バトル電車アクション『Denshattack!』の音楽は、大勢で作ったから“まとまったカオス”ができた。電車でスケボーする奇ゲーを彩る、いろんな音楽

『Denshattack!(電車アタック)』の作曲家ティー・ロペス氏のインタビューをお届けする。

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Fireshine Gamesが販売し、スペインのインディースタジオUndercodersが開発を手がける『Denshattack!(電車アタック)』。本作はPC(Steam/Microsoft Store)/PS5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch 2向けに7月15日に配信された電車アクションゲームだ(関連記事)。Xbox/PC Game Pass向けにも提供されている。

本作の舞台となるのは、日本をモチーフとしたディストピア世界。プレイヤーは“電車アタッカー”となり、九州の郊外から大阪や東京、雪の積もる北海道まで、日本各地をモチーフとしたステージを電車で駆け抜けていく。電車でオーリーやキックフリップ、グラインドといったスケートボードさながらのトリック(技)を繰り出し、ライバルたちとのバトルを制しながら、邪悪な巨大企業ミライ堂を倒すことを目指す。

このたび弊誌は、本作の楽曲を手がけた作曲家、ティー・ロペス氏にインタビューする機会をいただいた。インタビューでは、本作の楽曲制作や日本の音楽から受けた影響、多彩なアーティストとの共同制作、これまで携わってきた日本のゲーム作品などについて話をうかがうことができたので、その様子をお届けする。

――『Denshattack!』での仕事はいかがでしたか。

ティー・ロペス氏(以下、ロペス氏):
最初に参加のお誘いを受けたときに、コンセプト実証用の試作版を見せてもらったんです。そこに込められたチームの情熱には心を奪われましたね。突飛なアイデアに満ちており、非常に強い個性をもつ作品を作ろうとしていることがすぐに分かりました。このプロジェクトに参加すれば、自分にとって少し違うことに挑戦できると感じ、すぐにOKしました。

これまでの私の仕事の多くは、リメイクや続編系のゲームがほとんどでした。もちろんどのお仕事も楽しくやらせてもらっているのですが、完全なオリジナル作品に携わりたいと思っていたところだったんです。自分のやり方で、自由にアイデアを出せるからです。『Denshattack!』はそうした自由を大いに与えてくれ、創作面でもとても癒やされる仕事でした。

『Denshattack!』の現場では、ゲームが形になっていくにつれて、次から次へと常識外れのアイデアが実装されていくんです。ずっと「私はいったい何に向けて音楽を作っているんだ?」と考えていました。もちろん、良い意味でですよ!(笑)

――『Denshattack!』での楽曲制作は複数のアーティストとの共同制作だったとうかがっています。どういったメンバーで制作に取り組んだのでしょうか。

ロペス氏:
Andrew Gomes、Sean Bialo、Toni Leys、Jonny Atmaといった親しい友人に加え、長年尊敬してきたミュージシャンとも仕事ができました。RHミュージックの永松亮さんは、私の楽曲「Unstoppable」でボーカル収録もしてくれました。彼がゲームのテーマ曲でボーカルを務めたのはこれが初めてだったそうです。日本語の歌詞についても力を貸してくれ、その過程で友人になることもできました。藤田晴美さんともご一緒することができましたね。彼女も本当に素敵なお人柄でした。

このプロジェクトを通じて出会った方はみなさん、とても謙虚な方たちでした。子供のころから彼らの作品に触れ、少なからず影響を受けてきた身ですので、そんな方々と肩を並べて仕事をするのは、不思議で素晴らしい感覚です。

――本作の楽曲はサントラ基準で全部で80曲ありますが、ロペスさんが手がけたのはどれくらいになるのでしょうか。

ロペス氏:
私は25曲に参加しています。Andrew Oneが17曲、Sean Bialoが15曲を手がけ、残りはプロジェクトに参加したほかのアーティストや共同制作者によるものです。ただし、この数字にはゲームのカットシーン用に書いた曲は含まれません。カットシーン音楽のおよそ半分も担当したため、それらをすべて数えると、合計で35曲前後に参加したことになりますね。

――複数名のメンバーで制作するのは大変ではありませんでしたか。どのような流れで制作を進めていったのでしょうか。

ロペス氏:
本作には多くのアーティストが参加していて、非常に多様な音楽スタイルを扱っています。そのため、決まったひとつの制作工程があったわけではありません。

ただ、ごく初期の段階で、開発チームと打ち合わせをして、中心となるコンセプトを話し合ったことがありました。私が思い描いていたのは、いわば“駅を音楽にするような”音作りでした。汚れた石やレンガ、さびた線路、煙たい空気、騒音、グラフィティ、人混みなどが想起される、ラディカルで都会的で荒々しい楽曲にしたかったのです。

