『ホグワーツ・レガシー』における「クィディッチ」の扱いが話題を呼んでいる。本作は「ハリー・ポッター」シリーズを題材としたオープンワールドアクションRPG。ゲームの舞台の中心にホグワーツを据えるなど、「ハリー・ポッター」にまつわるさまざまな要素が登場する。しかし、ある要素については徹底して「存在しない」と開発元が宣言している。それはクィディッチである。
クィディッチは、「ハリー・ポッター」シリーズ内に登場するスポーツだ。伝統と歴史のあるスポーツであるとされており、物語にも深く関わる。同シリーズ内における寮ごとの対抗意識や仲間意識を強調するという点でも、大きな役割を担っている。
「ハリー・ポッター」を語る上では欠かせないスポーツであるクィディッチ。しかしながら、同スポーツは『ホグワーツ・レガシー』に登場しない。そして登場しないことについては、かなり熱心に強調されているのだ。まず公式サイトを見てみよう。よくある質問ページにて質問と回答が載せられている。その中で「ゲーム内でクィディッチができるか」という質問に対して「できない」ときっぱりお断り。「通り抜け箒戦や箒競争の挑戦は一部でき、また箒に乗って飛び回ることはできる」とも補足しているが、かなりはっきりしたお断りが飛び出している。なおこの記述は2022年9月時点で明言されている。
そして、その断りはゲーム内でもされているのだ。ゲームを始めて、ホグワーツにたどり着いた直後、いきなり校長から「春の決勝戦で負傷者が出たため、今年のクィディッチのシーズンを中止する」という宣言がなされる。ゲーム開始の冒頭で、ホグワーツにきてすぐであるにもかかわらず、いきなり「クィディッチできません」宣言がぶち込まれるため、唐突に感じる人もいるかもしれない。というか筆者がそうだった。一方で、徹底してクィディッチがないと言い切るのは潔い。その潔さには国内でも反響が寄せられている。
一方で、なぜクィディッチがプレイできないのか。その理由は開発元からは明かされていない。そもそもとしてスポーツとして難があるのか、ルールに懸念があるのか、バランス面で不安があるのか。それらを含めてゲーム内に実装するのが難しいのか。わかるのは、開発元が「クィディッチができない」と力強く宣言していることだけだ。
「ハリー・ポッター」のゲームでクィディッチが登場する作品は『Harry Potter: Hogwarts Mystery』や『Harry Potter Quidditch World Cup』などいくつか存在。特に後者は国内でも発売されたクィディッチが主役のゲームだ。裏を返せばシリーズ作品で「クィディッチ」が実装された作品は限られており、そもそもゲームに盛り込まれることが珍しいといえるかもしれない。
なお『ホグワーツ・レガシー』内にクィディッチが登場しない理由を推察する“それっぽい噂”は存在する。同作のDiscordサーバーにてゲーム内情報を解析したと主張するユーザーによると、2017年時点で同作にてクィディッチを実装しようとしていたと痕跡が残っていたという。クィディッチだけでなく、同スポーツにおけるそれぞれのポジションも実装しようとしていたそうだ。しかし同ユーザーによれば、そうした試みは1年後に断念されたとのこと。このユーザーは、クィディッチ実装が断念されたという文脈を踏まえて、「適した取捨選択は重要である」とも語っている。
実際のところ、この指摘もひとつの推測でしかない。一方で、ゲーム内にクィディッチの競技場が存在したり、箒に乗るアクションも存在したりと、素材自体はしっかり揃えられている。このことから、ゲーム内に面白いスポーツとして実装できないため断念されたようにも見える。筆者がプレイしている上では『ホグワーツ・レガシー』は、何をするにしても「気持ち良さ」に配慮されていると感じる。複雑な挙動とルールを組み合わせたクィディッチを実装するにあたっては、このゲームコンセプトを保てるかは不透明。クィディッチの調整にかけるリソースをほかのコンテンツの実装にあてたと考えると、合理的であるし、いちユーザーとしては納得している。
とはいえ、ここまで「クィディッチ」がないと強調するのは、ある種の執念を感じる。「ハリー・ポッター」においてどれほど「クィディッチ」が重要であるかを、開発陣がしっかり認識していることが読み取れるかもしれない。
『ホグワーツ・レガシー』はPC（Steam/Epic Gamesストア）/ PS5/ Xbox Series X|S向けに、2月10日発売予定（PC版は日本時間2月11日）。PS4/Xbox One向けには4月4日発売予定、Nintendo Switch向けには7月25日発売予定だ。PC/PS5/Xbox Series X|Sのデラックス・エディション購入者向けには、先行アクセスが開放されている。
