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2人専用アクションゲーム『オービタルズ Orbitals』レビュー。「友情崩壊協力ゲーム」時代の真逆を征く、「友情を育む」宝石のような協力ゲーム
子どもの頃、物語の中で繰り広げられる冒険に胸を躍らせていた筆者にとって、友人と力を合わせながら宇宙を旅する本作のプレイ体験は、どこか懐かしく、それでいて心ときめくものであった。

Kepler Interactiveは9月3日、Shapefarmが開発を手がける『オービタルズ Orbitals』をNintendo Switch 2向けに発売する予定だ。本作は、レトロアニメ風のSFをテーマにした2人協力型アクションアドベンチャーである。プレイヤーは探検家のマキとオムラを操作し、宇宙嵐に脅かされたステーションを救うために冒険を繰り広げていく。
弊誌はこのたび、本作を先行してプレイする機会に恵まれた。本作は2人プレイ専用のゲームであるため、筆者はマルチプレイタイトルをよく一緒に遊ぶ友人を誘い、通話をつないでオンラインで遊んでみることにした。なお、本作はローカルおよびオンラインでの画面分割プレイに加え、Nintendo Switch 2ならではのおすそわけ通信にも対応している。
ところで筆者は、子どもの頃に「都会のトム&ソーヤ」シリーズを愛読していた。正反対な個性を持つ2人が、それぞれの得意分野を活かしながら協力し、さまざまな謎や事件を乗り越えていく。そんな冒険の物語を、いつも心を躍らせながら読んでいたものだ。
『オービタルズ Orbitals』をプレイしてみると、そんな少年期のときめきがふと蘇ってきたのである。見た目も性格も、得意なことも異なる2人が力を合わせ、宇宙嵐の危機に立ち向かっていく。その体験は、世代を超えて愛される冒険譚を読むときのように、物語に没頭する楽しさを感じさせてくれた。本稿では、そんな本作で友人とともに繰り広げた、宇宙を巡る旅の様子をお届けしよう。

80〜90年代のレトロアニメに没入する感覚
本作の主人公であるマキとオムラは幼馴染だ。パーソナリティは対照的ながら、子どもの頃からずっと一緒に過ごしてきたためか、相性は抜群。作中でも、2人の親密さが伝わるやり取りを随所で見ることができる。プレイヤーはゲーム開始時に、マキとオムラのいずれかを選択してプレイすることになる。

プレイを始めると、さっそく本作の見どころの一つであるアニメーションが流れる。ざらっとした質感の映像、温かみのあるキャラクター描写、そしてどこか懐かしさを覚えるサウンドが重なり、まるで古き良きセルアニメを見ているような感覚になった。その映像や音楽からは、日本の名作アニメに対する深いリスペクトが伝わってくる。それもそのはず、本作のアートスタイルには制作陣の並々ならぬ情熱が注がれているのだ。本作のレトロアニメスタイルへのこだわりや、制作にあたって影響を受けた作品については、弊誌にて開発者インタビューも掲載しているので、興味のある方はチェックしてみてほしい。
カットシーンを鑑賞し終えると、いよいよキャラクターを操作できるようになる。ここで、プレイ画面のスクリーンショットをご覧いただきたい。操作パートに切り替わったあとも、一見するとセル画のようなビジュアルだ。ところが実際には3Dで表現されており、キャラクターも背景もとても滑らかに動く。2Dアニメから3Dゲームへの移行はまさにシームレスで、あたかもアニメの世界に入り込み、その中で自分が動いているような没入感を味わえた。


本作は宇宙が舞台ということもあり、フィールドには独特の浮遊感があって面白い。移動手段としては、歩いたりジャンプしたりするだけでなく、宇宙服を着て無重力空間を泳いだり、巨大な宇宙船を操縦することだってある。だが、本作における基本的な移動は横方向を中心としたものであり、複雑な移動操作を求められることはない。広大な宇宙を舞台としていながら、縦軸の位置調整をする必要がないので、進むべきルートを把握しやすく、カメラ操作で混乱することも少ない。そのおかげか、筆者も相方も3D酔いをすることなくプレイできた。
「2人プレイ」が軸だからこその体験
プレイ中は画面が縦に2分割され、各々が選んだキャラクターを操作しながらステージを攻略していく。自分のプレイ画面だけでなく、相手の視点も一つの画面上で同時に確認できるかたちだ。

