Steamから突如削除された社会主義国家運営シム『Workers & Resources: Soviet Republic』ストアページが復活。アイデア盗用を訴えたユーザーと開発元が和解か


デベロッパーの3Divisionは3月4日、社会主義国家運営シミュレーションゲーム『Workers & Resources: Soviet Republic』のSteamストアページが再公開されたことを報告した。本作は今年2月、ある人物から著作権侵害の申し立てがおこなわれたことで、Steamから削除されていた。

『Workers & Resources: Soviet Republic』は、ソビエト連邦が存在した1960〜90年代当時をモチーフに社会主義国家を運営するシミュレーションゲームだ。計画経済体制のもと、工場や住宅の建設、インフラの整備などをおこない、市民に仕事をあてがう。また、ソ連構成共和国や西側諸国との交易をおこなうこともでき、ここでは資源価格の変動など金融シミュレーションも取り入れられている。

本作は、2019年3月にSteamにて早期アクセス配信が開始。現時点で約9000件のユーザーレビューが投稿され、その内の92%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得している。ただ今年2月15日に、本作は突如としてSteamから姿を消した。開発元3Divisionによると、ある人物からDMCA(デジタルミレニアム著作権法)に基づく著作権侵害の申し立てがおこなわれたことが理由だという。

この背景には、昨年11月のアップデートで本作に追加された「リアリスティックモード」があった。同モードの内容が、Steam上のガイド記事「Cosmonaut Mode」からの盗用であると、その作成者が訴えたのだ。Cosmonaut Modeは、ゲームならではの便利機能を避けてプレイし、よりリアルなシミュレーションを楽しむためのガイド。本作のリアリスティックモードも似た内容ではあったが、開発元は開発当初から構想されていたモードであるとし、さらに両モードの相違点や技術的な側面などから、盗用との訴えに反論していた(関連記事)。


Cosmonaut Modeの作成者は、リアリスティックモードは自身のアイデアであると開発元3Divisionに事前に通告していたそうだが、同スタジオからの返答を待つことなく著作権侵害を訴え始めたという。同スタジオが、そうした攻撃的な態度を受けて同ユー2ザーの主張を無視した結果、本作はDMCAの申し立てによりSteamから削除されてしまったそうだ。

それから約3週間が経ち、本作はふたたびSteamに掲載され販売再開された。3Divisionは、Steamを運営するValveに連絡していたことから、著作権侵害の事実はないと判断されたのかもしれない。同スタジオはファンに対し、本作のストアページ復活を報告するなかで、状況を甘く見ていたことで今回のような事態に陥ってしまったと述べた。

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一方で、Cosmonaut Modeの作成者もまたコメントを発表。3Divisionとは数か月前に何らかの合意をしていたとし、それを実行したという同スタジオに感謝の言葉を述べている。また、今回の問題は解決されたとしたうえで、本作の次回アップデートにて自身の名前が言及されると予告した。

さらに同作成者は、3Divisionは不正確な発表を撤回するだろうともコメント。それが何を指しているのかは言及されていないが、Steamでは先述した盗用の訴えに対する同スタジオの反論の投稿が削除されている。同スタジオがアイデア盗用の事実を認めたのか、あるいは両者が歩み寄って過去を水に流したのか背景は不明。

仮に、上述した予告がCosmonaut Mode作成者の本作へのクレジットを意味しているのであれば、リアリスティックモード開発に貢献したと一転して認められたのかもしれない。ともあれ、3Divisionは今回の一件はもう過去のものであるとし、通常の開発作業に戻るとした。

『Workers & Resources: Soviet Republic』は、PC(Steam)にて早期アクセス配信中だ。