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NVIDIA「DLSS 4.5 レイ再構成」を体験。レイトレ・パストレの“ぼんやり感”を減らし、ゲーム画面の「鮮度」を高める新モデル
今回弊誌は、8月中のアップデートに先がけて「DLSS 4.5 レイ再構成」を体験する機会を得た。

NVIDIAの「DLSS」と聞いて、まず何を思い浮かべるだろうか。低い解像度から高解像度の映像を生成し、パフォーマンスを高める「超解像度(Super Resolution)」や、AIによって新たなフレームを生成する「マルチフレーム生成」など、やはり「ゲームを軽くする」「fpsを増やす」といったイメージが強いかもしれない。
しかし、今回アップデートされるDLSS 4.5の「レイ再構成(Ray Reconstruction)」が手を入れるのは、少し違うところだ。解像度やフレームレートだけではなく、レイトレーシングによって描かれる光や反射、影といった、ゲームそのものの“見え方”に関わる技術なのである。なおDLSS 4.5版のレイ再構成は、8月中にすべてのGeForce RTX GPUで利用可能になる予定だ。
今回のアップデートが目指しているのは、単純に「もっと綺麗な映像にする」ことだけではない。残像やちらつき、細部の潰れなど、これまでは「レイトレだから多少は仕方ない」「概ね綺麗だからまあいいか」と見過ごしていたような、小さな違和感まで減らそうとしている。

Image Credit: NVIDIA on YouTube
とれたての食材が、素材そのものは同じでも味や食感をより鮮明に感じさせるように、DLSS 4.5のレイ再構成を通したゲーム画面からは、もともとそこにあった光や細かな表現が、より損なわれず目に届くような印象を受けた。言うなれば、ゲーム画面の“鮮度”が上がったような感覚だ。
今回弊誌は、8月中のアップデートに先がけて「DLSS 4.5 レイ再構成」を体験する機会を得た。本稿では、そもそもレイ再構成とは何なのかを紐解きつつ、DLSS 4.5によってその映像がどう変わったのか、実際に触れた感想をお伝えする。
「何を残して、何を捨てるか」を判断する技術
レイトレーシングやパストレーシングでは、光線=レイを飛ばし、その光がどこで反射し、何を照らし、どこに影を作るのかを計算する。ただし、ゲームをリアルタイムで動かしながら、現実の光を完全に再現できるほど大量のレイを飛ばすことは難しい。実際には限られたサンプルから光を計算するため、そのままでは映像にノイズが生まれてしまう。
そこで従来は、ゲームごとに手作業で調整されたデノイザーによってノイズを除去していた。DLSSのレイ再構成は、この工程をAIに担わせる技術である。限られたレイから得られた情報に加え、ゲームエンジンから渡される情報や過去フレームなどを利用しながら、「本来ここにはどんな光や反射があったのか」を推測し、我々が実際に目にする映像へと再構築していく。

写真にたとえるなら、超解像度が「小さな写真を綺麗なまま大きく引き伸ばす」技術だとすれば、レイ再構成は「限られた光しか記録できなかったザラザラの撮影データを修正し、本来の光景に近づける」ようなものだ。出来上がった映像を後から磨くというより、その一歩手前、ゲーム描画のより“根元”に近い部分を整えている。
ここで難しいのが、過去フレームの情報をどこまで利用するかという点だ。以前の情報を残しすぎれば、すでに消えた光が残像のように残ってしまう。一方ですぐに捨てすぎれば、本来そこにある細かなディテールまで失われたり、映像が不安定に見えたりしかねない。つまりレイ再構成では、「何を残して、何を捨てるか」の判断が画質を大きく左右する。
DLSS 4.5では、ここに新たな第2世代Transformerモデルが導入された。より大規模なデータセットで学習し、ゲームエンジンから渡されるピクセルサンプリングやモーションデータも、従来以上に賢く利用できるようになったという。モデル自体も強化され、従来と同程度のパフォーマンスを維持しつつ、35%多い演算能力を活用し、20%多いパラメータを処理できるように。さらに開発者側でも、過去フレームの情報を蓄積・反映する「時間的蓄積」を細かく制御できるようになった。

