カプコン新作『プラグマタ』をNVIDIAのDLSSで検証。レイトレの柔らかな光、パストレの澄んだ反射が高品質SF世界を照らす

印象的だったのは、DLSSが単に映像を派手に見せるための技術ではなく、プレイヤーの没入を途切れさせない技術として機能していたことだ。

カプコンの新作アクションアドベンチャー『プラグマタ』のPC版には、NVIDIAの超解像技術「DLSS」が搭載されている。対応するGPUであれば、描画負荷を抑えつつ高解像度を狙えるほか、フレーム生成によるfps向上、さらにパストレーシング時にはノイズ低減を担う「Ray Reconstruction」の恩恵も受けられる。

今回弊誌は、4月17日に発売される『プラグマタ』PC版を先行試遊する機会を得た。印象的だったのは、DLSSが単に映像を派手に見せるための技術ではなく、プレイヤーの没入を途切れさせない技術として機能していたことだ。レイトレーシングは月面基地の無機質な空間にやわらかな光を与え、パストレーシングは反射や暗部の説得力をさらに押し上げる。そこにRay Reconstructionやマルチフレーム生成が組み合わさることで、高品質な映像と快適さが両立していた。

本稿では『プラグマタ』においてDLSSがどのような効果をもたらしているのかを、スクリーンショットとベンチマークツールを交えながら見ていく。

「柔らかな光」のレイトレ、「澄んだ反射」のパストレ

『プラグマタ』は、月面施設を舞台とするSFアクションアドベンチャーだ。プレイヤーは調査員ヒュー・ウィリアムズとして、アンドロイドの少女ディアナと行動を共にしながら、暴走したロボットの原因を探りつつ施設からの脱出を目指す。ハッキングによるパズルとTPS戦闘を組み合わせたゲームプレイが特徴となっている。

今回の検証環境は、GPUにGeForce RTX 5070 Ti、CPUにAMD Ryzen 7 7800X3D、メモリ32GBを搭載したPC。グラフィック設定は可能な限り高くし、DLSSはクオリティ、フレーム生成は4倍に設定した。まずは序盤の「太陽光発電所」にて、レイトレーシングとパストレーシングを切り替えながらプレイしていく。

まずレイトレーシングで印象に残ったのは、光の当たり方の自然さだ。『プラグマタ』のステージは、月面基地らしい直線的な構造が多い。一歩間違えば無機質にも見えそうな空間だが、レイトレーシングによって光が柔らかく拡散することで、全体にほどよい奥行きが生まれていた。布やビニールのしわ、金属の鈍い光沢といった素材感も見えやすくなっており、近未来SFとしての説得力をしっかり底上げしている。

キャラクター表現ではディアナのロングヘアーも印象的で、場面によって動きにやや不自然さが残ることはあるものの、光が髪の内側まで入り込むような透け感は美しかった。一方で、ヒューの宇宙服や一部の敵モデルには、カットシーンなどで近づいた際にやや粗さを感じる瞬間もあった。ライティングの情報量が増したぶん、アセット側の差も目につきやすくなっている印象だ。

パストレーシングに切り替えると、違いがわかりやすかったのは反射表現である。発電所の床や壁面はレイトレーシングの時点でも周囲をうっすら映し込んでいたが、パストレーシングではその反射がぐっと明瞭になる。表面で複数回反射する光まで含めて計算することで、空間のリアリティが一段と増していた。反射の“鏡っぽさ”は好みが分かれるかもしれないが、少なくとも『プラグマタ』のクリーンで人工的なSF世界とは相性がいい。

レイトレーシング設定
パストレーシング設定

加えて、明るい場面では光がより自然に広がり、暗い場面では陰影がすっきりと締まる。レイトレーシングでも遜色ない場面、パストレーシングの反射がうまく機能していない個所など、状況によってクオリティにばらつきはあるが、演出として見せたい光の表現をより明確に受け取れるのは、やはりパストレーシングの方だった。

ごまかし感”を減らす「Ray Reconstruction

次に試したのは、「大規模出力試験場」だ。タイムズスクエアのような大通りが再現された、ネオン輝く派手なステージとなっている。ここで注目したのは、DLSSの「Ray Reconstruction」だ。これはレイトレーシング由来の反射や影に生じるノイズをAIによって再構成し、見た目を安定させる技術で、本作ではパストレーシングを有効にした際のみ自動で適用される。