その後、さらに多くのアーティストが加わり、それぞれが自分たちの解釈を持ち込みました。そこでサウンドトラックが、さまざまなジャンルや方向へ広がっていきました。大勢の共同制作者がいれば、ひとりがすべての曲を書くより、ずっと意外性の高いものになります。しかし統一感がないというわけではなく、全体を通して共通する要素が十分にあるため、ひとつのサウンドトラックとしてまとまっているのです。

――本作の音楽は、日本のどのような音楽から影響を受けたのでしょうか。

ロペス氏:
あらゆるところから影響を受けています。私自身の音楽的なDNAの多くが、日本の音楽やメディアから来ていることも理由のひとつです。子供のころはゲーム音楽、アニメ、スーパー戦隊、日本映画など、さまざまな日本文化に触れていました。その後、インターネットのおかげで身近にあるもの以外の音楽もずっと簡単に見つけられるようになると、ジャパニーズ・フュージョンやシティポップ、そのほか多くのアーティストやスタイルに強く惹かれるようになりました。

もちろん伝統音楽の側面もあります。特定の楽曲に日本らしさを加えたい時には、太鼓、尺八、琴、三味線など、日本の伝統楽器を使いました。私はまだ日本を訪れたことはないのですが、日本文化には本当に長い間関心をもってきたので、伝統要素を音楽に取り入れるのは自分にとって自然なことでした。近いうちにぜひ、日本に遊びにも行きたいですね。

――ロペスさんはセガ作品をはじめ、ほかの日本製ゲームにも携わっていますよね。日本のIPで仕事をするときに感じることはありますか。

ロペス氏:
そうですね。セガとはもう10年近く仕事をしています。その間、『ソニック』、『ベア・ナックルIV』のDLC、『モンスターボーイ』、『魂斗羅』など、かなり多くの日本のゲームやシリーズにも携わる機会がありました。

子供のころ、私は概して欧米のゲームより日本のゲームに惹かれていました。日本のゲームには、欧米の作品とは異なる独特の魅力がありました。アートワーク、キャラクターの動き、世界観、作品全体の姿勢、そしてもちろん音楽です。

音楽面でも、日本のゲームでは、欧米のゲーム音楽ではそれほど多く聴けないものが聞こえていました。異なる楽器の選び方、ジャズやフュージョンからの影響、より大胆なコード進行、非常に力強いメロディ、そして全般的に異なる和声言語です。

当時の欧米のゲーム音楽は、ロックや、より単純なコード、分かりやすいメロディを重視する傾向が強くありました。もちろん、それが悪いわけではありません。ただ、日本の作曲家がしていたことの方が、私自身が音楽の何に興奮を覚えるかという感覚に、ずっと近かったのです。

そのため、自分の音楽的な好みの多くを形作った種類のゲームに今こうして携われることは、今でもかなり現実離れした感覚があります。成長期に影響を受けたゲーム、作曲家、アーティストの多くが、たまたま日本のものでした。今では、そうした世界の一部に貢献できることを非常にうれしく思っています。

――本作の楽曲制作にあたって、こだわったポイントを教えてください。

ロペス氏:
特定の楽曲については、より焦点を絞ったリサーチを行いました。特に、日本の祭りの音楽や伝統についてはしっかり下調べをしています。例えば京都の「五山送り火」ですね。祭りそのものに着想を得た音やリズムの要素に、日本の伝統楽器を組み合わせ、最終的に「Gozan No Okuribi ~五山送り火~」という楽曲になりました。

余談ですが、この曲で当初コラボレーションする予定だった日本人ラッパーの方の都合がつかなくなってしまうトラブルがありまして。そのため私は、日本語を話せないにもかかわらず、発音を覚えて自分でラップするという挑戦をしました! とても勇気のいる挑戦でしたが、永松さんにも助けていただき、ずっと安心して取り組めました。

――ありがとうございました。

『Denshattack!(電車アタック)』は、PC(Steam/Microsoft Store)/PS5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch 2向けに配信中だ。Xbox/PC Game Pass向けにも提供されている。

[聞き手・執筆:Genki]
[翻訳:Motoharu Ono]
[編集:Aki Nogishi]

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