大学を中退したモラトリアム中のネコが森の秘密を追うADV『Night in the Woods』2017年1月10日発売決定


インディーデベロッパーのInfinite Fallは10月26日、『Night in the Woods』の発売日が2017年1月10日に決まった旨をアナウンスした。対象プラットフォームはPC/Mac/LinuxおよびPlayStation 4。北米版のPlayStation.Blogでも発売日の決定を報告している。

『Night in the Woods』は擬人化された動物たちの交流と成長を描く2Dアドベンチャーゲーム。2013年にKickstarterでのクラウドファンディングを実施し、わずか26時間で目標資金額(5万ドル)を達成。1か月後には目標を大幅に上回る約20万ドルに達した。北米で開催されたゲームイベントのPAX East 2016では、一部のタイトルにしか出展枠が用意されないメガブースに選出されたことからも、高い期待を背負ったタイトルであることが伺える。

主人公は大学を中退して故郷の田舎町「Possum Springs」に戻ってきたMae。学生時代と変わらず目的のない刹那的な遊びとスリル欲しさの万引き行為に走るMaeだが、彼女がいない間に町の様相は変わり、旧友たちは皆それぞれの道を歩みはじめている。自分だけが取り残されてしまったような感覚に陥り、変わらなくてはいけない、いつまでも同じ生活は続かない。そう心の中では分かっている。けれど学生時代の思い出にひっぱられて大人になりきれずにいる。多くの人が一度は経験したことのあるようなモラトリアム特有の内面の変化を、チャーミングなアートスタイルとキャラクターで描いている。ときにはメランコリーで、マリファナを吸いながらバカ話をする海外学園ドラマのような自堕落コメディ要素もある。

大人になってしまった旧友たち
大人になってしまった旧友たち

旧友や町の人々と交流する日常を送る一方、『Night in the Woods』というタイトルが示唆するように、町はずれにある夜の森では何かがMaeを待ち受ける。それはモラトリアムからの成長物語によくある「いずれ死が訪れるという事実を受け入れる」ための試練であろうか。ちなみに、Infinite FallのAlec Holowka氏は本作を「死の不可避性と……ピザパーティ」という言葉にまとめている。Holowka氏はメンタルヘルスに関するPodcastチャンネルでインタビュアー役をつとめており、重みのあるテーマへの関心は『Night in the Woods』にも影響していそうだ。

夜の森で待ち受けるのは…
夜の森で待ち受けるのは…

本作には走る・飛ぶの操作があるものの、アクションがメインのゲームではない。町を探索し、キャラクターとの会話やアイテムを調べていくことがゲームプレイの主軸となるようだ。ポイント&クリックアドベンチャーのように、特定のアイテムを適切なキャラクターに渡すことで物語を進めるパズル要素もある。途中にはいくつかのミニゲームが用意されており、野球用バットで蛍光灯を叩き割っていくものや、ノーツ型リズムゲームなど、プレイヤーを退屈させないよう適度な刺激をはさむ工夫がなされている。こうしてさまざまな体験を経ながら、Maeがどのキャラクターと時間を過ごすかによって物語の展開が変化していく。一度のプレイではイベントの全てを網羅することはできず、周回プレイが楽しめるようになっているとのこと。また、リラックスしてプレイできるよう秋の訪れを感じさせる優しくて明るい音楽が迎えいれてくれる。まるで海外の動物アニメを見ているようだ。そんなサウンドトラックの一部は下記のSoundCloudにて確認できる。

Infinite Fallはリリース日までに新たなトレイラー動画を公開する予定であるほか、近日中には各種販売サイトのページがオープンする。気になる方はInfinite FallのTwitterアカウントをフォローしておこう。PAX East 2016で公開された24分におよぶゲームプレイ動画も、ゲームの雰囲気をつかむうえで参考になるだろう。ちなみに、いままでに公開されたプレイ動画を見る限りだと、作中のダイアログはビジュアルに合うやさしい英語で統一されており、一文も短く区切られている。日本語翻訳が出なくてもプレイしやすい部類といえるだろう。