『Alan Wake』のRemedyがNasdaq First Northに株式を上場。プロジェクトを複数同時進行させるビジネスモデルへの転換を加速

Image Credit: Nasdaq Helsinki
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Remedy Entertainmentは5月29日、証券取引所Nasdaq NordicのFirst Northに株式を上場・公開した。First NorthはNasdaq傘下にある、北欧の中小新興企業向けの市場だ。ゲーム会社としては、Remedyと同じく北欧を拠点にするTHQ NordicやParadox Interactiveなどもここに上場している。公募価格5.65ユーロで公開されたRemedy株は、6.26ユーロの初値を付け、最終的に6.69ユーロで初日の取引を終えた。

Remedyは先月、First Northへの株式上場計画を公表していた。その目的としては、同社の成長戦略を達成させるために、ゲーム開発などにかかる費用を調達することだとしている。さらに同社の設立者であり取締役会長のMarkus Mäki氏は、Remedyはゲームビジネス、クリエイティブなコンテンツ制作、そして先進的なテクノロジーに精通しているとした上で、ゲームを成功させるためには持続性のあるブランド構築や、ゲーム開発に対する広範な理解、そしてライフサイクルを通してゲームを商業化させる経験やスキルが必要になるとし、同社に投資することはこれらすべてをサポートすることに繋がると説明する。

RemedyのCEO Tero Virtala氏は、高いクオリティのゲームをより短いスパンで世界中に送り出すために、同社は複数のプロジェクトを同時に進めるビジネスモデルへの転換を進めているとし、その結果として世界でもっとも名高いゲーム会社の一つになることを目指していると語る。

Remedyはこれまで『Max Payne』シリーズや『Alan Wake』シリーズ、そして『Quantum Break』などを手がけているが、それぞれのタイトルは2年あるいはそれ以上のスパンでリリースされている。Virtala氏は同社のさらなる成長のためには、クオリティを落とすことなくリリース数を増やしていく必要があると感じているようだ。そして同社はすでにそのビジネスモデルを実行に移しており、現在『Crossfire 2』と『P7(コードネーム)』の開発を同時に進めているほか、さらに未発表の完全新作タイトルの存在も伝えられている。

今回の発表の中でRemedyは、将来的にはさらに競争優位性を高めたいとしている。それによって交渉上より優位なポジションに立つことができ、自社が生み出したブランドを自ら保有できるようになるからだ。Remedyは『Alan Wake』のIP(知的財産権)を保有しているが、『Max Payne』はTake-Two Interactive Softwareが、『Quantum Break』はマイクロソフトが保有している。余談だが、Remedyのクリエイティブ・ディレクターSam Lake氏はEurogamerとのインタビューの中で、『Alan Wake 2』のプロトタイプをマイクロソフトにプレゼンしたところ、IPを保有したいマイクロソフトはRemedyが保有する『Alan Wake』シリーズではなく新規タイトルを望み、そして『Quantum Break』が生まれたと明かしている。

Remedyは、IPを自ら保有することは金銭的な成功はもちろん、慎重に選んだパートナーとともに、より長く愛されるブランドを作り上げることにも繋がるとしている。同社が現在開発中の『P7』においては、Digital Bros/505 Gamesと20年間もの長期独占契約を結んでおり、その件を念頭に置いた発言なのかもしれない(関連記事)。このところ新作ゲームそのものよりも、その開発の地盤固めとも取れる話題が続くRemedyだが、その末に生み出されたゲーム・ブランドがどのようなものになるのか、ヴェールを脱ぐ日を待ちたい

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