続くわけではないと思う。昔の作品で描かれるデタラメな未来じゃなくて、小型などが進んだちゃんとした未来を描きたかった。昔には、1999年には車が飛んでいたと思ってただろうけど、そうならなかったし。

Christopher:
僕らとしては、ゲーム内では今現在ベネズエラで起こっているようなことを再現した。つまり、かなりの憂鬱があるってこと。プレイヤーにはそういう憂鬱を強く感じてほしかった。グリッチシティにいることに不安を抱えていながら、家族がいるってことを理由にそこに滞在する人もいるんだ。だからよそからグリッチシティに来た人には「なんでこんなところにきたんだ!?くるなよ!」ってみんな話す。ベネズエラでは、身を守るための銃が不可欠だし、何かと行列が多すぎて携帯チェアも不可欠だ。バカげてるだろ?これは誇張ではなく真実で、むしろ悪化する一方だ。ストレスはたまるけど、ゲームをリリースしてからも暮らしは悪化する一方なんだ。

Matt:
質問してもいいか?ヴァルハラはめちゃくちゃ成功したよね。ここにいるぐらいだし。ベネズエラに残り続ける?それとも引っ越しする?

Christopher:
なんとも言えないね。僕は家族愛にあふれた人間だ。両親を愛しているし、母も父も大好きだ。彼らなしの生活は考えられない。すべてに愛着があるし、ベネズエラが好きだ。この数年間がキツイよね。チャベスのことも含めて。経済的な負債が目立つようになった。ベネズエラの生活は楽しんでいるし、ここから離れて外の世界に住むのもまたタフなことなんだよ。

Fernando:
僕も同じ。僕はとても小さな町に住んでる。基本的に、僕の全家族がそこに住んでる。母と母の兄弟、そのまた知り合い。少なくとも3世代はずっとそこに住み続けてる。僕も含めてみんな顔見知りだし、一緒に頑張っている中で、離れるなんて考えがたいことだよ。今はゲームがとても成功したおかげで、快適な生活を過ごせるようになった。お金を両替して家族に渡すことができるし、ごちそうも食べられる。これが維持できる以上は、ここにいたいとは思う。

Matt:
複雑だね、葛藤だ。でも興味深くもある。外国の方が生活の環境はいいけど、ベネズエラは家族がいるし、色んなものがあるし生まれ育った土地でもある。

Fernando:
奇妙な状況だよ、本当に。

Christopher:
そういう意味では「外国人」として日本をとても楽しんでる。ベネズエラと比べると、すべてにおいて安全。ものすごく久しぶりに夜に自由に外出行動することもできた。自分がエイリアンみたいに思えたね。いい意味でショッキングだったよ。

Matt:
日本の夜には特にショックをうけるよね。

Christopher:
いやあ、まるで最高にパラダイスだね。

Matt:
日本のゲームに熱を帯びてしまうのは、やっぱり日本が大好きなところが大きいね。日本がベスト。子供の頃がずっと日本に行きたいって気持ちばかりがあった。最終的に思いもしないいい形で来ることが出来た。

JJ:
自分のしたいすべてのことが濃厚に詰まっている。俺は車も車の免許もないけど、ここでは街や場所同士が近いし密度が濃いから、俺みたいなのが生活するのにぴったり。ちょっと歩けばほとんどすべてが手に入る。3時間歩くのも楽しいんだ。六本木から錦糸町歩いたけど全部がめちゃくちゃいい場所とはいえないけど、とても安全だし、殺されそうとは思わなかった(笑)。

Christopher:
僕らも六本木にいた時、いくつかの公園を歩いてると、暗いし大丈夫かなと思った。さみしくて自分がすごく場違いに思えて、幽霊が出てくると思った。

Matt:
六本木は場所にとっては、あんまりよくないところだって聞いたよ(笑)。

Christopher:
そうそう!ぼったくりに注意しろって言われた。

JJ:
無理やりどこかに連れて行かれて、断ってもしつこいのもいるね。

Christopher:
ベネズエラから30時間~40時間かけて日本に来て、ホテルに着いたけどテンションが上がって、寝ずに渋谷に出かけてわざと迷った(笑)迷った時にとりあえずまんだらけに行って、「日本らしいことをしたいな!」と思ってまんだらけの通りを歩いてた。そうするといくつかの人がきて「焼き鳥!焼き鳥!」と言われて案内してもらって、向こうは英語がわからないみたいだった。ビルに案内してもらって、7Fにきていきなりそこで別れを告げられた。何が何かわからなかったけど楽しかった(笑)。

Matt:
焼き鳥はおいしかった?

