北朝鮮アクションゲーム『Glorious Leader!』開発停止 “サイバー攻撃を受けた”と訴える

Glorious Leader!』のデベロッパーMoneyhorseは、Kickstarterにて開発資金を募っていた本作のクラウドファンディングを中止すると発表した。『Glorious Leader!』(記事執筆時点でWebサイトはダウン中)は、朝鮮民主主義人民共和国の指導者である金正恩を主役としたアクションシューティングゲームだ。金正恩が単身でアメリカの軍隊と戦うというブラックユーモアにあふれた内容で、国内外のメディアやゲーマーからいろいろな注目を集めていた。

 


脅迫とサイバー攻撃が相次ぐ

 

See also: 北朝鮮の金正恩とアメリカ軍が戦う16bitゲーム『Glorious Leader!』がKickstarterに登場Moneyhorseは昨年12月の時点で、公式Webサイトに対してサイバー攻撃の被害があったことを報告している。Webサイトのコントロールを一時的に失ったものの、Kickstarterの支援者に関する情報などが流出した可能性は一切ないと伝えた。またアメリカ政府や北朝鮮が関わった証拠はないとし、模倣犯の可能性が高いと推測していた。

過去にも同様の攻撃にあってきたと語るMoneyhorseは、Webサイトの復活とセキュリティの強化を約束していた。だが今月に入ると事態はさらに悪化する。攻撃者により『Glorious Leader!』をふくむ複数プロジェクトのデータが破壊され、自分たちがコンピューターやWebサイトから締め出されたという。昨年からサイバー攻撃に悩まされ続けてきたMoneyhorseは、今回の件を1つの契機と見てKickstarterのクラウドファンディング中止を決意したようだ。記事を執筆している現時点でも、Webサイトはダウンしている。

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とはいえ、『Glorious Leader!』のクラウドファンディングが決して順調には進んでいたわけではない。発表以降、大きなプロモーションを打つことはなく、集まった額も5万5000ドルの目標額に対し1万6000ドルほどに留まっていた。実際にMoneyhorseも、この件については認めている。今回のクラウドファンディングが成功しなかったのは明らかであり、Kickstarterでの進展を1つの理由としてキャンペーンを中止したと伝えた。

『Glorious Leader!』は、アメリカ軍から突然の攻撃を受けた北朝鮮が舞台となる2Dアクションゲームだ。プレイヤーは金正恩を操作し、マシンガンやバズーカなどの武器で敵を粉砕してゆく。ゲーム内に敷き詰められたブラックジョークが同作の魅力だ。彼の父である金正日はシューティングにおけるボムような存在で、マップ上を回転しながら敵を破壊する。過去に北朝鮮を訪問したことがあるデニス・ロッドマンも、プレイアブルキャラクターとして参戦することが示唆されていた。

北朝鮮からのサイバー攻撃が取りざたされたソニー・ピクチャーズの映画『The Interview』は、右往左往のすえ復活を遂げたが、『Glorious Leader!』もそうなるかは不明だ。サイバー攻撃だけでなく脅迫被害も何度か受けてきたと語るMoneyhorseは、『Glorious Leader!』への関与をあらためて考えなければならないと伝えている。当面開発は停滞することになるだろう。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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