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ゲーム開発者らが「“イライラしない”高難度ゲームの作り方」で議論白熱。突き放すけどプレイはしてほしいジレンマ
難易度を高く設計するとイライラするゲームになってしまうという、ゲーム開発者のジレンマについての議論が盛り上がっている。

難しいゲームをプレイする場合、手ごたえや向上心だけでなくイライラを感じた経験は誰しもあるだろう。海外掲示板Redditでは、難易度を高く設計するとイライラするゲームになってしまうという、ゲーム開発者のジレンマについての議論が盛り上がっている。
発端となったのは、海外掲示板Reddtiのゲーム開発者向けコミュニティ「r/gamedev」にてユーザーのFunYak4372氏が投じたポストだ。同氏はまず、多くのゲームにおいて、負けた際に進捗が失われるなどのペナルティが発生する仕組みが取り入れられていることを説明。そうしたゲームデザインは、緊張や難しさを感じさせる上で効果的である一方、ランダム生成要素などがない場合、失われた進捗を取り戻すためには同じことを繰り返さなければならないというデメリットが存在。そのため、難易度を高くしつつプレイが単調で退屈にならないようにするためにはどうすればよいのか、疑問を投げかけている。
同氏によれば、2Dアクションゲーム『ショベルナイト』のように、死亡するとチェックポイントまで戻されるような作品がある一方で、進捗の代わりに所持している装備などを失うといった異なる仕組みを採用している作品もあるという。ただ、もし失うアイテムがステージを進行する上で重要なアイテムだとすれば、それを取り戻すまでに結局何度も繰り返すことになり、結局状況は同じだと語る。他方で、仮に失うアイテムが重要でない場合には、リスクや挑戦が存在せず、ゲームとして楽しくないのではないかと問題提起をしている格好だ。
このRedditの投稿には、ゲーム開発者を中心に多くのユーザーが反応を示している。たとえば、ZorbaTHutのハンドルネームをもつゲーム開発者のBen Rog-Wilhelm氏は、現在早期アクセス配信中の海賊サバイバルクラフトゲーム『Windrose(ウィンドローズ)』をプレイした経験を交えて返信。同氏にとって、『Windrose』は求めていたものとは真逆だったという。同作では、敵の攻撃力や体力が高く、プレイヤーはすぐにやられてしまうものの、敵は自分で回復しないため、繰り返し突撃し続ければいつか撃破できると説明。そのため、敵の攻撃の合間に数回の攻撃を入れ、複数体の敵が同時に出現したら逃げる、といったゲームプレイだったとしている。

同作では3段階の難易度プリセットに加えて、敵の体力や攻撃力を細かく調整可能だが、真ん中の「大海原」難易度のデフォルト設定でも、ソウルライクのようにシビアな戦闘体験であるとの声は散見される。同作ではいわゆる「弾き」によって敵の攻撃を捌けるシステムがあるものの、リスクを避けてヒット&アウェイを繰り返すプレイも可能なわけだ。あえてそうした“抜け道”的な戦法をとり続けると、プレイし続けても上達しないまま戦闘を楽しみづらくなるという見方もあるのだろう。
類似の意見として、スレッド内では負けた理由が明確でなければ、プレイヤーはやり直すことを苦痛と感じうるとの考えも上がっている。たとえば、回避のタイミングを間違えて攻撃を受けてしまった場合と、画面上では攻撃が当たっていないのに攻撃を受けてしまった場合とでは、プレイヤーの受け止め方は全く異なるとするユーザーも存在。同じプレイをやり直すという一見煩わしいだけの行動に意味を持つためには、プレイヤーが敗北に対して納得し、学びを得ることが重要なのだろう。フロム・ソフトウェアの宮崎英高氏も過去のインタビューで「ゲーマー・プレイヤーとして自分がどう殺されたいか」を重視していることを伝えていた(Game Informer)。
また他方で、死亡時のペナルティに関しては今回のスレッド内でさまざまな意見が寄せられたトピックだ。インディーゲーム開発者のBeldarak氏は、適切なペナルティの大きさはゲームのジャンルや伝えたい雰囲気によるとした上で、オープンワールドサバイバル『Outward』を例示。同作では死亡した際、決まった場所にリスポーンするのではなく、死亡した場所や倒された相手によって、山賊のキャンプや狼のいる洞窟など、マップのさまざまな場所で目を覚ます可能性があるという。時には、クエストのある全く新しいエリアに飛ばされることもあるのだ。

リスタートというペナルティを与えつつ、毎回新鮮な体験も得ることができるという特徴により、プレイの単調さをもたらすやり直しの問題点を緩和しているわけだ。Beldarak氏は、ゲームには十分に厳しいペナルティが必要となる一方で、それによって退屈にならないように注意しなければならないとの持論を述べている。
そうしたゲームデザインを持つ最たるものとしては、ローグライク(ローグライト)などのジャンルが挙げられるだろう。多くのローグライク作品では基本的に、ゲームオーバーとなれば進捗は振り出しに戻るが、毎回新たな敵やステージなどが用意されることが特徴。また永続的なアップグレードによってプレイが少しずつ拡張されていったり、収集要素が存在したりなど、負けても完全なリスタートにはならない。繰り返しを楽しませるデザインとなっている。プレイヤーにプレイの上達を感じさせることに加えて、ゲームオーバーになっても残る進捗が積み上がっていくシステムも、難しさをイライラさせずに演出する上では効果的なのかもしれない。

ここまでに挙げた意見では、高難度ゲームの重く設定したペナルティを受け入れるための方策が話されてきたが、なかにはあえてペナルティを軽くして、プレイヤーが自らペナルティを課すことを狙う開発方針も共有されている。Redditユーザーのfalconfetus8氏は、自身が作っているプラットフォーマーゲームでは、水に落ちたり壁に頭をぶつけたりした際に、短いアニメーションが再生されるようにしていると説明。カジュアルに遊ぶ際には全く問題ない一方で、タイムアタックをおこなうプレイヤーにとっては時間のロスとなり、自らリセットすることを選ぶことになる。このように、プレイヤーが自分の遊び方や目標にあわせて必要な完璧さのレベルを調整できるという仕組みも、プレイヤーにイライラを感じさせないための方法の一つだろう。
今回のRedditの投稿では「ゲームオーバーによる進捗の消滅」を主なトピックとしてさまざまな議論が交わされているが、もっとも、ゲームを高難度たらしめる要素は死亡時のペナルティだけではない。十分な手ごたえをプレイヤーに感じさせながら、ストレスや飽きを感じさせないゲームデザインをおこなうためにはもちろん別の要素の検討も必要になるだろう。プレイヤーを突き放しつつも遊び続けてもらえるバランスを目指す際には、多角的に試行錯誤が必要になることもうかがえる。高難度ゲームをプレイした際には、そうした工夫に想いを馳せてみたり、あるいはイライラを感じた要因を自分で紐解いてみるのも面白いかもしれない。
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