『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』の家具を「本職の家具職人」が分析。リトの村のテーブルを褒めちぎり、ハテノ村の家具は“危ない”とバッサリ

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』に登場するさまざまな家具を分析する動画が注目を集めている。現実ではあまり見られないクセの強い家具も一部あるようだ。

ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』に登場するさまざまな家具を分析する動画が注目を集めている。世界観に則したこだわりが垣間見えるほか、現実ではあまり見られないクセの強い家具も一部あるようだ。

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』における木製家具の分析動画を投稿したのはYouTuberのAny Austin氏だ。動画には米国ニューオーリンズにて家具職人・デザイナーを営むEden Klinger氏が出演。専門家目線で作中のさまざまな家具が分析されている。


動画で最初に紹介されたのはハテノ村の民家におけるダイニングテーブルだ。Eden氏はまずテーブルの脚について、交差した脚の真ん中あたりにある接合部に着目。交差したそれぞれの脚に対し、短い木材がほぞ穴を埋めるかたちで接合されていることがわかる。同氏いわく、このタイプのテーブルは現実では耐久性を高めるために、長い一本の木材を渡して両方の脚のほぞ穴を埋める構造になることが多いという。

対する本作中のダイニングテーブルの脚も、同氏によれば理論的には可能な構造とのこと。しかし短い木材は脆いため、接着剤で固定しないと負荷がかかった際に壊れてしまう危険性があるとの見解を伝えた。一見するだけでは分からない、プロからすれば一風変わった脚のデザインになっていたようだ。ハイラルのファッションを牽引するハテノ村では住人たちが家具にもこだわっているような気もしてくる。


またEden氏はテーブルに使用されている木材の木目が描画されているといった細やかな作り込みを称賛。一方で木目を見るに、テーブルの木材には木の中心部が利用されているそうで、これも現実では耐久性を考慮すると珍しいことだという。中心部は自然と割れてしまうことも多く、家具向きではないそうだ。そのほかハテノ村の民家には脚が三本しかない椅子も存在。こちらも現実では耐久性に懸念のある構造をしているそうで、ハテノ村の住人たちはリスクを顧みず、家具においてもお洒落なデザインを追求しているのかもしれない。

動画で紹介された家具の中で、Eden氏がもっとも高く評価したのはリトの村のテーブルだ。まず注目されたのはテーブルの天板部分。鳥の姿をしたリト族にあわせてか翼のような意匠となっている。さらにテーブルの下に目を向けると、足部分は三又に分かれた作り。これもリト族にあわせて鳥の足のようなデザインになっているのだろう。リト族のアイデンティティが感じられる細やかなデザインのこだわりを同氏は称賛している。


ほかにも動画では作中のさまざまな家具が紹介された。たとえば監視砦地下のテーブルは脚と天板を繋ぐ部分が湾曲しており、こうしたデザインのテーブルを作るのには非常に手間がかかるという。そのほか天板から木材がはみ出るような特徴的なデザインも西欧の伝統では見られない作りとのこと。Eden氏は本作を任天堂が手がけている点に触れつつ、このテーブルのデザインが鳥居を連想させるとの印象を述べている。


そのほかEden氏はコログのベッドなども紹介。コログのベッドには綺麗に湾曲したパーツがいくつも用いられており、コログたちは蒸気を用いた「曲木」技術に精通しているのではないかと冗談めかして分析している。またベッドの木材の接合部も綺麗に作られているという。ここには組み合わせる木材同士に溝を作る「相欠き継ぎ」、あるいは何かしらの魔法で作られている可能性を示した。いずれにせよコログたちは森に住むだけあって優れた木の加工技術を有しているようである。


家具の専門家の観点から、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』中のさまざまな家具について分析された今回の動画。本稿で挙げた以外にも複数の家具について紹介されているのでチェックしてみるといいだろう。家具はゲームプレイにはあまり関わらないこともあり、普通にプレイしているだけでは見逃しがち。一方でロケーションに応じてさまざまなバリエーションが用意されており、舞台設定に応じた細やかな作り込みがなされているようだ。

ちなみにAny Austin氏のチャンネルでは、過去に『The Elder Scrolls V: Skyrim』の木材建築や家具についてEden氏が分析する動画も投稿されていた。今回の動画でもたびたび同作の家具との比較がおこなわれており、興味がある人はこちらもチェックしてみるといいかもしれない。ちなみに動画ではS・A・B・C評価で各ロケーションの家具について評価もおこなわれているが、ここではEden氏目線で家具としての機能やデザインが現実的かどうかが主な基準とされている模様。『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』は全体を通してB評価、『The Elder Scrolls V: Skyrim』はC評価とのことだ。


『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』はNintendo Switch向けに発売中。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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