開発者の多くが「運営型ゲームが長続きしないと懸念している」との調査報告。有料DLCが人気の収益モデルになりそうな気配

 

ゲーム開発者コミュニティであるGame Developer Collectiveは4月4日、600人のゲーム開発者に対する、ゲームのビジネスモデルとマネタイズについての調査結果を公開した。調査によれば、調査対象のうち70%が、ライブサービス型のゲームの持続性について懸念しているとの結果が出たようだ。Game Developerが報じている。


Game Developer Collectiveは、ゲーム開発者のコミュニティだ。同コミュニティは、海外ゲームメディアのGame Developerと調査/アドバイザリー企業のOmdiaが提携して、2023年11月に立ち上げた。本稿執筆時点ではすでに複数回の調査がおこなわれている。

今回公開された調査結果は、今年の2月から3月にかけて、600人のゲーム開発者に対しておこなわれたインタビューによるものだ。そこではゲームのビジネスモデル、そしてその収益化についての質問への回答が寄せられている。

Image Credit: Game Developer on Web


具体的には、まずライブサービス型(運営型)ゲームの持続性についてだ。「現在一般的に利用されているライブサービス型のビジネスモデルの持続可能性をどの程度懸念しているか」という質問について、31%が「非常に懸念している」と回答し、39%が「やや懸念している」と回答。何らかの懸念を示す開発者が合計で70%となった。ライブサービス型ゲームについて、多くの開発者が「長続きしないのではないか」という懸念を抱えているようだ。

またその持続可能性を懸念する具体的な理由については、「プレイヤーがライブサービス型ゲームへの興味を失う」ことが一番多く、63%を占めている。次いで「他のライブサービス型ゲームと競争になる」という理由も62%と高い割合となっていた。

昨今では多数のライブサービス型ゲームがリリースされている。たとえば『VALORANT』『オーバーウォッチ2』といったFPSゲームのほか、『League of Legends』などといった作品が存在。多くのタイトルが継続的な展開を見せていく中で、競合作品と肩を並べつつ、かつプレイヤーの関心を失わないように魅力的なコンテンツを提供し続けていく、というのはコストもかかる。開発者の悩みの種となっているのだろう。

Image Credit: Game Developer on Web


ゲームのマネタイズの方式に関するアンケートでは、直近の作品(Most Recent Game)における方式とリリース前の次回作(Next Game)での予定について調査がおこなわれている。一番多かった回答はDigital release、つまりソフトを配信にて有料販売する、“買い切り”の方式だ。ほかには、Paid DLC(有料DLC)やPaid in-game items/contents(ゲーム内課金アイテム/コンテンツ)、物理ソフトリリースといった回答が続いている。そうしたなかで、「直近の作品」と「次回作」の比較で9%という大幅な採用率上昇を見せたのが、「有料DLC」の項目だ。

さまざまなゲームが大型DLCなどの発表、発売にあたって大きな話題となってきた。たとえば『サイバーパンク2077』では大型拡張コンテンツ「仮初めの自由」リリース後に、それまで2、3万人で推移していたSteam同時接続プレイヤー数が最大で約27万人まで上昇(SteamDB)。ほか『エルデンリング』では2月にフロム・ソフトウェアがDLCの詳細を発表。まだリリースされていないにもかかわらず、DLCが話題となり、本編についてもプレイヤーベースがほぼ倍増するといった賑わいを見せた(関連記事)。ほかにも、人気作品を中心にインディーからAAA級まで規模を問わず、DLCで好調なセールスや活況を見せる例がある。

今回の調査によって、サンプルとなった開発者の多くはライブサービス型タイトルの持続性に懸念を抱いているという結果が判明した。収益モデルとして有料DLCに関心が集まっている背景には、ライブサービス型タイトル運営の難しさと、大型DLCリリースの成功例が影響しているのかもしれない。ゲーム業界のマネタイズの傾向がどのように変化していくのか今後も注目される。