釣り物語ゲーム『フィッシング・パラダイス』は気持ちよさテンポよし。『Ghostwire: Tokyo』から感じる猛烈な優しさ。デッキホラー『Playable Mockup』を楽しむ。今週のゲーミング


Now Gamingは毎週日曜日、各ライターがその週にプレイしたゲームについて、ゆるく書きちらすコーナーです。339回目です。ゲームイベントの季節。


すでにクオリティが高い

今週は『Nine Sols』の体験版をプレイ。『返校』『還願』の開発元のアクションゲームです。東洋&サイバーパンクな世界観とアニメ調グラフィックが魅力的で、導入部分のストーリーから早くも惹き込まれる。ソウルライクを意識した2Dアクションは難易度高め。ただ操作の手触りが良く、パリイや呪符での爆破なども爽快で、何度も挑戦したくなる。来年の完成が楽しみです。

なぜ今頃この体験版をプレイしていたのかというと、Steam Deck非対応だと思っていたら、実は動くことが判明したから。動作しないパターンのひとつとして、カラーバー表示になる症状があり、本作もそうだったのです。ただ、何気なく放置しているとゲームが開始した次第で。どうやらこのカラーバーは、特定の映像要素が互換動作しない場合に適用される模様。先行プレイ中の某社の未発表作品も、エンディングになって表示されていました。いずれ改善されると良いのですが。
by. Taijiro Yamanaka


無限回廊を周回する

今週は、『Playable Mockup』Steam版を遊んでいました。本作は、心霊写真の中で深夜0時を目指す、デッキ構築型のカードゲームとホラーを組み合わせた作品です。ざっくり説明すると、本作では回廊内に被写体(カード)が展示されているので、カメラを使ってデッキに加える被写体を選択します。探索の間に訪れるギャラリールームでは、構築したデッキを使用して回廊の時間操作や能力の強化を実施。最終的に、深夜0時にある魂の捕獲が目的となります。訓練モードでは魂を捕獲するだけなのですが、推理/上級推理モードでは犯人当てが追加。不気味な雰囲気の中でデッキを構築する、緊張感と論理のゲームプレイが待ち受けています。

本作には独特のシステムに加えて、脅威性の被写体を含めていくつか要素があり、最初は複雑に感じるかもしれません。ですが本作では、推理を前提にカード部分の難易度は控えめ。不穏な回廊の探索と不明瞭な死因に慣れる頃には、ある程度自在に写真の中を歩けるようになっているでしょう。また本作にはフリーゲーム版が数バージョン存在します。Steam版では被写体追加とバランス調整が実施。フリー版も大きな更新の度に遊んできたのですが、実績によってやりこみ要素が明確になったこともあり、今回もついつい回廊を駆け回っていました。同じシステムを採用した開発中の新作『フォトジェニック・マインド』にも期待したいです。
by. Keiichi Yokoyama


わんこそばのようなテンポ

今週は『フィッシング・パラダイス』を遊んでいました。本作は、釣りを気楽に楽しめるアドベンチャーゲーム。主人公の少女は記憶もなく、気づけばなぜだか天国にいました。やけに語気が強い小鳥の導きに従って、魚釣りに勤しむことになります。ゲームプレイは、軽快なミニゲーム感ある釣りパートと、天国の人々との交流を描くADVパートの両輪でもって進むかたちです。全体的にテンポがとてもよく、釣りパートも難易度控えめでシンプルな作りとなっています。

そして釣りパートは、シンプルとはいえ細部まで丹念な仕上がり。体験そのものが気持ちよくなるよう気を使って作られている印象で、結構な長時間やっていても“作業感”は薄め。ゲームが進行するごとに新しい要素やロケーションが程よく追加されるため、釣り自体に疲れてしまうことなく無心に釣り糸を垂らせます。ユーザーのことを考えたストレスない進行は、世界観が共通する前作『くまのレストラン』でも同様でした。また前作同様、『フィッシング・パラダイス』も予想外の奥行きがありそうな雰囲気。安定した作品作りに、開発元Odencat新作『メグとばけもの』の方にも期待が膨らみます。
by. Seiji Narita


ただしゲロゲロに酔う

遅ればせながら『Ghostwire: Tokyo』をちょこちょこ進めています。このゲーム、めちゃくちゃ優しいゲーム。ホラーさや不気味さもありますが、そういったジャンルが苦手な人も歓迎する配慮が持ち合わせられており、この点にかなり好感もってます。東京の再現度などは前評判高かったですが、のんびり探索ゲームとしてよくできている。まずフィールドに敵が少ない。敵がいるとめちゃくちゃしっかり教えてくれる。探索要素も多い。報酬も多い。相棒も優しい。成長すると逐一褒めてくれる。ジャンプスケア(びっくり演出)ほぼない。動物だらけ。と、優しさだらけ。筆者はホラーがド苦手で、プレイ始めるのにも腰が重かったのですが、ホラー要素は極力抑えられていて非常に遊びやすい。ゆるふわ妖怪ダイナミックアイテム収集東京アドベンチャーといったところでしょうか。

とはいえ、このように満足しているのは、プレイ前に「オープンワールドホラーアクションではないよ」と、把握していたところも関係ありそう。ガワはホラーっぽいものの(開発元が否定していたとはいえ)、ゆるふわ探索ゲームなので、緊張感や大冒険を期待する人にがっかりするのもわかる。どのようなゲームを期待するかで大きく評価がわかれるのだろうなと。ゲームジャンルも多彩化してきているので、ユニークな作品だとユーザーがどのような期待をもつかでその作品の評価が分かれるケースも最近よく見かけ、宣伝の難しさを感じます。
by. Ayuo Kawase