2人向けのオンライン謎解きゲームでは、プレイヤーごとに異なる情報が提示され、それを互いに伝え合いながら攻略していくタイプの作品も少なくない。もちろん、限られた情報をもとに口頭で連携を取りながらクリアを目指す体験も面白いものである。しかし本作では、それぞれが持つ情報を逐一説明する必要はない。お互いの状況を同じ画面の中で把握できるため、まるで本当に2人でその場にいるような感覚で、「あっちに行ってみよう」「これを使ってみよう」と気軽に相談しつつ進められるわけだ。
とはいえ実際にプレイしている最中は、自分のキャラクター操作や目の前の状況を理解するのに精一杯で、相手の画面までじっくり眺めている余裕はあまりない。それでも、相手がどこにいて、何をしているのかを一目で確認できるのは、攻略のうえで大きなポイントとなる。

本作に登場するギミックは、まさしく2人で協力して攻略する楽しさを追求したものといってよいだろう。片方にしかできない役割をそれぞれが担い、あるときはタイミングを合わせて同時に、またあるときは交互に行動するなど、2人の連携が求められる場面が数多く存在するのだ。
主人公のマキとオムラは性格こそ異なるものの、キャラクターとしての性能に差があるわけではない。誰がどの役割を担うかは、その場で使用する道具や担当するポジションによって決まる。
たとえば本作には、探索を進める上で役立つツールが3種類用意されている。ワイヤーを発射して対象物に引っ掛けて使う「スクラップフック」、水圧を利用した遠隔操作や熱を冷ますのに効果的な「リキッドランチャー」、そして高熱のビームを放つ「ビームキャノン」だ。各ステージでは、これら3つのうち2つのツールを使用することになり、プレイヤーはそれぞれ異なるツールを担当し、その特性を組み合わせながら道を切り開いていく。
具体的には、金属板が道を阻んで進めない場面があったとしよう。ここでは、片方のプレイヤーがビームキャノンで金属板を熱して軟らかくし、もう片方がスクラップフックで引っ張って除去する、といった協力が必要になるわけだ。また別の場面では、リキッドランチャーで足場を出現させ、それが戻ってしまう前に相方が飛び移り、着地に間に合うようすぐさま別の足場を作り出す、といった連携が求められる。どの場面でも相手の動きに合わせた操作が必須となるため、2人の息を合わせることこそが攻略の鍵となるのだ。


また宇宙船を動かす場面では、一方が砲手席、もう一方が操縦席を担当することになる。砲手席ならばシューティング、操縦席ならば船の舵取りが主な役割だ。なお、これらの道具やポジションの担当は簡単に交代することが可能。キャラクターごとに役割が決まっていないため、その時々の状況や得意不得意、あるいは興味や気分に応じて柔軟に役割を入れ替えられる。
実際のプレイでも、基本的には互いに気が向いた方を選んで遊んでいた。ステージごとに必要なツールもギミックも変化するため、どれを担当しても常に新鮮な気持ちで楽しめる。他方、筆者の操縦があまりにも頼りなく状況が停滞してしまった際には、友人の提案で役割を交代。結果としてあっさり難所を突破できた、という一幕もあった。単に結果を出すことだけではなく、2人で協力する過程そのものの良さを感じられる作品である。
手探りのゲームプレイがもたらす、冒険のロマン
本作のステージをプレイして感じたのは、どこかレトロな感触を覚える手厳しさだ。本作は、ただアニメの世界観をカジュアルに体験するだけのゲームではない。プレイヤーはいきなり物語の中に放り込まれたかのように、未知の概念や試練が目まぐるしく押し寄せる状況に直面することになる。

