『刀剣乱舞無双』豪華版の予約が瞬殺されるも、プロデューサーが「何かしらの対応」を働きかけ中。転売屋を絶対許さない審神者たちの戦い


DMM GAMESは9月25日、Nintendo Switch/PC(DMM GAME PLAYER)向け3Dアクション『刀剣乱舞無双』の予約を開始した。本作には通常版に加えて数量限定の豪華版が存在するが、豪華版は朝9時の予約開始後すぐ、各オンラインショップの予約数は満了となってしまったようだ。購入できなかったファンからの再生産や受注生産化を望む声を受け、『刀剣乱舞』原作プロデューサーのでじたろう氏は「何かしらの対応ができるように各所へ働きかけております」と回答した。

『刀剣乱舞無双』は、ブラウザゲーム『刀剣乱舞-ONLINE-』と『無双』シリーズのコラボレーション作品だ。『刀剣乱舞-ONLINE-』に登場するおなじみの刀剣男士たちが3D化され、戦国時代を舞台に戦いを繰り広げる。9月24日には公式情報番組「刀剣乱舞無双通信」が配信され、参戦する刀剣男士の一覧やバトルスタイル、豪華版の内容など多くの情報が公開された。番組では予約開始日が9月25日と発表され、ファンは同日朝9時からの予約開始に備えていた。

しかし、数量限定の豪華版はすさまじい速度で予約終了となった。9月25日朝9時に予約が開始されると各オンラインショップの在庫はまたたく間に姿を消し、朝10時ごろにはすでにほとんどのショップで予約できなくなっていたようだ。また、Amazonでは高額転売品とみられる出品が相次いでおり、記事執筆時点では3万円超の価格を提示するショップもある(豪華版の希望小売価格は1万7028円)。Twitterではこの状況を嘆く声が広がり、25日の昼ごろまでトレンドに「予約終了」「受注生産」といった関連ワードが上昇していた。


※ The English version of this article is available here

『刀剣乱舞無双』Amazonストアページより


豪華版の予約について多くの声が寄せられた結果、ニトロプラスの代表取締役社長で『刀剣乱舞』原作プロデューサーのでじたろう氏は自身のTwitterを更新。『刀剣乱舞無双』豪華版の予約について多くの意見が寄せられていることに感謝を述べたのち、「何かしらの対応ができるように各所へ働きかけております」と回答した。予約がまだ開始されていないショップがあることからそちらでの予約もお願いしつつ、可能な限りの努力を約束している。


『刀剣乱舞』のファンコミュニティと転売屋は、これまでも限定グッズが販売されるたびに戦いを繰り広げてきた。人気タイトルのグッズは転売屋の餌食となることも多く、『刀剣乱舞』もその例外ではない。しかし、審神者たちは転売屋が自分たちの欲しかった商品を買い占めるたびに、「転売品は絶対に買わない」という意思のもと戦い続けた。

2019年2月にアパレルショップのしまむらとのコラボアイテムが発売された際も大量の転売が問題となったが、ファンコミュニティ全体で転売ショップの違反通報活動をおこない、さらにしまむらへ再販を望む意見を送ることで、コラボアイテムの再販が実現した。2021年1月にファミリーマートで『刀剣乱舞』6周年を記念したオリジナルグラス・コースターセットが販売された際も、同様の戦法で転売屋に対抗。ファミリーマートはグッズの再販を決定し、先着だった販売方法は再販分では予約販売に変更された。

『刀剣乱舞無双』の豪華版も予約数が即満了したが、ファンコミュニティではこれまでのコラボアイテムのときと同様の動きが見られている。コミュニティ全体で転売品の不買を呼びかけ、転売ショップの違反通報方法をわかりやすく解説するツイートなども多く拡散されているのだ。まだ再販や受注生産が決定したわけではないものの、「粛々と通報し、公式に再販要望を送る」戦法が効き、でじたろう氏が対応に向けて動き出したのかもしれない。


『刀剣乱舞』のファンコミュニティには転売屋との戦い方のノウハウが蓄積されており、一丸となって転売商品にNOを突きつける土壌が形成されている。また、制作サイドがファンの意見に耳を傾け、これまでに何度も再販を決定してきたことも大きいといえる。あるかどうかもわからない再販を待つ状況では、転売屋の甘い誘惑に負けてしまいかねない。再販を信じる『刀剣乱舞』ファンと、ファンの意見に真摯に向き合う制作サイドの間には、これまで積み上げてきた並々ならぬ信頼関係が存在するのである。

予約が即満了し、転売が横行しつつある『刀剣乱舞無双』の豪華版。しかし、ファンが一丸となって転売品の不買運動をおこない、制作サイドへ意見を送った結果、プロデューサーの働きかけを得ることが出来た。Amazonでは現在、高額転売ショップへの通報が粛々と続けられているためか、はたまた分が悪いと感じて少しでも利益を確定させようとしているためか、転売品らしき出品は少しずつ価格を下げていっているようだ。それでも希望小売価格よりずっと高価なことには変わらないし、転売品の購入は商品の破損や個人情報の漏洩などのリスクもある。制作サイドからの続報を待ちつつ、本当に欲しいファンに商品が届くことを願っている。『刀剣乱舞無双』は2月17日発売予定だ。


©2015 EXNOA LLC/NITRO PLUS
©コーエーテクモゲームス All rights reserved.