銃撃除霊ホラーTPS『近畿霊務局』、連日のアプデでSteamレビュー「不評」から一転「非常に好評」まで持ち直す。開発者は、不満点に目を瞑って評価してくれたユーザーに感謝

個人ゲーム開発者の霧笛ノト氏は10月15日、『近畿霊務局 - Kinki Spiritual Affairs Bureau』のSteamレビューステータスが「不評」から「非常に好評」まで持ち直したと告知した。

個人ゲーム開発者の霧笛ノト氏は10月15日、『近畿霊務局 – Kinki Spiritual Affairs Bureau(以下、近畿霊務局)』のSteamレビューステータスが「不評」から「非常に好評」まで持ち直したと告知した。同作のSteamユーザーレビューは10月4日の配信開始直後は「不評」が多かったが、その後好評レビューの比率が増え始め、記事執筆時点では全体で82%の好評率となっている。

『近畿霊務局』は、女子高生のコスプレをした公認除霊師が違法幽霊を銃火器で撃退する、ホラーテイストのTPSである。本作の舞台となる並行世界の日本では、行政によって除霊がおこなわれるようになっていた。


主人公の白石瑞希は、霊務省・近畿霊務局に所属する27歳の公認除霊師だ。同世界では、奈良県賽河村が突如インターネット上から消失する。白石瑞希が単独で賽河村を訪れると、周辺に住民は見当たらず、代わりに大量の違法幽霊たちが存在。電力・電話・インターネットはいずれも遮断されており、巨大な結界による封鎖がおこなわれていた。白石瑞希は、除霊課長の小日向と後輩の丸岡と連絡を取りつつ、悪霊の巣窟と化した封鎖された村で、違法幽霊除去の行政代執行を開始する。何らかの思惑が渦巻く村の消失事件をきっかけに、コスプレ除霊師による壮大な銃撃戦が繰り広げられる。


白石瑞希は、銃火器を手に悪霊たちを除霊していく。本作ではストーリーの流れにあわせて、村の探索や敵の殲滅といった目標が提示される。戦闘時には、銃火器や墓石などを使って敵を撃退。TPS視点での戦闘が展開される。オカルトやホラー要素を含む世界での、ガンシューティングを中心としたゲームプレイが待ち受けているのだ。幽霊との銃撃戦だけでは終わらないしっかりした世界観や、3Dのカットシーンと共に描かれる力強いストーリーも特徴だろう。なお本作は、個人ゲーム開発者の霧笛ノト氏が翻訳を除いて1人で制作しているそうだ。


本作は10月4日にPC(Steam)向けに発売された。「思いっきりやり返せるホラーゲーム」というキャッチーな謳い文句も手伝って発売前よりSNS上などで注目されており、個人開発のタイトルとしては期待作となっていた。

しかし発売直後、本作はプレイヤーから厳しい評価を受け、Steamのユーザーレビューでステータス「不評」を獲得する。記事執筆時点でSteam上から確認できるデータによると、10月4日時点では30件の好評レビューに対して、41件の不評レビューが集まっていたという。10月4日ごろの日本語のユーザーレビューでは、カメラを含めて画面が見づらい、モーションがもっさりしている、操作性が悪い、ゲームが進まない、処理が重い、最適化不足といった声が見受けられる。不満点に目を瞑ってストーリーや世界観を評価する声もあったものの、それ以上にゲームプレイを阻害する要素が多く、銃撃戦やストーリーに集中できない状況が約4割ほどと低い好評率に繋がったのだろう。なお「幽霊に思いっきりやり返せる」という謳い文句とのズレが、不評に繋がったケースもあったようだ。

Steamユーザーレビューの好評/不評件数のグラフ


本作ではそうしたレビューを受けた後、多数のアップデートがおこなわれた。パッチノートによると配信翌日の10月5日に3度、以降10月6日から10月11日までに5回のアップデートが配信されている。調整内容は多岐に及んでおり、多数のテクスチャ圧縮やテキスチャストリーミング機能導入によるパフォーマンスの改善、スプリント時のカメラぶれ削除を含む画面の見やすさの改善、一部オブジェクトへの行き先マーカーの追加、全体のモーション速度の高速化、プレイヤーの強化やミッション修正による難易度調整などが実施されている。

10月11日に配信されたv1.08は特に大きな更新となっており、ゲーム全体のパフォーマンスが未使用アセットの削除で大幅に向上。リロードの高速化や、近接攻撃の改善やバグ修正もおこなわれた。アップデートによって、発売直後のバージョンで挙げられていた不満点は修正されたか、改善に向かっているわけだ。


直近のユーザーレビューでも指摘されているとおり、本作には未だ操作性に癖があり、一部シーンでパフォーマンスが重いといった問題は残されている。しかし連日のアップデートによる改善もあってか、10月5日以降のユーザーレビューでは不評率が低下。一度否定寄りの評価をつけた後に評価を変えたケースも含めて徐々に好評率が上昇し、記事執筆時点では428件中82%の好評によりステータス「非常に好評」まで持ち直している。本作では発売直後の時点でもストーリーや世界観を評価する声があった。アップデートによる改善で、不満点よりも光る要素に注目しやすくなったことで、好評レビューが増えたのだろう。なお霧笛ノト氏のX(旧Twitter)アカウントによれば、10月11日のアップデート以降は、解像度変更機能の導入とパッドへの対応が進められているとのこと。本作のさらなる改善に期待したい。

『近畿霊務局』は、PC(Steam)向けに通常価格1200円で配信中だ。

Keiichi Yokoyama
Keiichi Yokoyama

なんでもやる雑食ゲーマー。作家性のある作品が好き。AUTOMATONでは国内インディーなどを担当します。

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