アナログ・デジタルTCGを融合する『Malkyrs: The Interactive Card Game』開発中。物理カードをNFCで読み取りローカル・ネット対戦


発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第599回目は『Malkyrs: The Interactive Card Game』を紹介する。

フランスに拠点を置くインディースタジオMalkyrs Studioが、トレーディングカードゲーム『Malkyrs: The Interactive Card Game』を現在開発中だ。プラットフォームはPC/Mac/Nintendo Switchで、クロスプラットフォームのオンライン対戦に対応する。本作は、物理的なカードを使用して遊ぶことが大きな特徴となっている。

『Malkyrs: The Interactive Card Game』は、1人または2人で遊べる対戦型のカードゲーム。女神Narkalorが統治するBrënn島と呼ばれるファンタジー世界を舞台に、プレイヤーが操るチャンピオンたちが戦いを繰り広げ、女神Narkalorを楽しませるという設定である。本作はアナログTCGとデジタルTCGを組み合わせたようなゲームで、「Journey to Enardem」と呼ばれるスターターパックには262枚の物理的なカードを収録。そのほか、収録カードのレア度の異なるブースターパックも複数販売予定だ。

それぞれのカードにはRFIDが埋め込まれており、カードの情報が記録されている。これをPC/Mac版の場合はNFCリーダライタを使うか、もしくはNFCを搭載したAndroidスマホと専用アプリを連携させて読み取る。Nintendo Switch版ではJoy-ConやProコントローラーのNFCが内蔵された右スティック部分に当てて読み取れば、そのカードをゲーム内で使用できる。仕組みとしてはamiiboに似ていると言えるだろう。

なお本作のカードは、イラストのほかは種別やコストなど最低限の情報のみが記載されたシンプルなデザインとなっている。これは、もし特定のカードの性能バランスが悪かった場合、RFIDの情報を書き換えてアップデートすることを想定しているためで、詳細な情報はNFCで読み取ってゲーム内で確認する形となっている。この辺りはデジタルTCGのメリットを取り入れているといえる。そしてアナログTCGのように、ほかのプレイヤーと不要なカードをトレードし合って楽しむことももちろん可能だ。

ゲームは、12種類あるチャンピオンカードからひとつを選択したうえで、10種類のアクションカードからなるデッキを構築してプレイする。アクションカードにはCOMMON・RARE・LEGENDARYのレア度があり、順にパワフルになっていく。なお、デッキに選べるLEGENDARYは1枚、RAREは3枚だけという制約がある。チャンピオンは、それぞれ異なるバックグランドストーリーとアビリティを持っており、たとえば魔法使いのOnadrïlの場合、素早くプレイすることでパワーアップさせることができる。具体的には、1ターン30秒間与えられているなか、3秒以内で行動を決定するとこのパッシブアビリティが発動する。また、1人プレイのキャンペーンモードでは、プレイを進めるなかでチャンピオンが成長していく要素もあるという。

本作のキャンペーンモードは、Brënn島を訪れ女神Narkalorの謎に迫るという物語で、道中ではさまざまなキャラクターやモンスターと出会うことになる。ここではプレイヤーの選択が求められ、カードバトルにて倒して先に進むもよし、あるいは頭を使い戦闘を回避して進むこともできるとのこと。こうした選択などにより各チャンピオンの物語は複数の異なるエンディングへと結びつき、クリアした際には特別なエフェクトがアンロックされ、さらに所有カードにまつわる秘密が明かされるという。

一方のマルチプレイモードでは、ローカルおよびオンライン対戦に対応。対戦で勝利したり、用意されたクエストを達成してマンスリーランキングの順位を上げることで、チャンピオンの新たな能力がアンロックされるとのこと。オンライン対戦のマッチングでは、チャンピオンのキャラクターレベルや所有カード、それまでの戦績が考慮されるとのことで、物理カードを使用しながらもデジタルTCGのような楽しみ方ができる。また、所有カードの成長具合は埋め込まれたRFIDに記録されており、ほかのプレイヤーとカードをトレードする際はこれも同時に交換する形となる。つまり、同じカードでも能力が異なる場合があるということだ。

『Malkyrs: The Interactive Card Game』は、プレイヤー同士が集まって楽しめるアナログTCGの良さと、逆に人が集まらなくてもオンラインで楽しめ、またさまざまな演出が可能なデジタルTCGの良さを組み合わせたユニークな作品である。2015年にKickstarterにてベータ版の開発費用を募り、開発元Malkyrs Studioの地元フランスではこれまでに200万試合以上がおこなわれているそうで、すでに一定のファンベースを獲得しているようだ。

現在は製品版開発に向けたKickstarterキャンペーンを実施中。5万ユーロの初期目標金額は開始から1日経たずして達成しており、本稿執筆時点でキャンペーンは残り13日となっている。30ユーロ(約3800円、別途送料が必要)以上の出資でスターターパックを入手でき、キャンペーン終了後に希望するチャンピオンカードを選択する形となっている。出荷予定時期は2019年6月。残念ながら現時点では日本語に対応する予定はないようだが、Nintendo Switchでもリリースしクロスプラットフォーム対戦も可能ということで、TCGファンにとって興味深いゲームとなりそうだ。オリジナルのNFCリーダライタや、ブースターパックを追加するプランなども用意されているので、興味のある方はキャンペーンページをチェックしてみてはいかがだろうか。