プロゲーマーけんき氏が作るFPS『Project F』人が集まりつつ不評も集まる混沌スタート。課題の多い幕開けながら、初日に2度のアプデ実施など改善も進む

 

Fractal Gamesは8月3日、『Project F』の早期アクセス配信を開始した。対応プラットフォームはPC(Steam)で、基本プレイ料金は無料となっている。そんな本作はSteamDBのデータによるとリリース直後の22時頃には同時接続プレイヤー数1万8000人超えを記録し、注目を集めることに成功している。一方記事執筆時点では、Steamのユーザーレビューのステータスは「やや不評」。プレイヤーは集まったものの、課題も多い船出となったようだ。


『Project F』は、毎試合異なるマップで5対5の攻防を繰り広げる、タクティカルFPSである。本作でプレイヤーは防衛対象のモノリスを巡り、攻撃/防衛に分かれてチーム戦をおこなう。防衛側は2分間のラウンド内モノリスを守りきれれば勝利。最大13ラウンドの中で、攻防を入れ替えながら勝敗を決するのだ。

大きな特徴としては、マップが自動生成される点が挙げられるだろう。本作では試合ごとにマップが自動生成され、新しいマップで戦うことになる。最大13ラウンドの間は同じマップでプレイするものの、試合ごとにマップが異なるため、試合中のマップ攻略も勝敗に関わってくる。要素としては、キャラクターたちはそれぞれ瞬間移動や壁破壊といった能力を所持。キルボーナスなどによって武器を購入するシステムも用意されている。そのほか、本作は2週間のプレイ可能な期間と、その後3ヶ月ほどの開発期間を繰り返す形式でサービスが展開されるという。サーバーを開く期間を絞ることで、プレイできる間はほかのゲームよりも優先的に本作を遊んでもらう狙いがあるようだ。



本作は、かつて『レインボーシックス シージ』の競技シーンで活躍していたけんき氏による、オリジナルFPS制作プロジェクトとなっている。監修としては、同氏以外に複数のプロゲーマーやストリーマーも参加。プロのゲーム開発者や学生の開発者なども開発に携わり、制作が進められてきた。なお2021年4月開催のクラウドファンディングでは、330人の支援者より364万円以上の資金を獲得。けんき氏が7月16日に公開した動画によると、本作には1億円近い資金がかかっているそうだ。

そんな本作は、8月3日21時よりSteamにて早期アクセス配信が開始されている。配信開始直後には、多数のユーザーが本作をプレイ。SteamDBのデータによると、配信開始より約1時間後の22時頃にピークを迎え、最大同時接続者数は1万8920人に及んでいる。プレイヤーの確保が重要かつ難しい中小規模の対戦ゲームにおいて、一時的に1万8000人以上のプレイヤーが集まったことは、一つの成功と言えるだろう。なおSteamDBのデータによると、記事執筆時点における過去24時間のSteam上のピーク時プレイヤー数ランキングにおいて、本作は70番目に位置している。この24時間においてはSteamで『Battlefield V』(1万7985人)や『Arma 3』(1万5855人)よりも多くのプレイヤーが本作を遊んでいたと見られる。

*SteamDB内のスクリーンショット
*SteamDB内のスクリーンショット


プレイヤーは集まったものの、リリース直後の本作は多くの課題も抱えているようだ。Steamのユーザーレビューでは、記事執筆時点で867件中35%の好評率となりステータス「やや不評」となっている。Steamのユーザーレビューの内容を見ると、頻繁に誰かが落ちる、パーティーが組めない、10人でのマッチングが成立しないといった接続における課題やクラッシュに関する問題などが多く報告されている。また試合前のロード時間が長い、動作が重い、不具合が多いなど、最適化不足やバグに起因する不評も多く見られる。本作が本来想定している5対5でのゲームプレイが、多数の問題により体験しづらい状態となっていたのだろう。

一方でユーザーレビューには、リリース直後である点を考慮し、冷静にゲーム部分を批評する意見もある。そうしたレビューでは調整不足やゲーム全体のクオリティ不足を指摘されつつも、ゲームのコンセプトやけんき氏がこだわった部分は一定の評価を受けている。ユーザーからは最適化不足や不具合を中心に不評が集まったものの、一部コンセプトを評価する声もあるわけだ。今後に期待するようなレビューも多く寄せられており、アップデートによる課題点の改善が注目されるところだ。

なお本作の公式Twitter(X)アカウントやSteam内の投稿によると、本作では8月4日に少なくとも2度のアップデートが配信。アップデートにより、スクワッドを結成できない問題と、再接続できない問題、ホーム画面でESCキーを押すとフリーズする不具合などが修正されている。注目を浴びている中、まずは精力的に不具合修正が進められているのだろう。


『Project F』は、PC(Steam)にて基本プレイ無料で早期アクセス配信中だ。