『ボーダーランズ4』 Steam同時発売予定をうけて「Steamは将来衰退するかも」との開発元CEOの過去発言が蒸し返される。CEOも反応

2Kは8月21日、『ボーダーランズ4』を発表した。本作が前作と違ってSteamでも同時発売されることを受け、開発元Gearbox Softwareの社長兼CEOの元に一部ユーザーから“皮肉”な反応が寄せられている。

パブリッシャーの2Kは8月21日、Gearbox Softwareが手がける『ボーダーランズ4』を発表した。PC(Steam/Epic Gamesストア)およびPS5/Xbox Series X|S向けに2025年に発売予定。本作PC版が前作と違ってSteamでも同時発売されることを受け、Gearbox Softwareの社長兼CEOの元に一部ユーザーから“皮肉”な反応が寄せられている。背景には同氏の過去の発言があるようだ。海外メディアGamesRadar+が伝えている。

本作は、FPS『ボーダーランズ』シリーズの最新作だ。過去のシリーズ作品では宇宙の荒野を舞台に、殺伐としつつも癖の強い世界観が展開されてきた。ゲームプレイでは性能の異なるプレイヤーキャラを選べる点や、多種多様な性能をもつ武器がドロップするハクスラ要素などが特徴だ。

シリーズ新作では新たな惑星にて、プレイヤーは伝説のヴォルト・ハンターとしてエイリアンの秘宝を求めることになるという。目の前に立ち塞がるあらゆるものを吹き飛ばす、“ヒャッハー”なゲームプレイが展開されるようだ。


蒸し返される過去発言

本作の発表を受けて、Gearbox Softwareの社長兼CEOであるRandy Pitchford氏がSteamに関して述べた「過去の発言」に注目が集まっている。というのも本作PC版は、Epic GamesストアおよびSteamの両ストアに同時発売される見込み。一方で前作『ボーダーランズ3』PC版は、Epic Gamesストアにて時限独占販売されていた。

この点については当時大きな批判も寄せられた。たとえばあるユーザーは、Steamはユーザー人口やプラットフォームとしての機能などあらゆる面でほかのストアより優れている一方、Epic Gamesストアは未成熟で利用したいと思える段階ではないとRandy氏に向けて指摘。この考えに対して同氏は多数のポストで返信しつつ、かなり丁寧にEpic Gamesストアで時限独占販売する狙いなどを解説していた(関連記事)。

今回注目を集めているのは、一連のポストのなかで発言された「dying store(衰退しつつあるストア)」との表現だ。文脈としては、同氏は当時のSteamがEpic Gamesストアにはない機能を数多く持っていたことは事実であると認めつつも、ValveやEpic Gamesと長年仕事をしてきた経験上、Epic Gamesの技術投資のペースはValveを大幅に上回るかもしれないとの予想を説明。5年あるいは10年後にSteamは“衰退しつつあるストア”のように見えるかもしれず、ほかの競争力あるストアが主流になっている可能性もあるとの考えを述べていた。また同氏は、競合相手が存在するからこそ各ストアはユーザーに最高の体験を提供して勝利することを目指すため、(競争状態は)ユーザーにとっては間違いなく素晴らしいことだといった見解も伝えていた。

そこから約5年を経て今回、『ボーダーランズ4』のSteamでの同時発売が発表されたことを受け、一部ユーザーは当時の“dying store発言”を引き合いに出して、「なぜ衰退しつつあるストアで同作を発売するのか」とRandy氏を皮肉っている格好だ。ただ発売されるプラットフォームの選択については、開発元のGearbox Softwareではなくパブリッシャーの2Kが判断・決定しているとみられる。その点でも、Randy氏は“発言と矛盾する判断”をしたわけではないだろう。

なおそうした指摘にもRandy氏は返答。SteamがPCゲームにおいて主流のストアプラットフォームであることは今も変わらず、Epic Gamesストアは残念ながら優勢ではないと認めた。一方で同氏は、PCゲームのストアプラットフォームにおいて、依然としてクリエイターにとってより良い競争を望んでいると改めて表明。Steamを利用しつつも、競合他社もサポートしていくとした。


先日にはEpic GamesストアのCEOであるTim Sweeney氏が海外メディア向け会見にてこれまでの同ストアの戦略を振り返り、「いくつかの独占販売は大成功した」としつつも、多くの独占販売契約については「いい投資ではなかった」と発言し注目を集めていた(関連記事)。PCゲームのストアプラットフォームとしてSteamが“一強”の状態は依然としてあるようで、Epic Gamesストアで独占販売をしたとしてもタイトルの売上に結びつかない傾向もあるのだろう。先日には、PC版がEpic Gamesストアで独占販売中である『Alan Wake 2』が、マーケティング費用を含む開発費の一部を回収できていないといったニュースも報じられていた(関連記事)。

そうした状況もあってか、『ボーダーランズ4』ではSteamでも同時発売にするという方針がとられるのかもしれない。とはいえRandy氏としては過去の発言時と同じく、依然としてPCゲームのストアプラットフォームの独占状態をクリエイター目線で望まない姿勢を見せている。今後PCゲームプラットフォーム業界にて同氏の望むような“健全な競争”が見られるかどうかは注目されるところかもしれない。

ボーダーランズ4』は、PC(Steam/Epic Gamesストア)およびPS5/Xbox Series X|S向けに2025年に発売予定だ。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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