『メタルギアソリッド』マスターコレクション第1弾は「時代にそぐわない表現」があるもののそのまま収録。いろいろ思い当たる


『METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.1』各収録作品にて、「時代にそぐわない表現がある」との注意書きが表示されるという。海外メディアGamesRadar+が伝え、SNS上で注目が寄せられている。


『METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.1』は、ステルスアクション(タクティカル・エスピオナージ・アクション)ゲーム『メタルギア』シリーズの35周年を記念した移植版第1弾だ。『METAL GEAR SOLID』『METAL GEAR SOLID 2 SONS OF LIBERTY』『METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER』のほか、シリーズの原点となる2D作品『METAL GEAR』『METAL GEAR 2 SOLID SNAKE』を収録。また、FC/NES版『METAL GEAR』や『SNAKE’S REVENGE』などの関連作品も盛り込まれたコレクションとなっている。

そんな本コレクションにおいては、「時代にそぐわない表現」についての警告メッセージが表示されるという。GamesRadar+によれば、本作収録の全作品において起動時に「ゲーム内に時代にそぐわない(outdated)表現やテーマが含まれる可能性があるものの、時代背景とクリエイターの意図を尊重するためにそのまま収録している」といった文章が出るそうだ。


『メタルギア』シリーズは、前述の通りすでに35周年を迎えている。3Dに移行した『METAL GEAR SOLID』は1998年、『METAL GEAR SOLID 2』は2001年、そして『METAL GEAR SOLID 3』でも2004年の作品であり、当時から考えればすでに隔世の感がある年月が流れている。そんな中で当時から価値観も大きく変わっており、そうした警告文の挿入に至ったのだろう。

しかし気になるのは「何が時代にそぐわない表現なのか」という点だ。たとえばGamesRadar+は「メイ・リンを口説こうとするスネーク」「EVAの胸を見る要素」といった点に言及している。また、雷電(およびライコフ)の性別などにまつわるジョークも今の時代にどう受け止められるか気にかかる点だろう。また性欲などについての言及も、そうした要素になりうるかもしれない。今回のGamesRadar+による報告について、「どの部分が“時代にそぐわない”のか」と推測するユーザーもSNS上などで散見される。

一方で留意しておきたいのは、『メタルギア』シリーズが多様な価値観を尊重することを伝えてきた作品でもある点だ。『METAL GEAR SOLID 2』では、バイセクシャルのキャラクターであるヴァンプが初登場。ゲーム内で正式にキャラクターのセクシャリティが明示される当時としては珍しい例だった。ほかにもセクシャリティやジェンダーに限らず、民族・人種・障害などさまざまな境遇や属性の人々を描くことを、意図しておこなってきたシリーズといえるだろう。


なお、今回報告されたような「時代にそぐわない表現」に対する注意書きは、ほかのリメイク/リマスター作品などでもしばしば見られる。特に『メタルギア』シリーズに限ったことではなく、現在の価値観との乖離について伝える一般的な表示といえるだろう。そうした表現が現代向けに修正されたと見られるケースもある(関連記事)。また、ゲームに限らずさまざまな娯楽作品で、当時との価値観の相違についての注意書きは見られる。『METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.1』収録作品含めて、「当時から価値観がどう変化したか」「時代にそぐわないと思われた表現はどれか」と分析してみるのもよいかもしれない。

【UPDATE 2023/8/22 13:24】
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