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『ザ・リズム・オブ・ファイターズ』 立ちはだかる「物理」の壁

電光石火。4-Hour Impressionはプレイ開始後4時間時点でのファーストインプレッションをおとどけする週刊連載です。 今回取りあげるSNKプレイモアの『ザ・リズム・オブ・ファイターズ』(以下『RoF』)は、iOS/Android向けのリズムアクション。6月25日にリリースされたばかりの新作です。ゲームミュージックファンのあいだでは、「SNK(プレイモア)といえば新世界楽曲雑技団」というくらいにサウンドチームの知名度があります。ゆえに、音ゲーが出たのも当然の流れとすらいえるでしょう。   元ネタは?   さて、「SNKプレイモアがタブレットで新作」といえば直近では『メタルスラッグディフェンス』が思い浮かびます。『MSD』は以前インプレッションで述べたとおり、有名所をパクりつつ、それをさらなる上のステージへと昇華させた逸品でした。 では『RoF』は……どれのパクリか? 答は『シアトリズム ファイナルファンタジー』(以下『TFF』)です。元は3DS向けに製作されたもので、のちにiOSへ移植されています。また、続編『シアトリズム ファイナルファンタジー カーテンコール』(以下『TFFCC』)が今年4月に発売されたばかりです。 本作は、『TFF』を"模倣"している――そう断言できます。   ザ・パクリ   Q:「『RoF』は『TFF』のパクリか?」 もしこんな問題がだされたら、正答はYESであり、正解率は9割を超えるでしょう。それくらいに似ています。似すぎです。タイミングよくタッチ、タイミングよくタッチして押しっぱなしからの指離し、タイミングよくスワイプ、タイミングよくタッチして押しっぱなしからのスワイプ。そして曲の中盤に登場する「外すとリスキー」なマーカーの存在。もはやひとつひとつ比較するのがばかばかしいくらいに同じです。 マーカーの表現がそこはかとなく『押忍!闘え!応援団』シリーズを彷彿とさせますが、それは誤解です。画面のどこをタッチしてもかまわないルールが採用されており、やはり『TFF』そのものであり、逆に『EBA』シリーズを期待してプレイすると肩を落とすこと間違いなしです。 さらに、プレイを積み重ねることによりプレイヤーキャラが強化され、相対的に曲の難度が下がってゆくというシステム。これもまた『TFF』にあったものです。     超えられなかった壁   『MSD』は確実に模倣元を超越した内容でした。しかしながら『RoF』は『TFF』を上回っているとはいえません。なにもかもがパクりであるということを看過したとしても、そのパクり元と比較して劣っている部分があまりにも多いのです。 そして、『RoF』には大きなハンディキャップがあります。それは、プレイする側がどうしても本作を『TFFCC』と比較してしまうというところ。プレイすればすぐにわかることなのですが、『TFFCC』は同系統のリズムアクションとしてきわめて洗練されています。がしかし、『RoF』を判断するうえで「あれは続編だから」という免罪符などにはなりえません。 数多ある問題を一つずつ、重要度の低い順にあげてゆきましょう。まず第一、曲が制限されすぎだということ。iOS版『TFF』も似たようなものではありますが、『オブ・ファイターズ』を名乗っておきながら、事実上のメインテーマすら課金アンロックというのはいかがなものでしょうか。"基本無料"のiOS『TFF』とちがって『RoF』は(少額ではありますが)100円なのです。もう少し見せるべきところは見せるだったのではないでしょうか。 第二、成長要素が楽しくないこと。メインキャラは誰か一人レベルを上げてしまえば、ほかのキャラも連動して上昇します。これを「何度もレベル上げしなくてすむ」と解釈することもできなくはありませんが、どちらかといえば「レベル上げをするカタルシスの導線が複数本放棄されている」とするのが自然でしょう。 第三、SEが邪魔であること。音ゲーをディープにたしなむかたには信じられないかもしれませんが、本作は効果音がゲームプレイを阻害してきます。キャラクター同士が殴りあう演出そのものは否定しません。