『ホグワーツ・レガシー』はクィディッチがないのに、クィディッチ向け作り込み充実。たまらず溝を飛び回るユーザーたち

 

「ハリー・ポッター」を題材としたオープンワールドアクションRPG『ホグワーツ・レガシー』。同作においては、クィディッチは実装されないことが事前に告知されており、かつゲーム冒頭でも高らかに宣言される。一方で、その作り込みから、なぜかクィディッチ周辺の要素がやたらと充実しているのだ。

『ホグワーツ・レガシー』は人気小説・映画「ハリー・ポッター」シリーズを題材としたゲームだ。プレイヤーは5年生として、魔法学校ホグワーツに入学。授業や探索に励みつつ、世界をめぐる大きなしがらみに巻き込まれていく。ゲームとしてはオープンワールドとなっており、学校および学校周辺のエリアを冒険し、誰かのお願いを解決したり、新しい発見をするのだ。


同作には、クィディッチを遊ぶ要素は存在しない。公式サイトのよくある質問ページにてはっきりと明言されている。またゲームの冒頭にてブラック校長から「春の決勝戦で負傷者が出たため、今年のクィディッチのシーズンを中止する」と告げられる。ゲームを進めていくと、この中止宣言の背景などもわかってくるのだが……ともかく、現時点でクィディッチは実装されていない。


しかしながら、そうした中止宣言があってもなお、クィディッチの不在は惜しまれている。というのも、クィディッチに関する要素は作り込まれているのだ。競技を構成する部品単体ではしっかり揃っているのである。 まずひとつめは、箒による飛行だ。本作では箒による飛行が可能。一部飛行禁止エリアはあるものの、多くの場所で箒による飛行が可能。また箒の乗り心地もよく、風を切るようなエフェクトで空を舞える。移動手段として、かなり優秀である。


さらに本作にはクィディッチ競技場も存在する。かなり大きめなスタジアムで、もちろん入ることが可能。青々とした芝生が広がり、装飾もばっちり。さらにクィディッチにまだゴールがない時代であることも加味されたつくりだ。


そして、競技場の脇にしっかり溝が存在することから、この溝で擬似クィディッチ気分を味わう人が続出しているのだ。さまざまなユーザーが、この溝に入って高速に滑空することでクィディッチ感を味わっている。箒の飛ぶ速さもあいまって、かなりの臨場感だ。「ハリー・ポッターと秘密の部屋」では、スニッチを追ってハリーとマルフォイが競技場の脇の溝を飛行する。そうしたシーンを再現しているのだろう。

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このようにあまりにクィディッチに必要な素材が揃っていることから、クィディッチがないことが惜しまれているのだろう。逆に、ないことが不自然とすら思うほど。『ホグワーツ・レガシー』でのクィディッチについては開発段階では実装しようとしていた形跡があったと報告されている(関連記事)。またゲーム内ではクィディッチの今後の実装を予感させる示唆もいくつも存在。素材は十分に揃っている。それゆえに、クィディッチは今後DLCなどで実装されるのではないかと予想するユーザーは非常に多い。


一方でクィディッチについては、架空の競技としては面白いとしつつ、スポーツとしてはルールなどに問題があるとの意見も多い。noteユーザーの砂氏は、基本的なグラウンドルールが守られていないゆえに、ゲームデザイン上に穴があると指摘 。役割やスコアシステムなど多岐にわたるシステムの問題点をあげている。同様の意見は国内外で散見される。つまり、ゲームとして面白く落とし込むには多くの工夫がいることだろう。

『ホグワーツ・レガシー』では、前述した箒や競技場のほか、クィディッチを模した模型なども存在。同スポーツへの並々ならぬ愛は感じられる。本物のクィディッチをゲーム内で楽しめる日はくるのだろうか。期待せずに待っておこう。