差が見えやすかったのは、明暗の強い場面だった。レイトレーシングでは限られた数の光線から情報を推定して描画するため、強い光源の周辺や暗い場面で粒状のノイズが出ることがある。また金網のように光が部分的に遮られる箇所では背景がややぼやけたり、光がちらついたりすることもある。注目しなければ見過ごす程度の差ではあるが、こうした細かな粗さの積み重ねが無意識に没入感を削ぐことも多い。

一方、パストレーシングとRay Reconstructionを有効にした状態では、そうしたざらつきがかなり抑えられていた。影の輪郭は整い、とくに暗所はごまかし感の少ない見え方になる。『プラグマタ』はステージクリア型のアドベンチャーらしく、場面ごとの見せ方にこだわった作品だが、パストレーシングとRay Reconstructionはその演出意図を損なわずにそのまま伝える役割を担っていた。

レイトレーシングは、ぱっと見では十分きれいでも、よく見るとわずかな粗さや不安定さが残ることがある。Ray Reconstructionは、そうした“あと一歩”を埋める技術だ。本作ではレイトレーシング単体では使えない点がやや惜しいものの、パストレーシングを有効にできる環境であれば、効果はしっかり実感できる。

安定感を支えるマルチフレーム生成

最後に訪れたのは、第3エリア「テラドーム」。人工の木々が広がる、自然の多いロケーションだ。ここでは、AIが中間フレームを複数作成しフレームレートを引き上げる「マルチフレーム生成」によって、fpsと遅延がどう変化するかを確認した。

計測は、植物の多い区画を1分間周回する形で実施。ベンチマークツール「FrameView」を用いて、fpsと遅延(レイテンシ)を確認した。

数値上はレイトレーシング+4倍生成のフレームレートがもっとも高かった一方で、パストレーシング側も平均231fpsと十分に高く、実際のプレイ感としてはどちらも非常になめらかだった。高倍率のフレーム生成では固定UIの乱れや残像が懸念されがちだが、本作ではその種の違和感はかなり抑えられており快適。もうひとつの懸念点である遅延は依然として存在するものの、レイトレーシング設定では比較的抑えられており、画質とレスポンスのどちらを優先するかで設定を使い分ける余地も感じられた。

なお本作は、最新のDLSS 4.5で導入された最大6倍のフレーム生成や、リフレッシュレートなどに応じて倍率を動的に切り替える「ダイナミック マルチフレーム生成」には対応していない。ミドルクラスのRTX 5060といったGPUではそうした新機能の恩恵も大きそうなだけに、今後の対応には期待したいところだ。

演出意図を崩さず、熱中を途切れさせない

PC版『プラグマタ』の試遊を通して感じられたのは、DLSSが単なる性能の補助ではなく、SF世界への没入感を支える技術になっていたことだ。レイトレーシングは月面基地の無機質な空間にやわらかさを与え、パストレーシングは反射や陰影の説得力をさらに押し上げる。そこにRay Reconstructionがノイズの少ない画面をもたらし、マルチフレーム生成が高品質な設定を実用的なレベルへと引き上げる。ノイズや遅延は完全には消えていないが、複合的な技術の結果として、プレイヤーは映像の粗や処理落ちに意識を削がれにくくなる。

これまで筆者は、レイトレーシングは広大な景色を歩き回るオープンワールド作品でこそ真価を発揮するものだと思っていた。だが『プラグマタ』のように、場面ごとに光の見せ方が考え抜かれたシングルプレイのアドベンチャーでは、レイトレーシングによってひとつひとつの場面がより精密に描画されており、オープンワールドとはまた違った方向性で恩恵を感じられた。

カプコン内製のRE ENGINEが描くリッチなアセットを、なるべく正確に味わわせる。その意味でDLSSは、『プラグマタ』の没入感を支える確かな技術になっていた。

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Yusuke Sonta
Yusuke Sonta

『Fallout 3』で海外ゲームに出会いました。自由度高めで世界観にどっぷり浸れるゲームを探して日々ウェイストランドをさまよっています。

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