大型Mod「Fallout: The Frontier」、公開停止から配布再開へ。スタッフの「小児性愛的」投稿のほか、“少女奴隷化”や“デスクローとの性交”などのコンテンツが問題に

 

The Frontier Teamは、公開停止していた『Fallout: New Vegas』向け大型Mod「Fallout: The Frontier」の配布を再開した。同Modは開発スタッフのひとりが「小児性愛的なアニメコンテンツ」を投稿していたとして、先週から一時的に配布をストップ。同時に、Mod内のコンテンツも問題視されるようになり、結果的には一部要素を削除して配布再開を迎えるかたちとなった。

「Fallout: The Frontier」は、2010年発売の『Fallout: New Vegas』をベースとした大型Modだ。モハビから舞台を移したオレゴン州ポートランドで、NCR軍とさまざまな派閥の抗争が描かれる。メインストーリーは3本のルートに分岐し、それぞれが15時間以上のボリュームを誇る。極寒の地でのサバイバル要素や独自開発したという車両ドライブ要素など、収録内容は盛り沢山。開発に約7年間を費やした大作として、満を持して1月15日より配信を開始していた。

ところが配信開始から約1週間足らずで状況は急変する。開発に参加していたアーティストの活動が問題となったのだ。具体的には「Fallout: The Frontier」と関係のない個人アカウントで、「小児性愛的なアニメコンテンツ(Animated Pedophilic Content )」を投稿していたことが発覚したのである。事実が発覚すると、The Frontier Teamは即座にModの配信を一時停止。今週に至るまでダウンロードが不可能となっていた。
 

 
一時停止を経てふたたびMod配信を開始したNexus Modsのページでは、一連の状況が改めて説明されている。プロジェクトリーダーTgspyことXilandro Axeuora氏によれば、そもそもの発端となったのは開発チームのアーティスト、ZuTheSkunksなる人物のアカウント。同アーティストはMod内におけるPip-Boyアイコンのほとんどを手がけていたという。チームとしては、事態が表面化するまでZuTheSkunks氏の「擬人化した未成年者」を含む投稿を認識してはいなかったという。発覚後は即座に同氏を開発チームから除籍処分とし、Modに含まれるZuTheSkunks氏の担当箇所をすべて削除したとのこと。声明においては、該当アーティストがModのシナリオ部分には一切関わっていないことも強調された。

ところで再配布されたModは、言及されたアイコンだけでなく、いくつかの要素が削除された状態となっている。というのも本問題が明るみになった際、 ZuTheSkunks氏の個人的な活動だけでなく、Mod自体に含まれる一部コンテンツが不適切ではないかと追及を受けたためだ。実際にはZuTheSkunks氏が携わった部分ではなかったが、批判を受けて削除せざるを得なくなったと思われる。

具体的な要素のひとつが、「America」という名前の女性コンパニオン。彼女との会話で出現するスピーチチャレンジでは、 America を奴隷として同行させる選択肢が登場する。会話に成功すると、「もしそれが1人にならずに済む道なら、首輪を付けてください……ご主人様」との台詞でAmericaの“奴隷化”が成功する。ほか、Americaの台詞には彼女の足が強い臭いを放っていることを示唆するものがあった。また、台詞に多くの性的示唆が含まれるNPC・Maeの存在や、選択肢次第でTrochili(トカゲ型の種族)やデスクローとも性行為ができることなどがコミュニティから疑問視されることに。倫理的問題や、一般的でない嗜好をはらむコンテンツのために、「Fallout: The Frontier」自体が開発チームの性的欲求のはけ口になっているのではないか、との批判を受けたかたちとなる。
 

*Americaの奴隷化や、「足の臭い」にまつわる会話のスクリーンショット。

 

*選択肢に「デスクローとの性行為」が出現するシーン(具体的な場面は含まれない)。Axeuora氏のTwitterでは「ジョーク」だったと説明されている。

 
プロジェクトのリーダーだったAxeuora氏は問題発覚当初、負担の重さを理由に開発チーム脱退を宣言。しかし、結局はその後もNexus Modsページにおける声明の文責を務めるなど、「Fallout: The Frontier」のサポートを続けているようだ。自身のTwitterではModに対する疑問をユーザーから集めて回答してもいる。このうちクオリティチェック・プレイテストの実施について尋ねられた際は、テストはおこなったもののプレイ可否を確認したに過ぎないとコメント。明らかにチェック不足であったとして、チームの監督不行届を認めている。

現在配信されている「Fallout: The Frontier」はZuTheSkunks氏作のアイコンを削除したほか、批判を受けたAmericaやMaeの台詞を一部修正。Trochiliのコンテンツに関しては一時的に凍結し、後日改めて追加されるという。また問題を受けて、一部の声優やアーティストから削除依頼のあったコンテンツについても取り除かれているようだ。長年の期待を集めた大型Modだっただけに、火元が大きく混乱を招いた「Fallout: The Frontier」。今回の対応でファンの不信感を取り除き、作品としての正当な評価を受けることはできるのだろうか。