キャラクター、装備、魔法を自分で作れる。無限のボードゲーム風ローグライク『Popup Dungeon』


発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie of the Week。第109回目は、『Popup Dungeon』 を紹介する。子供の頃、オモチャや筆記用具を使ってダンジョンを構築し、紙やダンボールに書いたキャラクターを立体化し冒険させたことはないだろうか。あ るいはボードゲームでもいい。『Popup Dungeon』はそんな”創造の体験”を詰め込んだローグライクタイプのダンジョン探索ゲームだ。

開発スタジオTriple.B.Titlesは、本作を「『ファイナルファンタジータクティクス』が”ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ”のボード ゲームと出会ったような作品」だと説明する。プレイヤーは1人か最大5人で協力し、中世日本やスチームパンク風などのさまざまなダンジョンをターンベースにて 探索してゆく。死亡すればキャラクターの成長がロストされる(permanent death)、ダンジョンが自動生成される、大量のアイテムが登場するなど、基本はローグライクをベースとしている。

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カスタムキャラクターは、耐久力とパワー、スピードと3種類のステータスを設定する。得意とする武器タイプ、アビリティなどのほか、テーマ音楽や死亡時の 墓石のビジュアルまで設定できる。もちろんペーパークラフト型のテンプレートに沿って、ビジュアルをインポートすることも可能だ

本作にて最大の特徴となるのが「クリエイション(創造)」だ。プレイヤーはキャラクター、装備、魔法、さらには敵などを自身の思い通りに設定し、ビ ジュアルまで自作することができる。これらの自作したコンテンツはSteam Workshopにてオンライン上で共有することが可能で、例えば自分が作ったキャラクターで他人に冒険してもらったり、他人が作った武器でダンジョンに 挑戦することができる。さらに興味深い点として、”Steam Workshopにて公開されているユーザー製の敵キャラクターを自動ダウンロードする機能”が付いており、プレイヤーは毎回新しい敵が登場するダンジョ ンへと挑戦することができる。

Steam Workshopは多数のタイトルに対応しており、自作武器やキャラクターなどの共有は特に珍しくもない。しかし『Pupup Dungeon』の「クリエイション」が、一般的なユーザー製コンテンツやMod対応と異なるのは、非常に豪華なカスタムエディターと、バランスを調整す る巧妙なシステムが付属している点だ。

例えばカスタム武器は、まず画像をインポートして外見を決めたら、「距離調整機能」にて武器の攻撃射程を決定する。槍のように遠距離に強い武器、あ るいは小剣のように近距離に強い武器など、ここで味付けをしていくわけだ。ここからダメージタイプやボーナス、アビリティなどを設定すれば、あとはシステ ム側がレベル毎のダメージなどを自動で算出してくれる。カスタム魔法も同様に、その性能によってコストが算出されるため、バランスを破壊するようなクリエ イションコンテンツはほぼ作れないようになっている。

また性能だけでなく、数百種類の視覚エフェクトやサウンドエフェクトが用意されており、さらにユーザーが作成したものもインポートすることが可能だ。中身だけでなく外見にもこだわることが可能というわけである。

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現在は日本語ローカライズのために150万円の獲得を目指すクラウドファンディングをCrowdriveにて実施している

またボードゲームにインスパイアされた作品らしく、プレイヤーがダンジョンを管理する魔法使いとなる「ダンジョン・マスター」モードが搭載されるの も特徴だ。このモードではプレイヤーはAIに代わり敵を操作することが可能で、ほかプレイヤーかAIが操作するパーティーを倒すことが目的となる。ダン ジョンに出現する敵の密度や障害物、広さやテーマなどを管理することができるほか、同モード専用の各種アビリティで冒険者たちを苦しめる。

『Popup Dungeon』の開発を担当するTriple.B.Titlesは、Dryere一族の家族らで運営されているという世にも珍しいインディーデベロッパーだ。昨年Kickstarterにて10万ドル以上の開発資金獲得に成功し、現在は日本語ローカライズのために150万円の獲得を目指すクラウドファンディングをCrowdriveにて実施している。

『Popup Dungeon』は2016年夏にリリース予定。アルファ版が2015年9月に提供され、また2015年12月にはクローズドベータが展開される。対象プ ラットフォームはPC/Mac/Linuxで、さらに完成後はWii U版の発売も視野に入れているという。学校の授業も聞かず、筆記用具でキャラクターや武器作りに没頭した過去があるプレイヤーは、今後の情報に期待してみ よう。