新作発表『クライムライト/CRYMELIGHT』、格安セール中の関連作『CRYSTAR -クライスタ-』ってどんなゲーム?強烈な導入から始まる“泣き”アクションRPG

新作『クライムライト/CRYMELIGHT』発表に合わせて、アクションRPG『クライスタ』がどのようなタイトルなのか振り返っていきたい。

フリューは「INDIE Live Expo 2026.4.25」にて、新作『クライムライト/CRYMELIGHT』を発表した。本作は同社が2018年PS4向けにリリースしたアクションRPG『CRYSTAR -クライスタ-(以下、クライスタ)』と同じ『クライ』を冠とするタイトルだ。

『クライスタ』の、キャラクターデザインはリウイチ氏とntny氏が担当。スタッフ陣の目玉として『ONE 〜輝く季節へ〜』『Kanon』などを手がけた、シナリオライター・久弥直樹氏を起用している点が特徴だ。タイトルは「cry(泣く)」と「star(星)」を組み合わせた造語であり、公式ジャンルは「泣いて戦うアクションRPG」と、“泣きゲー”というジャンルを確立した立役者の久弥氏の参加も相まって「涙」をゲームシステムに落とし込んだ異色作である。

PS4版リリース以降もSteam版が2019年、Nintendo Switch版が2022年に発売、PS5版が2025年にリリースされるなど幅広いプラットフォームで展開中。フリューによる2025年アンケートでは「続編を作ってほしいオリジナルタイトル」で2位に輝くなど、同社の代表作とも言えるタイトルだ。今回は『クライムライト/CRYMELIGHT』発表に合わせて、『クライスタ』がどのようなタイトルなのか振り返っていきたい。

妹を殺してしまった少女が、泣きながら戦うストーリー

まずはストーリーを紹介しよう。主人公「幡田零(はただ れい)」と妹「幡田みらい」は、ある日「幽鬼」や「幽者」が跋扈する死後の世界「辺獄」に引きずり込まれる。二人は異形に突如襲われ、零は「祝福」と呼ばれる異能力に目覚めるが、力の暴走により誤って妹を自らの手で殺めてしまう。 絶望と罪悪感に苛まれる彼女の前に、辺獄を管理する双子の悪魔・メフィスとフェレスが現れ、7つの「理念(イデア)」を集めれば、みらいを「ヨミガエリ」させると囁く。零は悪魔と契約し「代行者」として魂を狩りながら辺獄の最下層を目指すことになるのがあらすじだ。

シナリオに大義名分は一切なく、零の個人的な「死んだ妹を『ヨミガエリ』させたい」という純粋で歪んだ願いを軸に進行。“妹を殺してしまった”という衝撃的な出来事から、「不動寺小衣」「恵羽千」「777」といった仲間となる少女たちの壮絶な過去と「痛み」を知りながら、深淵へと落ちていくような構成は、久弥氏のシナリオらしい情感の豊かさを存分に発揮していた。ただシリアス一辺倒という訳ではなく、軽妙な掛け合いや愛犬「セレマ」との触れ合いなど心休まる瞬間も存在し、“だからこそ”と言える繊細な少女たちの心に触れるような展開の起伏に引き込まれた。

戦って、背負って、涙で浄化するバトル

本作は拠点となる零の自室とダンジョン「辺獄」を往復しながらストーリーが進行する。バトルはオーソドックスな3DアクションRPGで、通常攻撃とSP消費して発動可能なスキルを組み合わせて敵をなぎ倒していく設計だ。だが『クライスタ』の本質は戦闘の手触りそのものではなく、「涙」を軸に構築されたシステム全体の流れとバトル前後の文脈である。戦闘中に最大まで溜まった「涙ゲージ」を解放することで、「理念解放」が発動して覚醒モードに突入。守護者がキャラクターの背後に現れて共闘し、強力な必殺技で戦況を一変させられるのが特徴。

