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『レゴ バットマン:レガシー・オブ・ザ・ダークナイト』で、バットマンのファンだから見える景色。明るくおバカなのに、チラつくのは闇
オープンワールドゲーム『レゴ バットマン:レガシー・オブ・ザ・ダークナイト』を先行プレイした感想をお届けする。

セガは5月22日、オープンワールド型アクションアドベンチャーゲーム『レゴ バットマン:レガシー・オブ・ザ・ダークナイト』を発売予定。本作は主人公のブルース・ウェインが犯罪が頻発するゴッサム・シティのヒーロー「バットマン」となるまでのストーリーを描く「LEGO(レゴ)」ゲームだ。アメコミや映画を題材とした「LEGO」ゲームは数多く発売されており、その最新作として筆者も気になっていたタイトルだ。
そんな『レゴ バットマン:レガシー・オブ・ザ・ダークナイト』の発売に先駆けて、弊誌は序盤7時間の先行プレイをすることができた。本当はもっと短時間で先行プレイを終えて、感想記事の作成に早めに取り掛かるつもりだった。しかし、あまりにおもしろすぎたので、なかなかプレイをやめられず、7時間で泣く泣く先行プレイを一旦ストップしたかたち。本稿では、そんな先行プレイで得た本作のプレイフィールをお伝えしたい。なお、本稿はセガから提供していただいたSteam版のコードを使ってPCでプレイした。

ユーモアたっぷりでバットマンの反省を体験可能なストーリー
アメコミを代表するヒーローのひとりとして、バットマンは知らぬものがほとんどいない存在だろう。かといって、1939年におけるコミック雑誌からバットマンのことを1から100まで知っているというマニアも、こと国内においては稀であるに違いない。いわば、ファン層にガチ勢とカジュアル勢が併存するようなIPだが、「レゴ バットマン」ゲームシリーズはその双方を楽しませるようにユーモアを織り交ぜながら描かれてきた。本作にもそうした作風が受け継がれているのを随所に感じる。
原作でも語られたように、ブルース・ウェインがバットマンを志す契機になった事件はたしかに物悲しい。しかし、それを乗り越えようと不断の努力を続け、何事にも積極的に取り組む彼の姿勢は、ユーモアが売りであるはずの「LEGO」ゲームにおいてシリアスさで異彩を放っているだろう。「LEGO」ゲームはシリアスとコメディのバランス感覚が優れているシリーズだが、本作「バットマン」は過去最高といえるほど緊張と緩和のバランスが絶妙だ。


序盤でとりわけユーモアが感じられたのは、「影の同盟」を自称する忍者軍団の加入試験に挑戦するシーンだ。影の同盟のリーダー格であるラーズ・アル・グールに、雪山の頂上に生えているという青い花の採取を命じられるが、危険な場所に生えているために入手するのは骨が折れそうだ。命をかけて先へ進む主人公だったが、同行する“ヤギ”がひょいとジャンプで青い花を入手するという予想外の展開。「よくやった、最高!」と褒める主人公だが、次の瞬間はヤギの足場が不安定になったことで主人公たちのもとを離れてしまった。これには同行者のタリアは「最悪」と毒づく。バットマンらしいストーリー展開と、バットマンらしからぬ軽さが共存している本作を象徴するシーンだ。
とはいえ、ヤギの失態で物語がグダグダと引き延ばされることはなく、やはり「LEGO」ゲームらしい軽快な解決策で展開を見せる。主人公とタリアが協力することでパラシュートのようなものを作り出し、屋上に到達することができた。本作はフィールド上でLEGOブロックを組み合わせて特定の構造物を作ることができ、ダイナミックな解決方法を見せてくれる。


妙な苦労を重ねた末に待っているのは、危険な場所でしか入手できないと思い込んでいた青い花が山の頂上付近の出店で大量に売られているという光景だ。ご丁寧に、店の近くには乗客を運ぶロープウェイも運行されているようで、あまりにユルいオチに驚いてしまった。ラーズ・アル・グールや青い花を巡るストーリーラインは映画「バットマン ビギンズ」で描かれていたものがモチーフとみられる。もちろん映画には失態を犯すヤギも花屋の出店も登場しないため、とことんコミカル化されたものが本作の一連のエピソードというわけだ。原作の「バットマン」の作品群は陰鬱な描写も多く緊迫しているが、本作なら子どもはもちろん、大人でも幅広い層が楽しみやすいだろう。「バットマン」入門にもいいし、原作ファンでも“本家”からかけ離れた違いも楽しめるわけだ。

キャラクターの特性を活かして進んでいく共闘感
過去の「LEGO」ゲームは、プレイアブルキャラクターが100人を超えることも多かったが、最新作の『レゴ バットマン:レガシー・オブ・ザ・ダークナイト』では主要キャラクターのみがプレイアブルキャラクターになっている。この試みについては、個人的に賛成したい。膨大なプレイアブルキャラクターを使いこなしていく楽しみはたしかにあったが、すべてのキャラクターで明確な差異を見つけることが難しい場合も存在した。
本作の序盤7時間をプレイしたところでは主人公のバットマンは当然のことながら、ゴッサム市警本部長のジェームズ・ゴードンと義賊的な盗賊を生業とするキャットウーマンの3人がプレイアブルだった。ゲームを進めていくとさらなるプレイアブルキャラクターが解放されていきそうだが、3人だけでもかなりのやり応えのあるゲームプレイだったことは強調しておきたい。
キャラクターはそれぞれ攻略に必要なガジェットを備えているため、自然と使い分けも必要となる。キャットウーマンは子猫を召喚して狭い通路から鍵といった重要なアイテムを拾ってくることができるし、ジェームズ・ゴードンは液体を凍らせるガジェットを使用することができる。また、ジェームズ・ゴードンはゴッサム市警本部長であるため警察官から信頼が篤く、場合によっては彼で警察官に話しかけないと有用な情報が得られないこともあった。そうしてペットや人間関係を活かすキャラクターがいる一方で、改めてバットマンを使うとその異質さも際立つ。科学技術を活かして開発された爆発スプレーなどで犯罪と戦うバットマンはやはり他者とは一線を画す孤高の存在だ。またそこにはバットマンの「恐怖によって街を守る」という信念がうかがい知れる。