ですが、それがリズムを妨害するとなると話は別です。「そういうゲームだから」という説明をうけたとして、納得するゲーマーが何人いるでしょうか。 ほかにも演出が単調であるとか、原曲とアレンジ楽曲があいまいな基準で混在しているとか(弊誌空山による指摘)、AppStoreで「リズム オブ」で検索しても出てこない(6月30日時点)だとか、細かい問題点はたくさんあります。しかしながら、『RoF』がかかえこんだ最大の問題は別に存在します。     文字通り「触り心地」の問題   ゲームを表現するうえでのキーワードにしてバズワード「触り心地」というものがあります。その是非はさしおきましょう。そう、『RoF』は文字通り、物理的な意味で触り心地が悪いのです。 これは『RoF』のせいではありません。タブレット端末という環境そのものに起因する事象です。ですから、もし『RoF』をiOS『TFF』"のみ"と比較するならばこの問題はさほど浮き彫りにはならなかったでしょう。しかし、世界はつねに新作と新作を比較します。 3DS『TFFCC』とiOS『RoF』を比較したとき、もっとも差がつくのはどこか。それは、タッチパネルの差です。静電容量方式と感圧式の差と言い換えてもよいかもしれません。さらには、指とスタイラスペンの差とも換言できます。 『RoF』が背負った最大のディスアドバンテージは、「指で操作する」という一点につきます。iOSに移植されたとはいえ、『TFF』はもともと3DS向け、すなわちタッチパネル&スタイラスペンでの操作を想定され設計されたものです。結局のところ、"パクリ元"がいびつなのです。そのまま引用してしまった『RoF』がゆがむのも道理というものでしょう。 より具体的には、タッチの感触がネックとなります。指でのタップとスタイラスペンでの"クリック"の差、同じくスワイプの差。この差異は、プレイにあたりおおきな障害を生みます。さらにストレートに表現すると、「指が疲れる」「気持よくない」のです。 想像してください。難しい譜面で連続してiPadの画面をあちらこちらにこするのを。そしてそれが3DSとスタイラスペンでの操作にくらべどうかを。どうしても思いが及ばないのならば、実際に触れてみていただくしかありません。が、結果は火を見るよりあきらかです。 もともと、『TFF』方式の入力を使った音ゲーをタブレット端末で出すべきではなかったのです。     今は『シアトリズム 新世界楽曲雑技団』ではない   かように、『RoF』はSNKプレイモア版シアトリズムとしては未完成と評価せざるをえません。もともと素材が優秀なだけにじつに残念なものがあります。 ゲームシステムは完全にパクりながらもゲームの根幹をきちんと再構築し、あらたな楽しみをゲーマーにもたらしてくれた『MSD』と比較すると、『RoF』にもそうした高潔な精神があるかというと疑問です。 もちろん、そもそも携帯ゲーム機向け・フルプライスタイトルの『TFFCC』とすべてを比較するのはいささか不適切かもしれません。それでも、「プレイヤーからすればそんなことは知ったことではない」と言いきる向きがあったとして、だれが批難できましょう。 『RoF』は『TFF』のパクリだからダメ――そんなことは絶対にありえません。そして、現段階でいろいろと不満点があることには、あえて目をつぶりましょう。私たちゲーマーが、格ゲーファンが、リズムアクションファンが、『KoF』ファンが、『TFF』ファンが求めるべきことはたった一つです。「本家にならんでくれ」。 そのためには、もしかすると操作体系の抜本的な見直しが必要になるかもしれません。そう、『TFFCC』に複数の入力方法が用意されたように。  

ターンベース制横スクロールSTG『Mighty Tactical Shooter』 コーヒー片手にシューティング

STG と聞くと反射神経や人間卒業といったキーワードを真っ先に思い浮かべてしまいそうですが先入観に囚われてはいけません。『Mighty Tactical Shooter』は STG に“ターンベース“の概念を取り入れており、「もし80年台のアーケードシューティングがターンベースで創られていたら?」とでも表現できるコンセプトの作品です。そして、既存の STG 作品とは似つかないプレイ体験の構築に成功しています。