また敵である「幽鬼」は元人間であり、撃破時には「断末魔の思念」を獲得。「苦しい」「痛い」「助けて」といった言葉が画面に貼り付くように残り続ける演出は強烈で、単なるエフェクトではなく、「(元)人間を倒してしまった」という罪悪感を明確に視覚化する仕組みだ。断末魔はそのままでは処理されずに蓄積されるため、自室に戻り倒した相手に思いを馳せ涙を流すことで浄化され、「思装」と呼ばれる装備へと変換される。単なる報酬変換のプロセスではなく、「自らの罪や他者の痛みを受け止めて自分の力に変える」という過程をプレイヤー自身の行動として体験させる設計だ。

つまり本作は戦って、背負って、涙で処理する循環を繰り返すうちに、プレイヤーは“戦闘”そのものだけではなく、“物語や人物背景”を強く意識させられることになる。この構造こそが、『クライスタ』におけるアクションRPG部分の本質だ。さらに断末魔は何度も倒すことで「死者回想録」として蓄積されていき、思装は合成や強化によってフレーバーテキストが変化。そのためプレイヤーは漫然と図鑑や装備を集めるのではなく、「誰かの人生の断片」を収集している感覚に近い。

「万物は流転する」揺らぎ続ける成長の物語

『クライスタ』は、罪悪感・喪失・浄化といったハードなシナリオを、「涙」という情緒的な行為を媒介にして、哲学的な問いへと接続している点に独自性があるだろう。特に目立つたのは古代ギリシアの哲学者ヘラクレイトスの影響で、彼の「万物は流転する(パンタ・レイ)」という思想は、幡田零の名前や必殺技、さらに零の守護者「ヘラクレイトス」の存在を通じて繰り返し示唆される。

ただし本作における成長は、一般的に想起されるような直線的で前向きな変化ではなく、揺らぎや破綻を繰り返しながら進んでいく過程として描かれる。零は決して理想的な主人公ではない。引きこもりで未熟で、決意してもすぐに迷い、他者を拒絶しては後悔する。だが不安定さを抱えたまま前に進もうとする姿こそが、本作における「変化」の実体であり、「万物流転」を体現した成長の形として提示されている。

さらに、周回プレイによってストーリーの見え方が変化していく構造も見逃せない。本作は周回プレイを前提とした複数エンディングを採用しており、完全クリアには30〜40時間ほどのボリュームが用意されている。プレイを重ねるごとに物語やキャラクターの立ち位置は変化し、異なる結末や視点を通じてシナリオの意味も更新されていく。この構造は「同じ川に二度入ることはできない」というヘラクレイトスの思想を、プレイヤー自身の変わり続ける体験としてなぞらせる仕掛けとも言えるだろう。つまり『クライスタ』における「万物は流転する」とは、物語上のテーマやプレイヤーへのメッセージであると同時に、プレイ体験そのものの構造としても機能している。

“泣くこと”を体験にした、唯一無二のアクションRPG

『クライスタ』は、少女たちが理不尽に抗い、「万物は流転する」世界の中で人間がどのように意味を見いだすかを問う作品だ。死と悲しみを真正面から扱いながら、「痛みや悲しみをどう受け止めるか」という問いをプレイヤーに委ねる、哲学性と情感を併せ持った体験が味わえる。ただアクションRPGとして見た場合、戦闘のテンポやダンジョンの長さなどに冗長さを感じる場面もあり、純粋な手触りの良さを求めるプレイヤーには課題が残る部分もあるだろう。

一方で、「涙」を軸にシナリオ・システム・演出を結びつけた体験設計は極めて独自性が高く、プロデューサー兼ディレクターの思想がゲーム全体を通して一貫して貫かれている点も含め、他に代えがたい魅力を放っている。ハードなダークファンタジーを好む層や、重厚な人間ドラマに惹かれるプレイヤーには、強く響く一本と言える。『クライムライト/CRYMELIGHT』発表を機に、本作に改めて触れてみるのもおすすめだ。

クライムライト/CRYMELIGHT』は、Nintendo Switch 2/PS5/PC(Steam)向けに2026年11月5日発売予定。『CRYSTAR -クライスタ-』のセールは5月6日23時59分(Steamは5月5日19時)まで、Nintendo SwitchPS5PS4PC(Steam)の各プラットフォームで開催中だ。

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Yuuki Inoue
Yuuki Inoue

RPGとADVが好きなフリーのゲームライター。同人ノベルゲームは昔から追っているのでそこそこ詳しい。面白ければジャンル問わずなんでもプレイするのが信条。

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