「コアゲーマーがFree-to-Playを“汚いこと”だと思うのは尊重する」、『LawBreakers』発表のCliffy Bが語るF2P観

 

『Gears of War』のゲームデザイナーとして知られるCliff Bleszinski氏は、自身が設立したスタジオBoss Key Productionsの初タイトルである『LawBreakers』を正式発表した。本作はCliffy Bがかつて開発に参加した『Unreal Tournament』などに代表される「アリーナ型FPS」だ。先週末に公開されたゲームプレイ映像では、ロケットジャンプやグラップリングフックを駆使した激しいアクションシーンが披露された。

参考記事: 「Gears of War」のCliffy B新作『LawBreakers』が正式発表。ネクソンと連携しF2Pで展開へ、アリーナ型FPSの復興を目指す

『LawBreakers』は、ネクソンとの提携でFree-to-Playタイトルとして展開されることが明らかにされている。近年MOBAの流行と共に、コアゲーマー向けのFPSがF2Pで展開されることも珍しくなくなった。だがそれでも、運営母体ネクソンの過去のずさんなサポート体制を例に挙げた批判に加え、『LawBreakers』のF2P採用に対する不安を吐露するユーザーも少なくない状況である。

このF2P展開に関しCliffy Bは、「知覚価値の考え方なんだよ。コアーゲーマーはFree-to-Playを汚い、汚いことだと捉えてきた。そのことは尊重する」と、海外メディアDestructoidのインタビューのなかで語った。「自分もFree-to-Playのゲームに支払ってきたお金はごくわずかだ。映画のビューティフル・マインド(みたいにF2Pの真理を理解しているわけ)ではないけど、どうしてそういうことが起こるのかはわかるんだよ。『Hearthstone』なら、自分も“ほら60ドルだ、オレにパックをよこしやがれ”という感じになる」。

Cliffy Bは、F2Pゲームでお金を払う場合の気持ち、払わない場合の気持ちを自身は理解しているとする。そして重要なのは、F2Pゲームはそれぞれの気持ちを持つプレイヤーの両方を満足させることができるという点であると説明している。つまり、お金を払いたいなら払えばいい、だが払いたくなければ無料でもゲームを遊ぶことができる。問題となるのは、ユーザーからお金を巻き上げるようなF2Pを展開した場合だ。

Cliffy Bは、「我々は良きFree-to-Playをやりたい、ラスベガスやモバイルのFree-to-Playじゃないんだ」と一度会話を締めくくった。今年3月にCliffy Bは、海外メディアIGNに取材されたPAXのパネルのなかで、良きF2Pを“ディズニーランド”に、悪しきF2Pを“ラスベガス”にたとえていた。ディズニーランドはさまざまなアトラクションがあり、お金を払えばそれぞれ遊ぶことができる。一方でカジノが多数あるラスヴェガスでは、楽しむために客にノンストップで金を支払わせ続ける。Cliffy Bが目指しているのは、ディズニーランド型のF2Pなのだという。

Cliffy Bと共に『LawBreakers』を開発するArjan Brussee氏は、かつて『Killzone』シリーズの開発にたずさわってきた人物である。「我々は60ドルも取りたくないが、ファンは『Gears of War』や『Killzone』のゲームをプレイするためにお金を支払ってきた。だからFree-to-Playを活用して上手いことやれると思うよ」と彼は伝える。良きF2Pモデルでゲームを運営できたとしても、F2Pゲームに慣れ親しんでいないファンたちを『LawBreakers』に惹き寄せることができるかどうかは、彼らの腕次第だ。

Cliffy Bは、予約販売が「最初の2か月でどれだけ売れるか」というビジネスモデルであり、その後の販売数は急激に落ちていくと説明する。対して『LawBreakers』で狙うのは、徐々にプレイヤー数を獲得してゆくスタイルだ。「我々は最初の数か月で大金を稼ぐことはできないだろう。だが最初の1年で我々は準備を進めてゆく。この手のゲームはどんどん加速してゆく列車のようなものなんだ」。果たして『LawBreakers』はF2Pに慣れ親しまないプレイヤーたちも巻き込むことができるのだろうか。本作は2016年よりサービス開始予定だ。