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「不評じゃないけど」と言い張る不評レビューに、開発者が悲痛な叫び。“好きだけど不評”の見過ごせない重み
Steamユーザーレビューにて「否定的なレビューをするつもりはないけど」と前置きしつつ投じられた不評レビュー。同レビューに対し、ゲームの開発元が苦言を呈し、話題となっている。

ソーシャルメディアのXにて、とあるゲームにつけられた低評価のSteamユーザーレビューの内容を嘆く開発者の投稿が話題となっている。開発者は、X上で対象のレビューを共有。低評価を付けつつも、「不評じゃない」と前置きしてゲーム内容を賞賛する矛盾したレビューがあったとして、悲痛な声をあげている。
話題となったゲームは、デベロッパーのThe Wild Gentlemenが手がける『RetroSpace』だ。対応プラットフォームはPC(Steam)/PS5/Nintendo Switch 2/Xbox Series X|S。本作はホラー要素のある物語主導型のFPSゲームで、舞台となるのは遠い未来における一隻の宇宙船。人類は新たな故郷を探すため、多数の巨大な都市型宇宙船で長い放浪の旅の最中にあった。ところがある時、その中の一隻が航路を外れ、ブラックホールに吸い込まれてしまう。主人公は、そんなブラックホール内の虚空を漂う宇宙船で一人目覚め、奇怪な化物がはびこる廃墟と化した巨大船「オーロラ5」内を探索することになる。なお、本作は日本語表示に対応している。

『RetroSpace』は2026年6月12日にデモ版が公開。本稿執筆時点のSteamユーザーレビューにおいてはデモ版でありながら200件以上のレビューを集め、うち80%が好評とする「非常に好評」のステータスを獲得している。本作の最大の特徴は何と言ってもタイトルにもなっている“レトロ感”だ。荒いドット調の3Dで描かれた作品でありながら、所々で目にする各種機械群はどれもレトロフューチャーな魅力を放っている。ポスターやサウンド、アイテムの説明文に至るまで世界観がしっかりと保たれているほか、目立ったバグもなく、音や光に関するステルス要素もあり、インディーゲームでありながらその高い完成度を評価する声も多い。
一方、本作はデモ版の時点で難易度を選択できない。敵対的なタレットやモンスターの攻撃はある程度苛烈な上、回復アイテムも限られるのですぐやられてしまうという声も散見される。また、本作はシンプルなグラフィック故に似たように感じる通路が多く、ミニマップが存在するものの迷いやすいという意見もみられる。
とはいえ、死にやすさの面では本作のデスペナルティはそう重くない。プレイヤーは過去の自分の死体を回収することで死亡によるデバフを消し去ることができるためだ。復活・回復地点も各地に用意されているので、本作においてはやられてしまうことが織り込み済みのゲームバランスになっているといえる。

そんな『RetroSpace』に対し、一つの低評価レビューがよせられた。レビュー内容としては、「否定的なレビューをするつもりはないけど(NOT TRYING TO BE A NEGITIVE REVIEW)」と前置きしつつ、『BioShock』などの類似作を挙げながら本作のアイデアを賞賛。デモ版が気に入ったことを伝えている。その上で、音響に関しては「意図的かもしれないが、ややごちゃついていて圧倒される」と指摘。とはいえ「全体的に楽しみ」と締めくくっており、コメントを読む限りでは、製品版に期待を寄せているレビューといえる。ところが、そんなレビューは「低評価(おすすめしない)」として投稿されている。つまりレビューの前置きや全体的な内容と、選択された評価が矛盾している格好だ。
これに対し、開発者側はXにて「こういったことは助けにならず、ゲームを傷つける(This is not helping, this actually hurts the game)」と投稿。否定的なレビューをするつもりがなく、デモ版を楽しみ、製品版に期待してくれるのなら、低評価レビューはやめて欲しいとポストで綴っている。またこういった低評価のレビューは、そのゲームを知らないユーザーに、書き手の意図とは異なる印象を与えかねないとしている。この場合は、レビューを書いたユーザーが否定的なレビューをするつもりがなくても、Steamユーザーレビューの好評率が下がることなどで、結果的に“期待しているゲーム”の評判を傷つけてしまいかねないということだろう。その上で、開発者は「正当な評価であれば否定的なレビューをするのは問題ない」としつつ、「今回のレビューはただ有害だ(But this kind of review is just harmful)」と強い言葉で締めくくった。

ゲームに対し、どのようなレビューを書くかはユーザー側の自由であるが、Steamではたびたび、低評価レビューを巡る開発側の苦悩が語られる。現在では、ゲームの内容に言及しないといった明らかなトピックずれや、何らかの抗議の意図などをもって行われることのある、いわゆる「低評価爆撃」などの“不当な”レビューは評価ステータスなどの集計から除かれる仕組みとなっている。しかし過去にもジョークじみた低評価レビューや、“あえて”の不評レビューに開発者が困惑する出来事も存在した(関連記事1、関連記事2)。
Steamではレビュー数や評価が購入判断の重要な材料となるため、特にレビュー数の少ないインディー作品では、1件の低評価が全体の印象に与える影響も相対的に大きくなる。1件の差で、「非常に好評」が「やや好評」に転落する、というような可能性も秘めているわけだ。またSteamを運営しているValveは、ガイドラインなどを定めたSteamworksにて、好評率が40%を下回り「やや不評」になるとストア露出にも悪影響が生じるとしている。
そうした事情もあり、不評数が増えることは開発者にとって深刻な事態だろう。一方、ユーザーレビューを引用しつつ非難する今回の投稿には、一部ユーザーから批判も寄せられている。ValveはSteamworksにてSteamユーザーレビューにおいての開発者へのアドバイスとして、開発者が回答することにより、反論者を黙らせている、意見を否定していると解釈される可能性があるためとして、「レビュー執筆者と口論しないでください」といった注意喚起もおこなっている。「レビューに捉われて製品への取り組みへの妨げとならないようにしてください」とも言及されており、Steamユーザーレビューにたとえネガティブな内容、見過ごせない内容があっても、気にしすぎないことが推奨されているのだろう。
とはいえSteamユーザーレビューには先述したとおりマーケティング面にも影響しうる側面がある。今回『RetroSpace』の開発者は正当な不評は甘んじて受け入れる姿勢を示しており、せめて作品を好意的に評価しているのであれば不評にはしないでほしいという叫びがこぼれ出たのかもしれない。
ややネガティブな話題で注目を浴びた今作『RetroSpace』だが、ゲーム内容自体には賞賛の声が多く、上述した通り好評を博している。デモ版リリース後にはアップデートも行われており、Steamニュースではユーザーからのフィードバックに感謝しつつ、今後も精力的に開発に取り組む姿勢が語られている。引き続き磨き上げが図られると見られ、本作の行方には注目が寄せられる。
『RetroSpace』はPC(Steam)にてデモ版が配信中。リリースは2026年となっており、PS5/Nintendo Switch 2/Xbox Series X|Sでも配信予定だ。
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