『The Last of Us Part II』制作陣がキスシーンの裏話やジョエルの行方を語る。ジャンプや回避アクションの追加も

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「E3 2018」のパネルセッション「E3 Coliseum」に『The Last of Us Part II』のクリエイター陣が登壇し、ゲームプレイの進化やジョエルの行方、トレイラーの裏話について語った。ステージに上がったのは本作のディレクター兼ライターのNeil Druckmann氏、共同ゲームディレクターのAnthony Newman氏およびKurt Margenau氏。モデレーターはIGNのエディターLucy O’Brien氏が務めた。

まず前作でコンバットデザインを担当したAnthony Newman氏によると、『The Last of Us Part II』は安牌を切るのではなく、リスクを恐れない意欲的なアプローチにより開発が進められているという。ゲームの規模としてはNaughty Dogの中では最大級のものになるようだ。ゲームの世界に関しては、リニアはリニアでも「ワイドリニア」という表現が使われており、前作よりも開けたマップを冒険することになる。戦闘と探索エリアの線引きは曖昧で、どこに行っても安心しきれない緊張感に包まれているとのことだ。

戦闘では回避やジャンプといった新しいアクションが加わるほか、草むらの中や車両の下に隠れるステルス要素が追加される。シンプルな変化に聞こえるかもしれないが、実際にはこうした新要素がゲームプレイに複雑なレイヤーをもたらすという。しゃがむ・伏せるといった体勢の変更を生かして物陰に隠れたり、狭い隙間を通って敵に接近したりと、戦場環境を生かした攻略が可能となる。これまで以上に自然かつ滑らかになったアニメーションの力も忘れてはならず、激しいアクションと緊張感あるステルスが合わさった「サバイバルアクション」が期待できる。

※「E3 2018」で公開された最新トレイラー(関連記事

主人公エリーのアクションだけでなく、敵AIもより賢く人間らしく振る舞うよう進化している。例えば前作では敵一人に見つかると周囲の敵全員に居場所がバレてしまったが、今作では目撃情報が少しずつ伝播する。巡回しながら敵同士でコミュニケーションを取り、警戒すると車の下まで入念にチェックするようになる。なお感染者については、新しい形態が登場するという。

クラフト要素に関しては、レシピに弾薬や爆発矢が加わる。続編だからといって武器の種類を無闇に増やすのではなく、新武器の数を絞り、それらに複数の使い道・可能性を与える方向性で練られているとのこと。クラフト材料は相変わらず希少で、火炎瓶をつくるべきか回復薬をつくるべきか、都度プレイヤーを悩ませるようなバランスが保たれる。

複数のタイムラインを行き来する

最新のトレイラーでは、ジャクソン郡での平和な生活と、シアトルにてカルト集団を単身で排除していく不穏な戦闘パートの2つが交互に映る。主人公エリーは、ジャクソンで住むようになってからすぐにDinaと親友の間柄になり、映画を見たりフェスティバルに参加したりと、普通の少女として時間を過ごしてきた。そしてトレイラーでの一幕により、エリーとDinaは親友以上の関係になる。このあたりは前作の「Left Behind」DLCをプレイした方であれば、そこまでのサプライズではないだろう。だが平和な生活はいつまでも続かず、ある日悲劇が訪れる。

ディレクターのNeil Druckmann氏によると、本作の物語は2つのタイムラインを行き来しながら描かれるという。ジャクソンでの平穏な日々がどのようにして破局を迎えたのか、そして報復に燃えるエリーの人生がどこに向かうのか。この2つの疑問が同時進行で解き明かされていくのかもしれない。なおシアトルの戦闘シーンにてエリーが着けているブレスレットは、ダンスシーンでDinaが着けていたものと同じ形をしている。Dinaの身に何かが起きるのか、それとも、お守りとしてプレゼントされたのだろうか。

またタイムラインが「2つ」ということで、2017年のトレイラーに登場した謎の女性(女優Laura Bailey)がエリーの母親だという線は薄くなった(タイムラインが3つになってしまうため)。さらに、以下2017年のトレイラーで「Lev」と「Yara」が戦っていたグループと、最新のトレイラーでエリーが戦っている相手は同じカルト集団の一味であることが明かされている。捕まえた者の腹を切り裂くという両者の行動からも、同じ思想の持ち主であることがわかる。

ジョエルはジャクソンにいる

第1弾トレイラーでわずかに姿を見せながらも、未だ顔を出していない前作の主人公ジョエル。最新トレイラーの冒頭で「エリーのおやじ」として会話内で言及されたことから、少なくとも宴会シーンの時点では存命であることがわかる。 Druckmann氏はパネルにて「おやじと呼んでいる相手がジョエルとは限らないですよね?」と神妙に語り始めたが、すぐに「なんちゃって、ジョエルのことですよ」と視聴者を安心させた。「ジョエルはジャクソンのどこかにいますよ」とのことだ。

続いて、キスシーンを演じたエリー役の女優Ashley Johnsonと、Dina役の女優Shannon Woodwardが登壇。前作と違いフェイシャルキャプチャーを採用したことで、より細やかなニュアンスまで表現できるようになったという。とはいえ決して万能な技術ではなく、キャプチャー用に装着するカメラやケーブルの関係でキスシーンを取り込むことはできなかった。そのためキャプチャーではなく演技の映像をもとにアニメーター陣がシーンを再現したという。あの自然な口づけは、演者はもちろんのことアニメーターの手腕によるところが大きかったようだ。ちなみにエリーのキャラクターモデルは約40%がAshley Johnson本人のキャプチャーデータから生成されたもので、前作よりも演者に近いつくりになっている。

画像左:エリー役の女優Ashley Johnson 画像右:Dina役の女優Shannon Woodward。「E3 Coliseum」パネルセッションより

最後はモデレーターのLucy O’Brien氏が「E3という舞台であのようなトレイラーを披露してくれてありがとうございます。LGBTQコミュニティを代表して感謝します」という言葉とともにパネルを締めた。エリーとDinaのキスシーンを受けての発言だろう。Naughty Dogはゲーム内のキャラクターだけでなく、俳優陣にトランスジェンダーであることを公表しているIan Alexander氏(Lev役)を迎え入れるなど、幅広いバックグラウンドのキャラクターとキャストを採用している。また6月のLGBTプライド月間には、各種SNSアカウントのアイコンを6色レインボーに変えることでLGBTサポーターであることを示している。SIEの看板スタジオであるNaughty Dogが、E3という大舞台であのキスシーンを公開したこと自体、ゲーム業界およびSIEの看板として意義のある行為だったのではないだろうか。

なお、気になるリリース日の質問に対しては、 発売日が近づくまで発表しないと Druckmann氏がコメントしている。つまり発売はまだ先ということだ。

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