『龍が如く』新作として「阿修羅が如く」は100%ない。SNS時代の奇妙な噂拡散

 

『龍が如く』新作として、「阿修羅が如く」なる新作が作られているのではないかとの噂が海外で広まっていた。噂の出どころである『龍が如く』シリーズのチーフプロデューサーである横山昌義氏が否定したものの、奇妙な形で噂が拡散されることとなった。
【UPDATE 2020/12/1 10:30】
横山氏は、ツイートそのものが完全な捏造であったとし、つぶやいたことを否定している。

きっかけとなったのは、前出の横山氏のTwitterでの投稿である。同氏は11月18日に、渡瀬勝の画像と「阿修羅が如く」なるアイコンと共に「結構。次の章に進みます」とつぶやいたという。渡瀬勝は『龍が如く5』より登場するキャラクター。近江連合を束ねる存在で、喧嘩は強いながも義理人情を重んじる男として描かれた。最新作でも登場しており、近年のシリーズ作品においては重要な役割を果たしている。背中に阿修羅の入れ墨を入れている人物ということで、「阿修羅が如く」のロゴとセットになっているわけだ。


横山氏のアカウントは、公式というより個人寄りの運用。公式告知などもRTしているが、飲み会やイベントの様子、そしてタピオカなどの画像を投稿している。とはいえ、同氏は『龍が如く』のシナリオ・演出に深く携わる人物。チーフプロデューサーの役職はさることながら、同シリーズの世界観を築き上げ熟知する男でもある。そんな横山氏が「阿修羅が如く」なるアイコンを投じたことで、海外のファンコミュニティYakuza Fanが興奮しながら反応。「噂:次なる『龍が如く』新作がプロデューサーによってリークされた、どうやら阿修羅が如くになるようだ。若い頃の渡瀬を描くことになるかもしれない」と投稿した。横山氏はすぐさま投稿を削除したものの、ツイートは日本語から英語へと翻訳され「阿修羅が如く」の存在がメディアからも取り上げられるようになった。
注:前述したように横山氏はつぶやきそのものを否定している。

https://twitter.com/YakFan/status/1329903132273483776

前述したように、渡瀬は重要な立ち位置のキャラである。シリーズとしては人気キャラになりつつあり、物語としては今後登場する可能性もある。若い頃の渡瀬を描くことで、彼のアイデンティティや近江連合の裏側がさらに掘り下げられる。それらしき筋書きは整っていることから、ありそうな話として広まったのだろう。しかし横山氏は11月22日に、この噂についてピシャリと否定。「阿修羅が如く」は100%ないとし、作りかけてもいないとコメントした。同作がスピンオフ作品になるのではないかという噂を念頭に置きつつ、「それにそのネーミングやらないでしょう。シロヒョウとか般若が如くとかと同じ感じすよね(笑)北斗はコンセプトが別として、龍スピンオフ系でそれはないかと」と、タイトル名についてもふれ、実現性の低さに念を入れている。

また「阿修羅」の文言はスピンオフ作品『クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編』で使用されている。同作はPSP向けタイトルで、大阪・蒼天掘の地下格闘集団「阿修羅」をめぐる戦いが描かれた。すでに使われているのだ。11月19日にThe Game Awardsのノミネートが発表され、『龍が如く7 光と闇の行方』がベストRPG候補にノミネートされた。今年発売された最新作は高い評価を受けており、絶妙なタイミングで噂が生まれたことになる。前述の横山氏の阿修羅に関するツイート自体が捏造だという説もあり、真相は闇の中だ。
【UPDATE 2020/11/23 20:30】
横山氏の元ツイートそのものがでっちあげられたものであるという可能性を追記

https://twitter.com/thegameawards/status/1329111888421023744

なおセガおよび龍が如くスタジオは12月8日に、「龍が如く15周年 記念特番」を配信予定。15年の歴史を振り返ると共に、今後の展開を発表するとしている。シリーズとしては『龍が如く ONLINE』の新情報や、『龍が如く7 光と闇の行方』の次世代機版の発売、そして新作情報など、期待できる発表も多い。噂ではなく、公式発表を楽しみしておくのがベストだろう。