e-Sports専門学校の法人が「プロゲーマー」を商標登録申請した狙いは?学校側“却下される前提を作るため”

 

学校法人滋慶学園は、日本国特許庁に対し、単語「プロゲーマー」の商標登録を申請した。区分は第41類の「技芸・スポーツ又は知識の教授」とされており、申請が通過すれば、専門学校や稽古塾などにて適応される見通しだ。同法人は、今年2月に東京アニメ・声優専門学校においてe-Sports専門課程を発表し話題となった。

参考記事: 「プロゲーマーを目指す専門学校」の真意 日本でのe-Sportsプロ化に”教育は外せないテーマ”

先週末より話題となっていたこの商標申請だが、「プロゲーマー」というおおやけに使用されている単語を申請したことで、一部のユーザーからは納得できないとの考えも示されていた。一方で東京アニメ・声優専門学校は公式声明にて、「公用語としてプロゲーマーという言葉が使用されていくことを願っている」と伝えている。

おそらく却下される見通し、公用語として使用へ

今回の商標登録に関する話題では、なぜ学校法人滋慶学園が「プロゲーマー」の商標を登録したのか、その狙いに関する考察や取材が抜けていた感覚がある。商標はその言葉を縛り市場での独自性を付加するだけでなく、商標戦争を仕掛けてくるような輩からブランドネームを保護するために登録されるものでもあり、単純に商標登録を申請しただけでその真意はわからないからだ。

今回、AUTOMATONの「なぜプロゲーマーの商標登録を申請したのか」という問い合わせに対し、同法人は以下の公式声明をもって返答しており、「プロゲーマー」の商標出願が、他社に登録されて使用不可とならないためのものであるとコメントしている。また今回は「却下される前提」を作るためのものであるとしたほか、たとえ申請が通っても独占する意向はないことを明らかにしている。

東京アニメ・声優専門学校におきましては、2016年4月入学生向けに、e-sports・プロゲーマー業界で活躍する人材を育成するワールドを開設いたしました。その趣旨としては、「プロゲーマー」の育成のみならず、e-sportsのイベントやマネジメント、マーケティングに関わる人材など、e-sports・プロゲーマー業界全体で働く人材を育成することで、日本において e-sports・プロゲーマー業界がさらに発展することに寄与したいと考えております。

この度、「プロゲーマー」という言葉の商標登録の申請をさせていただいたのも、e-sports・プロゲーマー業界が広く一般に発展するための取り組みでございます。

本学園としては、過去に、本学園が使用していた言葉(名称)を後から商標登録された別法人様から、使用している言葉(名称)の取り下げを求められ、在校生・高校生が慣れ親しんでくれた略称が、突然法的処置によって使用できなくなった事例がございました。当然、印刷物などの取り下げ・破棄・関係各所への修正依頼などを強いられました。突然の大人気ない対応に被害を受け、また関係各社様に多大なご迷惑をお掛けする事態となってしまいました。

このような過去の経験に基づいて、誰もが自由にこの「プロゲーマー」という言葉を活用できるように、あえて申請させていただいた次第でございます。

しかしながら、今回の申請は、恐らく却下される予定でございまして、この経緯が、本来私たちが求める結果であって、却下されることで前例ができ、今後新規参入者による妨害、不本意な結果を招くことなく、公用語として「プロゲーマー」という言葉が、使用されていくことを願っております。

万が一、申請が通ったとしても、本学園及び学園グループとしても独占の意向はありません。当然、e-sports もすでに、商標登録されていることは、ご存知かと思いますが、「e-sports」・「プロゲーマー」という言葉は、これからもっと広く活用されていくべきかと考えている所存でございます。

本当にいつもながらご迷惑おかけして申し訳ございませんが、何卒よろしくお願い致します。


初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。