ストーリーを先に進めるには、各キャラクターの能力をきちんと使い分けることができるかにかかっている。この共闘感がバットマンの孤独感を埋めるものであり、プレイしていて好印象を抱いた。バットマンは行き過ぎた正義感が見え隠れすることがあるが、私は彼を善人であると信じたい。映画でもバットマンの本性は度々テーマとなってきたが、どこか緩い雰囲気の本作だからこそバットマンの素の感情を垣間見ることができたようでうれしかった。
コミカルで万人が無理なく触れられるストーリーだからこそ、「バットマン」を詳しく知らない人にも本作をおすすめしたい。私のなかでは本作は“バットマン総論”のようなものであると考えている。本作で「バットマン」の基礎的な部分を学んで、各作品におけるバットマンの苦悩や葛藤を含む冒険については映画で堪能すればいいのだ。ゲームではかなり軽快なバットマンとキャットウーマンのやり取りも、映画ではまた違った印象を受けるだろう。

ステルスアクションとスピーディーなバトルでサクサク進行
原作ネタを仕込みながらも、本作のストーリーはテンポよく進んでいく。各キャラクターのガジェットを活用した謎解きのシーンも存在するが、序盤7時間をプレイした限りではそこまで頭を悩ませる謎解きはなかった。それはミッションエリアにおけるプレイヤーの視線誘導が適切であり、どのガジェットを使用すればいいのかがわかりやすいからだ。さらに、右スティック押し込みで調べるべき場所がわかるため、詰まりにくいユーザーフレンドリーな設計となっている。
攻撃、回避、カウンターを組み合わせてバトルは戦っていく。「バットマン」を題材にしたゲームとして評価の高い『バットマン:アーカム』シリーズのコンバットシステムの影響を受けているように感じられた。カウンターがとにかく強いため、こちらと相手の位置取りが極めて重要となる。位置取りと聞くと難しく思えるかもしれないが、主人公たちの動きは機敏であるため「入力が間に合わなかった」といったストレスは感じにくい。先行プレイでは、バトルにまだ慣れていない状態であっても50コンボ以上を達成したことが複数回あった。
接近戦が好みではないという場合は、ステルスアクションの要領で相手の頭上や背後から奇襲を仕掛けて一撃で戦闘不能にすることも可能。このとき、プレイヤーキャラクターだけでなく仲間キャラクターも同時に相手を一撃で戦闘不能にしてくれることが数多くあったので、想像以上に複数の敵を短時間で倒していくことができる。バットマンはスーパーパワーを持たないめずらしいヒーローではあるが、世界を放浪してさまざまな武術を習得した人物だ。その強さが遺憾無く発揮されるのは、やはりファンとしてうれしい。


またここまで「バットマン」らしからぬカジュアルさ・コミカルさを中心に紹介してきたが、筆者はバットマンのファンとして本作に一気に惹きこまれた要素がある。本作ではバットマンの愛車であるバットモービルで街中を走っていると、警察無線から市民の救助を要請されることがあるのだ。犯罪者から市民を助けることがバットマンの本分であり、とりもなおさず現場に駆けつけて市民を救出できたことは、本作でもっともバットマンになりきることができた実感があった。バットモービルで一目散に現場に向かい、マントで空を飛んだり、グラップリングフックで高所に上って犯罪者の頭上から強烈な一撃を見舞う。凶悪犯に手加減は不要であり、このバットマンの徹底した姿勢こそが犯罪者たちからバットマンへの恐怖となっての治安改善につながるのだ。一方で救出した市民から告げられた「ありがとう」は、法を逸脱したダークヒーローとしてのバットマンの心をわずかばかりか癒してくれるだろう。
なお7時間の先行プレイを経た進行度は、バットマンの最大のライバルとして名高いジョーカーと一戦を交えるところだった。一応の決着は付けることができたが、ゴッサム・シティにはまだ悪の種が蒔かれているように思える。これからもゴッサム・シティを正しく守っていけるかは、ダークナイトことバットマンにかかっている。


「バットマン」の陰鬱さが、散りばめられたユーモアによって緩和されている本作。“総論”として子どもや入門者が楽しめるだけでなく、原作を知る者はコミカルな本作の光を通して、かえって本家の色濃い影が際立たって感じられることだろう。幅広い層がそれぞれの角度から楽しめる『レゴバットマン:レガシー・オブ・ザ・ダークナイト』は、「LEGO」の親しみやすさの中に、「バットマン」という作品がもつ奥行きも感じさせるゲームになっていた。
『レゴバットマン:レガシー・オブ・ザ・ダークナイト』はPS5/Xbox Series X|S/PC(Steam/Epic Gamesストア)向けに5月22日に発売予定。Nintendo Switch 2向けの発売日は近日発表される見込み。
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