睡魔と戦う男の脱力アクション『Yet Another Exhausting Day』体験版配信開始。頭部に刺激を与え続け眠気を覚ませ


中国・北京に拠点を置くインディースタジオSpotlightor Interactiveは8月6日、現在開発中の『Yet Another Exhausting Day』の最新映像を公開した。本作は、弊誌でも以前紹介した“這って進む”ユニークな3Dアクションゲームである。「Exhausting」とは、疲労困ぱいという意味。極限まで疲れきる日々を送る男が、本作の主人公だ。

主人公は、村上春樹の小説を愛読する若い男。将来を嘱望され毎日仕事に打ち込んでいるが、この街での生活はとにかく疲れるという。この日もようやく帰宅し、枕に顔を埋めれば一瞬で夢の中という状態である。しかし、彼にはまだ何かやることがあるらしい。だから眠ってはいけない。

開発元のSpotlightor Interactiveは、このトレイラーの公開に合わせて、本作のPC向け体験版をitch.ioにて配信開始している(任意の価格で購入でき、無料でも入手可能)。本作はステージクリア制となっており、ステージは家の部屋を切り出して暗い空間に浮かべたような形式が採用されている。プレイヤーは、疲れ切った男を操作してゴール地点を目指す。現時点ではマウス操作のみに対応しており、カーソルを動かして進行方向を決める。移動方法は2種類あるが、男はもはや立って歩くことすらできず、脱力し切ったうつ伏せ状態が基本ポジションである。

クリック&ホールドすると男はうつ伏せのままお尻を持ち上げ、ホールドを離すと進行方向にスイ〜っと顔面を床にこすりつけながら進む。また、クリック&ホールドしてから左右へドラッグすると、横に転がるようにして左右に進むことが可能だ。そして奇妙なことに、男は床だけでなく壁や家具の側面など、あらゆる面に吸い付き進むことができる。一方ステージ内には、眠るわけにはいかない男にとって最強の敵である枕が置かれており、中には移動しているものや、某ロボット掃除機のような機械が枕を持って襲ってくる場面もある。部屋のあらゆる面を這い、枕を避けてゴールまでたどり着くのだ。もし一瞬でも枕に頭が触れると、眠りに落ちてステージをやり直しとなる。

画面上部にはSenseゲージがあり、これは男の覚醒度を表している。ゲージは時間経過とともに徐々に減っていき、ゲージがゼロになるとおやすみなさいである。そのため、のんびりしていられない。ただし、ステージ内にはゲージを回復できるアイテムもある。たとえば、植木鉢に突進して頭突きで破壊すると、その痛みによって少し眠気が覚める。壁にかかっている額縁を破壊しても同様の効果がある。なお、額縁を破壊した際に下に枕があれば、飛び散る破片によって枕を粉砕して消し去ることが可能だ。アイテムにはほかにカフェイン入りのドリンクがあり、これを飲めば一定時間だけ枕に触れても眠らなくなる。Senseゲージの状況は次のステージに持ち越されるため、当面必要なくてもなるべくアイテムでゲージを回復させながら進みたい。ただ、それが回り道になる場合もある。

本作はまだ開発中で、このデモ版の内容も製品版までに変わる可能性はあるが、シンプルな操作とルールで楽しめる作品となっている。枕の配置や動きによっては頭を悩ませる場面もあり、脱力しながら這って進む独特のアクションがもどかしく難易度を跳ね上げる。これからレベルデザインや各種バランスの調整などもおこなわれ、攻略しがいのあるゲームへと磨かれていくことだろう。itch.ioでは、開発の参考にするためプレイヤーにアンケートの回答を求めており、それによると対戦モードや協力プレイモードなども視野にあるようだ。本作は、PC/コンソール/モバイルのマルチプラットフォームを想定しており、年内には発売したいとのことである。