スクエニ松田社長、『フォースポークン』発売直後のレビュー・販売状況を「厳しい」と認めていた。でもまだこれから


スクウェア・エニックス・ホールディングスは3月10日、2023年3月期第3四半期決算説明会の概要を公開した。同決算説明会は、今年2月3日に開催。今回公開されたのは、その内容を取りまとめた資料となる。そのなかで『FORSPOKEN(フォースポークン)』の発売直後の厳しい状況が語られていた。


本決算説明会では、代表取締役社長の松田洋祐氏、および最高会計責任者の松田敦志氏が説明者を務めている。まずは、最高会計責任者である松田氏が業績を報告。2023年3月期第3四半期累計の売上高は2556億円で前年同期比180億円減となったことや、デジタルエンタテインメント事業の売上高が前年同期比 273 億円減と苦しい状況にあることが報告された。一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益が前年同期比では65億円の増益となったことも伝えられている。コンシューマーゲーム向け分野は、厳しい状況となっているようだ。


そうした業績が語られたのち、代表取締役社長である松田洋祐氏に説明のバトンが渡った。同氏によれば、デジタルエンタテインメント事業の前年同期比での減収減益については、昨年度の大型タイトル発売の反動減、および今期発売の中小規模タイトルの多くが想定を下回ったためとしている。また今期は前年と違って、『ファイナルファンタジーXIV』といったMMOにて拡張パッケージの販売がなかったことも減収減益の理由とした。

松田社長はほかの事業についても概要を説明し、やがてトピックは第4四半期および来期の見通しへ。そこで『フォースポークン』が話題にあがった。松田社長は同作についてレビュー・販売状況いずれも厳しい状態にあると明言していたのだ(資料PDF)。


『フォースポークン』は、『ファイナルファンタジーXV』の開発スタッフが中心となって設立されたLuminous Productionsが手がけたアクションRPG。現代に生きる主人公フレイ・ホーランドが、アーシアと呼ばれる魔法が存在する異世界に迷い込み、元いた世界に戻る方法を探すため、意志をもつブレスレットのカフと共に冒険する。本作は自社開発のLuminous Engineをゲームエンジンとして採用し、次世代の大作ARPGとして期待を寄せられていた。

しかしながら、1月24日(PC版は1月25日)の発売後には賛否両論の評価が本作に寄せられることとなった。パルクールやバトルアクションなどは一定の評価を受ける一方で、パフォーマンス面の問題やコンテンツ密度については不評も寄せられた。Steamにおける現在のユーザーレビューは、3280件中59%が好評とするに留まる「賛否両論」ステータスだ。

松田社長も、決算説明会のなかで、本作は評価も販売も苦戦している一方、アクション面では高い評価も得ていると言及。今後のゲーム開発に繋がる相応の成果も得られたとしている。しかしながら、2~3月に発売予定の新作の進捗次第では「今期業績には相応のダウンサイドリスクになりうる」との見解を語っている。


ただし、明るい展望についても松田社長は語っている。まず、来期以降には未公表のタイトルも含め、非常に強力なラインナップが揃っているとのこと。また、質疑応答で「『フォースポークン』の第4四半期業績への影響は」と聞かれた松田社長は、発売して間もないため、今後のプロモーション施策などを受けた販売動向次第であると強調している。

本作開発元Luminous Productionsは今年5月1日付で、スクウェア・エニックスに吸収合併されることが伝えられている(関連記事)。合併の発表時にLuminous Productionsは、スクウェア・エニックスとの合併へと向かいつつも、本作のアップデートや改善に取り組む姿勢を強調。3月10日には多岐にわたる修正やパフォーマンス改善を盛り込んだアップデートが配信されたほか、夏にはDLCのリリースが控えている(関連記事)。光る部分もあるとされる作品であり、改善への取り組みが続けば、松田社長が語った厳しい評価が見直され、売上に繋がっていく可能性もあるだろう。

なお、松田社長は今回の説明会にて「来年度以降にローンチするブロックチェーンゲームにも期待いただきたい」と発言して注目を浴びているほか、今月初めには社長退任の方針を明らかにしていた。新社長には桐生隆司氏が就任する予定で、今年5月・6月に異動日が正式決定する見込み(関連記事)。スクウェア・エニックス全体としての、今後の動向にも注目したい。