本作のパズルやギミックには、操作のタイミングや解く順番をじっくり考える必要のあるものが多い。一方で、とっさの機転やリアルタイムでの意思疎通が求められることもあり、それなりの歯ごたえがある。また、次に行くべき場所や目標は画面左上に表示されるものの、それを達成するためにどんなルートを辿ればよいか、何が必要なのかまでは示されない。先へ進む方法は、自分たちで見つけ出さなければならないのだ。
ところが、本作にヒントやヘルプといった便利機能は用意されていない。さらに、作中に登場する独自の用語に関しても、詳しい解説がその都度なされるわけではない。序盤から「ディープマター」や「リアクターカセット」といった聞き慣れない言葉が当たり前のように飛び交い、最初のうちはその意味がよくわからないまま物語を追うことになる。今どきの至れり尽くせりなゲームと比べれば、決して親切な設計とは言い難い部分もあるだろう。しかし、そうした少し不親切なところさえも、本作の作風と相まって、なんだか昔懐かしい味わいに感じられる。それ以外に操作性やシステム面で不満を覚えるような点がほとんどなかったことも、特筆しておきたい。

無論、プレイヤーが何をすればよいか完全に見失ってしまうような作りにはなっていない。場面に応じて重要な用語や操作ボタンは表示されるほか、調べるべき対象には自然とカーソルが合うなど、進行に必要な情報はきちんと示される。提示される情報はそれぞれが担当する役割によって異なるので、ここで相方の視点を見られるシステムも活きてくるわけだ。行き詰まったときには相方の画面にも目を向けながら、アイデアを出し合って突破口を探すのがよいだろう。
それに、たとえ操作キャラクターが足を踏み外して落下したり、炎に焼かれたりしてしまっても、すぐ近くで復活してくれるため、リトライにもそれほど時間がかからない。キャラクターにとっては少し気の毒だが、プレイヤーにとってはありがたい仕様である。
何度も挑戦を重ねるなかで、自分たちが壮大な冒険の主人公になれている感覚を味わえるのもよい。SFらしい世界観や物語はもちろんのこと、高度なテクノロジーを感じさせるツールや設備、ステージとなる惑星のデザインにもロマンがあり、本作の世界へと自然に引き込まれていく。そうした世界を実際に探索し、チャプターをクリアできたときには、自分たちですごいことを成し遂げたような達成感が湧き上がる。だからこそ、そこへ至るまでに多少の危険や困難が待ち受けているのも、冒険の醍醐味として肯定できるというものだ。

“友情破壊”ゲームの真逆を征く
本作には、マキとオムラをはじめとしたキャラクターたちの軽快なやり取りが随所に盛り込まれており、見ていて心が和む場面も多い。そうした温かい雰囲気も手伝ってか、プレイヤー同士もギスギスすることなく、終始朗らかな気持ちでプレイを続けることができた。
ちなみに、本作にはストーリー攻略の合間に楽しめる、ちょっとした寄り道要素も豊富に用意されている。たとえば、ボタンを連打してパンチの強さを競うことができるパンチングマシンのほか、リズムゲームや脳トレを思わせるゲームなど、その内容はさまざまだ。これらのミニゲームも、もちろん2人で盛り上がれるものばかり。物語の合間にひと休みするような感覚で、友人と気楽に勝負を楽しめる。こうした本筋以外の要素に至るまで、徹底して2人で遊ぶことが意識されているのも、本作ならではの特徴といえるだろう。


子どもの頃、物語の中で繰り広げられる冒険に胸を躍らせていた筆者にとって、友人と力を合わせながら宇宙を旅する本作のプレイ体験は、どこか懐かしく、それでいて心ときめくものであった。2人で一緒に悩み、謎を解き、ときには寄り道もしながら宇宙を巡る時間は、童心に帰って夢中になれる貴重なひとときであり、それ自体が宝物のようにも感じられた。筆者の冒険心を大いに刺激してくれた。固い絆で結ばれた相方と協力し、未知の世界へ進んでいく。そんな物語への憧れを抱く人にこそ、ぜひプレイしてみてほしい一作だ。
『オービタルズ Orbitals』は、Nintendo Switch 2向けに9月3日発売予定。
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