スチームパンク・サンドボックス『STEAM HAMMER』がSteamから削除へ。早期アクセス期間中ながら販売元が突然の削除宣告

 

インディーパブリッシャーBig Wayは1月9日、現在Steamにて早期アクセス販売中の『STEAM HAMMER』を、近日中にストアから削除すると発表した。告知とともに、「GAME OVER」という画像が投稿されている。ちなみに同作は、2017年中の早期アクセス終了が予定されていた。

https://www.youtube.com/watch?v=-lhP156YYug

『STEAM HAMMER』は、スチームパンク世界を舞台としたサンドボックスRPGだ。19世紀の架空世界にて、武器や防具を作る。そして、家や工場、塔を建ていき、さらには飛行船やジェットパックのクラフトを目指す。40種類以上の武器や防具、30種類以上の建物と要塞が用意されている。テラフォーミングにより地形を変えることも可能で、スチームハンマーを用いて、自分だけの世界と生き方を形作っていくのだ。2016年11月にはKickstarterキャンペーンが開始され、約5万1000ドルの獲得を達成。2017年5月に、Steam早期アクセス配信が開始された。独特な世界を舞台にしたサンドボックス、そしてオンラインマルチプレイ対応や日本語対応ということもあり、一部では注目を集めたタイトルでもあった。

早期アクセス配信直後は頻繁なアップデートを続けていたものの、配信から1か月経った2017年6月半ばに突如アップデートが停止される。不具合などはありながらも最初は好意的な声が多かったSteamレビューは不評が寄せられ始めるが、それでも開発元は反応なし。1年後となる2018年6月に、小規模なアップデートを実施し、公式サーバーのリローンチを発表したものの、やはりその後音沙汰なし。そして今年1月、突如として『STEAM HAMMER』がSteamストアから削除されることが告知された。

なぜアップデートが止まったのだろうか。その理由は一見不可解だが、Big Wayは同社の新作『BDSM: Big Drunk Satanic Massacre』のフォーラムにてその理由を打ち明けている。『STEAM HAMMER』は売り上げがよくなかったため、アイデアを実現できなかったとのこと。ゲームはまだ遊べる状態だとし、新作については違うチームが手がけているゆえにクオリティは問題ないと語気を強め、スレッドを閉じるように求めている。

そのほかのスレッドでも、『STEAM HAMMER』の開発をやめたことを糾弾するユーザーに対し、デザイナーのKonstantin Semenov氏が、ゲームはまだ遊べるとし、購入者には新作のクーポンを配っただろうと吐き捨てている。フォーラムでは、こうした批判をおこなったユーザーをフォーラムから締め出すといった報告もなされており、抗議するユーザーを邪険に扱っていた。ストア削除告知にあたり投稿した、ユーザーへのリスペクトに欠いた「GAME OVER」の画像からも、そうしたスタジオのスタンスが見てとれるだろう。

Big Wayは、前述した『BDSM: Big Drunk Satanic Massacre』リリースを4月に控えているが、同作の告知をした際には、一部ユーザーから『STEAM HAMMER』のアップデート停止に対する抗議の投稿が散見される。Big Wayはいつの間にかBig Way Gamesとスタジオ名を改めていることを踏まえると、ストアの削除は“そうした過去”を消すための手段なのかもしれない。Steamにおいて早期アクセス販売は、文化として根付いたといえるほど利用されるケースが増え、数多くの成功例が生まれている。一方で早期アクセスを開始するものの途中で力尽きるというタイトルも存在し、たとえば「Early Access Watcher」というキュレーターではAbandonwareとして放棄されたゲームがリストアップされている。

Steam早期アクセス配信タイトルにも途中で開発中止になるタイトルは存在するが、いずれも告知をおこない、コミュニティに対する感謝を述べるなど、最低限の礼儀は尽くされている(関連記事)。Kickstarterで5万ドルの支援を受け、少なくないユーザーが遊んだにも関わらず、画像一枚で幕を引こうとしているBig Wayの選択は、極めて非常識というだけでなく、Steam早期アクセスの在り方自体が問われかねない。発売前から『Life is Federal』の盗作疑惑がむけられるなど、黒い噂も少なくなかった現Big Way Games。Valveがこうしたスタジオにどのような対応をとるのか、注目されるところだ。

https://www.youtube.com/watch?v=RgmvfXIiPXg

※ 当時流行していた「PPAP」をパロディにした奇妙なプロモーション映像