『ポケットモンスター ソード・シールド』の舞台「ガラル地方」はどれほど“イギリスっぽい”のか?イギリス在住経験者数名に訊いた


任天堂および株式会社ポケモンは2月27日、『ポケットモンスター ソード・シールド』を発表した。対応プラットフォームはNintendo Switchで、2019年冬の発売を予定している。ついに正式発表された完全新作は、『ポケットモンスター Let’s Go! ピカチュウ・イーブイ』からさらに洗練されたビジュアルで披露されたほか、サルノリやヒバニー、メッソンといった最初の三匹が公開され世界を沸かせた。

また注目を集めたのは、本作の舞台であるガラル地方だ。新たな舞台は、これまでのシリーズ作品とはまた異なり、カントリーな雰囲気を醸し出している。『ポケットモンスター』シリーズは、基本的に作品のモチーフとなる国や都市が存在していることから、『ポケットモンスター ソード・シールド』はどの地方をモデルとして作られているかに関心が寄せられた。さまざまな意見があり確定はしていないものの、地形などをみるに今作は「イギリス」がモデルになっているとの説が、発表当初からもっとも有力である。

※ イギリスが舞台という見方の中でも、イングランドかスコットランドかなどさまざまな説があるようだ。

また本作は、地形だけでなく文化や雰囲気などもイギリスのものを取り入れているとされる。とはいえ、イギリスを熟知していない日本人にとっては、あまりピンとこないかもしれない。そこで本稿では、多数の外国人スタッフが在籍する弊社アクティブゲーミングメディアの、イギリス国籍を持っていたり、長期間イギリスに在住していたスタッフ3名に聞いた、同作のトレイラーから感じられた“イギリス”な要素を紹介したい。

まずイギリス説を決定的付けたのが、トレイラーに映し出された地上絵であるという。イギリスには、丘陵エリアなど石灰岩で描かれた地上絵「ヒルフィギュア」がさまざまな地域に存在している。馬や人など幅広いが、それによく似たシーンが同トレイラーから確認されている。丘に広がる広大な絵は、壮観だ。そのほか、建物などは赤レンガ大学群のデザインを彷彿とさせるという声もあり。またあるスタッフは、本作は『ソード・シールド』という名前であるが、イギリスでは剣が家紋として使われることが多い点もつながりとして指摘している。そのほか、女主人公の制服らしきコスチュームもイギリス式だという意見が女性スタッフからあった。

ビジュアルスタイルは異なるが、ゲームの雰囲気はイギリスを舞台とした『Everybody’s Gone to the Rapture -幸福な消失-』に少し似ているという意見も

具体的な景色としては、女性主人公が家の前にいるシーンや、ピカチュウが映し出されるシーンの背景は、イングランドの北西部の総称「湖水地方(Lake District)」のような印象だとコメント。市街のシーンは大都市ロンドンを強く思わせ、時計台が映るシーンはシェフィールドやバーミンガムに近いのではないかと話した。ちなみに、イギリスは地域の7割が森に覆われているといい、そうした地形は『ポケットモンスター』シリーズと相性がよいだろうという意見も。3名ともにイギリス説を強く支持しており、さまざまな部分が“イギリスの雰囲気を感じさせる”と話してくれた。

湖水地方の雰囲気があるというシーン 画像はトレイラーをキャプチャしたもの

すでにイギリス在住の人々も、『ポケットモンスター』最新作がイギリスをモデルをしているのではないかという仮説に色めきだっており、数々のユーザーがジョークを飛ばしている。あるユーザーは「メリダとおそろしの森」のスコットランド訛りのセリフを引用し『ソード・シールド』をパロディする投稿。別のユーザーはロンドンの労働階級者の間で使われる方言コックニー(Cockney)で同作をパロディする投稿をしている。そして、それらふたつを実際に発音し、訛りの強さを強調する投稿などが人気を呼んでおり、コミュニティを賑わせている。

なお『ポケットモンスター ソード・シールド』発表による世界からの反響は非常に力強く、愛らしさ全開の御三家ポケモンやキュートな女性主人公などが特に人気を博しているようだ。「最強のポケットモンスター」を掲げて開発されている最新作の続報を、楽しみにしておこう。

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