“好評なのに売れてない”と嘆かれた『Arco』、2年越しに10万本到達で無事開発費を回収。「新しさ」に挑んだ隠れた良作、じわじわ実る

2024年に発売された『Arco』はメディア、ユーザー共に高い評価を得ながら、売れ行きの面で苦戦していた。しかし、発売から2年が経過した8月19日、販売本数が10万本に達し、開発費を回収できたとのこと。

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パブリッシャーのPanicは2024年8月16日、戦略RPG『Arco』を配信した。対応プラットフォームはPC(Steam/Epic Gamesストア/Mac App Store)/Nintendo Switch。本作はメディア、ユーザー共に高い評価を得ながら、売れ行きの面で苦戦していた。しかし、発売から2年が経過した8月19日、販売本数が10万本に達し、開発費を回収できたとのこと。本作の作曲家兼サウンドデザイナーのJosé Ramón García(Bibiki)氏が海外メディアGame Developerの取材を通して明らかにしている。

『Arco』はメソアメリカ(メキシコ南部から中央アメリカにかけての地域)を舞台にした戦略RPGだ。

プレイヤーは「レッド・カンパニー」一味への復讐を誓う4人のヒーローを導き、緑豊かな森や広々とした平原などの舞台を旅しつつ、敵との戦いを繰り広げていく。敵と味方が同時に行動する「同時ターン制」を採用したバトルシステムが特徴で、プレイヤーは敵が次に取ってくるアクションや移動先といった情報をもとに戦術を立て、その結果を見届けていく。

また、バトルマップは一般的なターン制ストラテジーのようなマス目ではなく、リアルタイムストラテジーを思わせる細かく自由に行動可能な形式になっている。そのため、緻密な位置取りが可能なほか、地形や障害物を利用するといった高度な立ち回りや応用も求められてくるようになっている。さらに会話シーンにおいては、選択肢によって主人公の罪悪感ステータスが変動。それによってストーリーの行方が変わる要素も備わっている。

本作のPC(Steam)版はレビュー集積サイトMetacriticにおいて86のスコアを獲得。Steamユーザーレビューは執筆時点で2161件のうち95%が好評とする「圧倒的に好評」ステータスを獲得している。

このように、メディア、ユーザーの双方から高い評価を得ていたが、本作のアーティストであるFranek Nowotniak氏は売れ行きは悪いと自らのXアカウントでコメント。今までにない新しいタイプのゲームとして制作したものの、すでに面白さが確立された既存のゲームジャンルで作っていれば、もっと売れていたかもしれないと発言していた。続けて次回作では「新しいかどうか」ではなく「売れるかどうか」に焦点を当てて制作するともコメントしつつも、何かしら新しいことをする必要もあるとも述べた(関連記事)。

一連のコメントは、人気アドベンチャーゲーム『McPixel』シリーズの開発者であるSos Sosowski氏が近年のインディーゲームにおけるジャンルの偏りを指摘し、「新しいものを作れ(Make. New. Stuff.)」と呼びかけたことが背景にあった。Nowotniak氏はこのアドバイスに皮肉を交えて反応。実際にNowotniak氏は『Arco』で新しいゲーム作りに挑んだものの、結果が振るわなかったことを伝えていたわけだ。Nowotniak氏のコメントにはインディー開発者からの共感の声も寄せられた。また『Balatro』の開発者LocalThunk氏も『Arco』は出来の良さが結果に繋がっていないといった見解を示し、同作を応援する投稿をおこなっていた。

ただし、『Arco』の販売不振に関しては単に新しいゲームとして作ったことが受け入れられなかったのではなく、マーケティングが上手くいかなかったことも要因にあったとNowotniak氏は述べている。また、2024年の時点では十分な収益を得られていないものの、長期的には開発費を回収できるかもしれないとの展望も語っていた。

そんな本作の販売本数が10万本に達し、開発費が回収されたことが、Game Developerの取材によって明かされた。発売から2年を迎えてようやく実を結んだかたちである。取材内でGarcía氏が回答したところによれば、売り上げの大部分はSteam経由であったとのこと。また、購入者のかなりの割合がSteam Deckで本作をプレイしているようだ。

García氏も2年前の発売当時、『Arco』の存在を周知できず、隠れた名作扱いになってしまっている状況を嘆いていた。今回の10万本達成並びに開発費の回収の達成にGarcía氏は素晴らしい満足感を得ていると同時に、10万人以上のプレイヤーが本作を遊び、楽しんでいただけたことは信じられないほどの喜びであるとコメントしている。

Steamユーザーレビューでは「圧倒的に好評」のステータスを獲得している通り、本作は発売当時から評価が高く、プレイしたユーザーからもオススメするコメントが寄せられていた。さらにセールキャンペーンも季節ごとに実施されていたことから、その度に評判を耳にしたユーザーが購入していき、最終的に10万本達成と開発費回収という結果を残すことができたのだろう。

ちなみに、前述の当時の苦戦を明らかにしたNowotniak氏は5月20日にポーカーダイスを題材にした新作ローグライト『Dice Have No Eyes』の早期アクセス版をリリースしている。今回は既存のゲームジャンルかつ『Balatro』を意識したゲームジャンルとなっており、『Arco』の時の経験が活かされている様子が見られる。同時にゲームバランスは『Balatro』とは異なる方向性を目指しているようで、“何かしら新しいことをする”という考えも織り込まれているようだ。

スロースタートながらも最終的には一定の成功を収めた『Arco』に続く本作はどのような反響を呼ぶことになるのか。すでに本稿執筆時点で246件のユーザーレビューが寄せられ、うち95%が好評の「非常に好評」ステータスを獲得していることからも、今後の動向が注目される。

『Arco』はPC(Steam/Epic Gamesストア/Mac App Store)/Nintendo Switch向けに発売中。ゲーム内表示は日本語に対応している。また、Steam向けには無料体験版も配信中である。

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シェループ
シェループ

2D&3Dアクションと手ごわいストラテジーが大好物の人。積みゲーが一向に減っていかない呪いに悩まされています。

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