要するに、AIによる推測そのものが賢くなったうえで、その判断のさせ方も細かく調整できるようになったわけだ。結果として、残像として残ってしまったものは素早く消し、本来残るべきディテールは維持する。その見極めが、以前より巧みになっている。
公開されている比較映像を見ると変化は分かりやすい。『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』では雪のパーティクルに生じていたゴーストが軽減。『Alan Wake 2』では、テレビに映る細かなホワイトノイズの線が、より鮮明かつ安定して保持されている。何か新しい表現を足すというより、これまで「十分綺麗」と思っていた映像の中にあった、失われた情報や小さな違和感を減らしているのだ。
『PRAGMATA』では、“光が消える瞬間”に違いが見えた
実際にゲーム内での変化を確認するため、カプコンの『PRAGMATA』にてDLSS 4.5 レイ再構成を体験した。検証環境は、GPUにGeForce RTX 5070 Ti、CPUにAMD Ryzen 7 7800X3D、メモリ32GBという構成。パストレーシングとレイ再構成をONにし、これまでの環境であるDLSS 4準拠のレイ再構成と、DLSS 4.5版を比較した。
まず違いが分かりやすかったのが、太陽光発電所のレーザートラップが仕掛けられた場所だ。DLSS 4では、レーザーが通り過ぎたあとにも、その赤い光が壁や床へ焼き付いたように残り、残像としてしばらく見えていた。細かく観察しなければ気づきにくいものの、パストレーシングによる映像そのものが美しいぶん、こうした不自然な光の残り方は、ふとした瞬間に現実へ引き戻されるような違和感として悪目立ちする。

一方のDLSS 4.5では、レーザーが通り過ぎるのに合わせて周囲に落ちていた光もはっきりと消えており、そうした引っかかりはほとんど感じられない。面白いのは、単に「余計な残像がなくなった」というだけで終わらないところだ。レーザーそのものも輪郭や発光がよりシャープに見え、周囲の空間へ強い光を投げかけながら移動していることが伝わってくる。ただ赤い「線」が伸びているのではなく、その場を強烈な「レーザー」が横切っているという感覚。『PRAGMATA』のように、現実的な質感をもつ空間のなかにレーザーやホログラムといったSF的な表現が登場する作品では、こうした小さな違いも画面全体の説得力につながってくる。

透明なガラスへの反射にも変化があった。何か新しい物体まで映り込むようになったというより、もともと映っていたものの輪郭や細部が崩れにくくなり、よりくっきり自然になっている。主人公のスーツやディアナのように、細かなパーツや凹凸が密集した複雑なオブジェクトでも、細かな明暗や輪郭が残りやすく、立体感が増して見えた。

こうして見ていくと、DLSS 4.5によって何か新しいものが画面へ加わったというより、従来からそこにあった光や反射、細かな造形が、以前より損なわれずに見えるようになったという表現の方がしっくりくる。
さらに、壁面などの細部が細かくざわつくように見える「boiling」と呼ばれる現象も、従来のDLSS 4から軽減されていた。パストレーシングでは、限られたサンプルから光を計算する関係上、細かな点描のようなノイズが生じ、それが画面全体のぼんやり感につながることがある。DLSS 4.5ではそうした揺らぎが抑えられ、動かしている最中にも細部が安定し、よりレスポンスのよいシャープな映像に感じられた。

いずれも、解像度が一段階上がったときのような派手な変化ではない。並べて比べなければ気づかない部分もあるだろう。しかし一度違いを知ったあとで旧モデルを見ると、それまで意識していなかった光の残り方や、反射のぼやけ、細部の揺らぎが、今度は不思議と目につく。「レイトレだからこんなもの」と受け入れていた小さな違和感を、ひとつずつなくしていく。DLSS 4.5 レイ再構成の進化は、まさにそんなところに現れている。
綺麗なものをいかに崩さないか
DLSS 4.5 レイ再構成は、8月中にGeForce RTX 20シリーズから50シリーズまでのGeForce RTX GPUで利用可能となる予定だ。50シリーズのみが対応するマルチフレーム生成などとは異なり、幅広いGeForce RTXユーザーが利用できるアップデートとなっている。
なお、RTX 40/50シリーズでは新モデルによる性能への影響はごく小さいと見込まれる一方、RTX 20/30シリーズではアーキテクチャ上の制約から、若干のパフォーマンス差が生じる可能性があるという。多少の性能差には注意が必要とはいえ、最新世代だけに限定された機能ではなく、幅広いGeForce RTXユーザーがこうした改善を利用できるのは嬉しいところだ。

DLSSというと、どうしてもfpsや解像度といった数字に目が向きやすい。しかしレイ再構成が改善するのは、そうした数字だけでは表しにくい部分でもある。光が消えたら、きちんと消える。動いても細かなものが崩れない。本来そこにあるディテールを、ノイズと一緒に潰さない。
何かを派手に付け足すのではなく、ゲームがもともと持っている光や反射、ディテールを、なるべく損なわないまま画面まで届ける。そう考えると、DLSS 4.5 レイ再構成によって高まったのは、ゲーム画面の“鮮度”とでも呼ぶべきものなのかもしれない。すでに十分綺麗に見えるレイトレーシング・パストレーシングから、それでも残っていた細かな違和感を取り除いていく。DLSS 4.5 レイ再構成は、そんな“もう十分綺麗の先”を目指すアップデートに感じた。
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