恋愛ゲーム初心者がイマーシブ恋愛アドベンチャー『Venus Vacation PRISM – DEAD OR ALIVE Xtreme -』をプレイして理解したのは、「自分の恥ずかしい」を楽しむということ

コーエーテクモゲームスは、『Venus Vacation PRISM – DEAD OR ALIVE Xtreme -』をPC(Steam/DMM Games)およびPS4/PS5向けに2025年3月6日発売予定だ。醍醐味は、 「自分の恥ずかしい」を楽しむということ。

コーエーテクモゲームスは、『Venus Vacation PRISM – DEAD OR ALIVE Xtreme –』(以下、『VVP』)をPC(Steam/DMM Games)およびPS4/PS5向けに2025年3月6日発売予定だ。

『VVP』は、美少女バカンスゲーム『DEAD OR ALIVE Xtreme Venus Vacation』に登場する女の子たちとの本格的な恋愛が楽しめる「イマーシブ恋愛アドベンチャー」だ。イマーシブ(没入感)の名に相応しい圧倒的な存在感のグラフィックと、会話や写真撮影などのコミュニケーションを通して女の子との距離を縮めていく体験型のゲームプレイが特徴となっている。写真の撮影は特定のシチュエーションで撮るもののほかに、会話中いつでもカメラを起動して撮影することも可能だ。


恋愛アドベンチャーをプレイするにはシャイすぎる筆者

ところで、実は筆者はこれまで恋愛アドベンチャーというジャンルには手を付けてこなかった。それも、同ジャンルが好みでなくプレイを避けていたというよりは、プレイできなかったという方が正しい。というのも理由は単純で、恥ずかしくなってしまうのだ。

画面の中の女の子が送ってくるまっすぐな視線を見つめ返すことが恥ずかしく、女の子との他愛のない会話が恥ずかしく、デートや告白などのイベントに至っては画面のどこを見ていいかわからなくなる始末。『アマガミ』や『ラブプラス』などキャラクターデザインに興味を惹かれプレイを試みたタイトルはいくつかあるものの、結局恥ずかしさが勝ってしまいエンディングを迎えられたことはない。

要するに、筆者は恋愛アドベンチャーをプレイできないほどにシャイな人間であり、同ジャンルからは10年以上距離を置いていたということを覚えておいてほしい。これらの経験から、同ジャンルはこんなシャイな自分には向いていないと結論づけてしまっていたのだ。

恋愛アドベンチャーというジャンルにおいては無力に等しい筆者。『VVP』のコラムのお話を頂いた時も、ありがたいお話ながら一度はお断りしようと考えていた。だが、『VVP』のトレイラーを確認した際に言葉に起こせない感情に襲われ、急遽執筆を希望。そしてその後、ゲームプレイを通してこの感情の正体は解き明かされていくことになる。

ゲームプレイ中に大きくなり続けるある感情

『VVP』の主人公はヴィーナス諸島のオーナーであり、女の子たちを「ヴィーナス」というアイドル的存在として活躍させるべく日夜業務に追われている。今回の『VVP』デモ版は、仕事の疲れから寝落ちしてしまっている主人公がヴィーナスのひとりである「みさき」に起こされるところから始まる。


元気いっぱいながら恥ずかしがり屋な面も持ち合わせるみさきとの写真撮影を済ませると、今度は別のヴィーナスである「ななみ」との会話イベントが始まる。クールでありつつも素直な感情表現が魅力的なななみとの会話の中で、主人公は次の休みの日に島を案内してほしいと頼まれることになる。遠回しなデートのお誘いであり、本来ならば断わる理由のない申し出だ。だが、実は直前にみさきからも次の休みの日に遊ばないかと誘われているのだ。


二律背反、決して両立し得ない2つの選択肢の狭間で、主人公が選ぶのは……というところまでプレイして、筆者の中で大きく膨らむある感情を無視できなくなってきた。それは、トレイラーを確認していたときのあの感情と同じものであった。

「恥ずかしい」でいい。「恥ずかしい」を楽しめ

その感情とは、まさにあのころ感じた「恥ずかしい」であった。当時はプレイできないほどその感情が強かったために気づくことはなかったが、歳を重ねてある程度の耐性を獲得したことでようやく理解ができたことがある。それは、「恥ずかしい」こそが、恋愛アドベンチャーの本質であるということである。

恥ずかしいからこそドキドキするし、相手の一挙手一投足に喜んだり悲しんだりするのである。そもそも現実の恋愛が恥ずかしさを豊富に含んだものであり、恋愛アドベンチャーゲームをプレイして恥ずかしいと感じることはなんらおかしなことではない。それどころか、怖がりな人こそホラー映画を楽しめるように、そういった感受性が高い人間の方が、同ジャンルを100%楽しめるとすら言えるだろう。

恋愛アドベンチャーを象徴するワードである(?)「恥ずかしい」を口にしながら顔を赤らめるみさき。やはり恋愛アドベンチャーとは「恥ずかしい」なのだ

その点で、本作は良質な「恥ずかしい」を体験させてくれる。ヴィーナスたちとの他愛のない会話に始まり、レンズ越しにヴィーナスと目が合っているかのような錯覚を覚える写真撮影。そして結局ななみと過ごした次の休み、楽しかった一日が終わることを惜しみながらななみと歩く夜のビーチサイドで偶然みさきと鉢合わせてしまった時、筆者の「恥ずかしい」は最高潮に到達した(ちなみにデモ版はここでちょうど終了する)。


つまるところ「恥ずかしい」とは恋愛アドベンチャーの没入感そのものであり、本作には「イマーシブ恋愛アドベンチャー」の名に負けないだけの「恥ずかしい」がこれでもかと詰め込まれている。シリーズ初の本格的な恋愛アドベンチャーでありながら、その本質はしっかりと抑えられているようだ。恋愛アドベンチャーになれたプレイヤーのみならず、筆者のように同ジャンルに苦手意識があったプレイヤーにも自信をもってオススメできるタイトルだ。

Venus Vacation PRISM – DEAD OR ALIVE Xtreme –』は、PC(Steam/DMM Games)およびPS4/PS5向けに2025年3月6日発売予定だ。

Daijiro Akiyama
Daijiro Akiyama

ゲームをすることと、ゲームの話をしたり聞いたりすることが同じぐらい大好きです。

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