Christopher:
めちゃくちゃおいしかったよ!

――日本は期待通りの国でしたか。

Fernando:
日本に来て何を期待すればいいかわからなかった。ドアがあいた瞬間に鳥が出て来るとか、パンダがポーカーをしているとか、そんな世界かと思ってとにかく未知数だった。

Christopher:
日本に来て特に驚いたことはなくて、むしろ自分の居場所だと思った。ぶつかると日本では謝られるけど、ベネズエラではない。謝るのは自分だけ。だから居心地がいいんだ。でも謝るのは、日本では普通なんだね。僕はオタクだからつい謝ってしまう(笑)。期待通りだったし、むしろそれ以上。適応しなければいけなかったことといえば、エスカレーターの行列かな(笑)右に並んでしまっていつのまにか人が詰まってきて「スミマセン!」って言わなければいけなかった。

JJ:
さらにややこしいのが、大阪ではそれ(通る道)が反対なんだよね。

一同:
そうそう!(笑)

Christopher:
あと気になったのは、なにか空気が違う感じがするね。全体的に空気が違う。食べ物の匂いかな。

Matt:
俺が来て驚いたのは、値段。東京は物が高いとは聞いてたけど、ずっと安い。タクシーとかカラオケとかいくつかの飲み物は高いけど、お腹が減った時にお店に入れば山盛りのラーメンが600~700円程度で食べられる。銭湯もいいね。安いし気持ちいいし、もっとアメリカにあればな。食べ物も安いしうまいし最高だね。日本で一番安い寿司でもアメリカのどの寿司よりもうまい。満喫したよ。あとアーケードゲームが充実してる。JJは『電脳戦機バーチャロン』シリーズの大ファンなんだ。秋葉原に行って、日本のサラリーマンをやっつけ続けた。

JJ:
かなり楽しくてあったまったな。普段はVRバイパーかフェイエンを使うんだ。面白かったのが、みんな戦った後あっさりと何もなかったように帰ること。対戦相手には50代中盤ぐらいでジャケットを脱いでやっている人もいてすげえと思った。彼は2~3時間いて、永遠にいそうな雰囲気だった。あと複数中年の女性がいたことも驚いたよ。

Christopher:
日本にはゲームを遊ぶ環境にむちゃくちゃ多様性があるよね。

Matt:
そうそう、そこがクールだ。電車の中でさえ老人でもDSやVitaで遊んでる。アメリカじゃ公共でゲームを遊ぶことは恥ずかしいとされているね。

Christopher:
僕はスキンヘッドの怖そうなサラリーマンが『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』をやってて、ビビったね。結構怪しかったよ!

JJ:
アーケードでも似たような光景があったな。『スペースハリアー』を遊んで、その後また遊ぼうとしたら白髪の老人が無表情で『スペースハリアー』をやってるんだけど、そのプレイがすげえうまいんだ。そういうのがすげえいいと思った。でも日本人はその光景にあんまりびっくりしてないんだよね。

若い頃こう言われたよ。「日本に行けばオタクがいっぱいいると思ってるだろ?その考えをなくせ!誰もアニメなんて好きじゃないんだ。」って。でも日本に来てみると、広告はマンガパネルみたいだし、マクドナルドですらアニメ風なんだ。

Christopher:
セブンイレブンにマンガコーナーがあった時はこの国大好きだと思った。

Matt:
バーでいっぱいお金使わなくても、セブンイレブンでいくつかストロング・ゼロを買って外で飲めば安くベロベロに酔っ払える!

*アメリカでは、どの州でも公共の場での飲酒が原則的に禁止されている。ただし場所によっては許可されているところもある。

JJ:
ああ。トールタイプのやつが好きなんだ。新宿あたりで飲みながら歩いた。最高の思い出だな。歩きながら飲んでもいいのか!?と思ったよ。BitSummitの時にストロング・ゼロやハイボール、そのほかにも色々なお酒を飲んだサラリーマンがそのまま仕事に戻っていったのを見たのもビビった。「9%のストロング・ゼロを飲んだ後で!?」と驚いたよ。

――そろそろゲームの話に移りましょうか。今回の東京ゲームショウで気になった、遊びたかったゲームなどはありますか。

Christopher:
まだプレイする時間はうまくとれてないけど『シルバー事件 25区』は楽しみだ。めちゃくちゃ楽しみなゲーム。『シルバー事件』のリマスターを遊んで以来ずっと期待してる。『シルバー事件』は噂だけ聞いていて遊べなかったから、幻みたいな存在だった。ただSUDA51作品は、好きだった。『NO MORE HEROES』新作が発表された時、あらためて勉強しようと思った。『killer7』とかほかの作品もまたあさり始めていて、今まさにSUDA51の作品にとりつかれるほど入れ込んでる(笑)。なんていうか、『シルバー事件』もとにかく最高だった。ビジュアルスタイルは素晴らしいし、日本語でも遊びたかった。PLAYISMがリマスターしてローカライズするって知った時、頭が吹っ飛びそうだった。まさに待ち望んだタイミングだったよ。

昨年リマスター版が発売された『シルバー事件』

JJ:
『シルバー事件』のビジュアル(フィルム・ウィンドウ)は、ノベルゲームとしてはとにかく型破りだと感じた。マンガのパネルみたいだ。色んな場所から文字が出てきて…。

Christopher:
SUDA51の作品は、世間にもっと注目されるべきだと思う。日本でしか出てないし、まさにガラパゴスという表現が近い。最初は、一握りの人しか遊んでないと思ってたし、真剣にファンが存在しているのか疑っていた。だからリマスターが出たことは本当に重要だと思う。

――ほかに楽しみなゲームはありますか。

Fernando:
しつこく言うけど、『モンスターハンター:ワールド』。試遊台を少し遊んだだけだけど、本当に世界が生きているみたいだった。

Matt:
俺は『Yakuza(龍が如く)』が楽しみ。『Yakuza Kiwami』みたいなリメイク作品もアメリカでも出たし、その後のやつも出るしね。ヤクザドラマが好きだし、道中のお話も好き。ほかには『バイオハザード7』にハマったからDLCである「Not a Hero」はすぐにでも遊びたい。

JJ:
『北斗が如く』を遊びたい。ほかに『ZONE OF THE ENDERS』のVR版がやりたい。乗り物酔いしそうだったから、どういう風に動くのか興味があるから遊んでみたい。あと、ここにあるかわからないけど『バーチャロン』の新作を遊びたい。アニメとクロスオーバーすることにみんな不安がっているみたいだけど。

Christopher:
トアルマジュツノインデックス(日本語)ね。

JJ:
(笑)そうそう、それそれ。

Christopher:
作品間で共通点があんまりないから、奇妙だとは思うね。

JJ:
だからファンが心配するんだろうね。『バーチャロン』じゃなくて違うゲームになっちゃうんじゃないかって。でもちゃんと『バーチャロン』してるみたいで嬉しいよ。めちゃくちゃ楽しみだ。

――最後に日本のユーザー向けにメッセージをお願いします。

Matt:
今まで見たことのない別の世界に入るようなゲームを探しているなら、俺らのゲームを遊んでもらえれば、とてもユニークな経験ができるし、サイバーパンクの新しい見方を見つけられると思う。俺らのゲームも彼らのゲームもほんとにユニークで、今まで決して出会ったことのないキャラクターに会えると思うし、彼らを好きになると思うし、シナリオにも満足できると思う。

JJ:
もし俺らのゲームを遊んで満足したなら、マジでファンアートを作って欲しい。本当にお願いしたい。もっともっとファンアートを見たいんだ。

Christopher:
日本で発売するにあたって、僕からお願いすることはひとつ!エロ同人誌を作ってくれ!コミケで僕らの作品のエロ同人を見たいんだ!

Matt:
おいおい、面白そうな話だな。どっちが先にエロ同人を作ってもらえるか勝負だ。

一同:
(笑)

Christopher:
楽しみだな!どんな種類のでもいいから作ってほしいよ。日本のユーザーに遊んでもらえることに興奮してる。それとは別にSUDA51に挑戦状を送りたい。「51」の名を賭けたレスリングの試合だ。51を使うことをやめさせる(笑)。

*冒頭に述べられているが、 Christopher氏はkiririn51とも名乗っている。

Matt:
それってガチのレスリング?(笑)

Christopher:
ガチのレスリングをガチのリングでね。

Matt:
須田さんは俺らの「レスリング5人衆」のひとりだ。俺らは5人いるぞ、リーダーは俺だ!

Christopher:
首を洗って待ってろよ!

一同:
(笑)

[特別協力:PLAYISM, Shuji Ishimoto]