NVIDIAは1月4日、テック系展示会「CES 2023」にて『The Day Before』の最新映像を公開した。PC（Steam）向けに、日本時間3月2日の発売を控える本作。しかし新たな映像でもゲームプレイがほとんど確認できないことで、一部ユーザーの不安を招いているようだ。
『The Day Before』は、ゾンビパンデミック後の危険なアメリカを舞台とした、オープンワールドサバイバルMMOだ。高層ビルが建ち並ぶ都会から自然広がる田舎まで、さまざまな環境を擁する広大なマップが用意され、そのなかではゾンビが徘徊。プレイヤーは仲間とともに探索し、食料や武器などの物資を獲得しながら、またゾンビや敵対するほかのプレイヤーと戦いながらサバイバルをおこなうこととなる。さらにプレイヤーらは、特定の場所にコロニーを作ることが可能。コミュニティ内で交流したり、戦利品を売買したりできるという。
発売日が近づくなか、このたび本作の新たなゲーム映像がお披露目された。「CES 2023」およびNVIDIA GeForce公式YouTubeチャンネルにて独占公開された動画には、4K解像度でレイトレーシングを有効化したゲーム映像が収録。荒廃した町やゾンビとの戦闘が美麗なグラフィックで描かれている。
一方で動画のコメント欄には、発売の迫る本作へのユーザーの“不安”も数多く寄せられることになった。主に、発表されてきたようなゲーム内容がリリース時に本当に実装されているのかが疑問視されている。たしかに動画で確認できるゲームプレイは、キャラの移動とゾンビへの銃撃のみ。ロケーションを映すだけのシーンも多い。今回の動画は映像としては美麗ながら、ゲームプレイについて不明瞭な点がユーザーの不安の一因となっているようだ。
また今回の動画の前から、開発元がゲームプレイ映像を一向に明かさなくなった点は不安視されている。本作のゲームプレイ映像がお披露目となったのは、2021年4月のこと。13分間の映像では戦闘のほか、車両での移動シーンやアイテムの収集などさまざまな要素を確認できた。さらに2022年1月にもゲームプレイ紹介動画が公開。夜のタイムズスクエアの街並みなどが確認できる映像であった。しかしその後、ゲームプレイ動画は公式から投稿されなくなってしまった。
そして本作はもともと2022年6月に発売予定であったものの、同年5月にゲームエンジンをUnreal Engine 5へ移行することが発表。2023年3月2日に発売延期となった。つまり、先述の2つの動画は、ゲームエンジンが移行する前の映像となるわけだ。移行後初となる今回のゲームプレイ動画に注目していたユーザーも多いだろう。にもかかわらず、ゲームプレイがほとんど確認できない内容であった点がユーザーの不安を強めているようだ。
＊開発元Fntasticによる今回の動画の告知
さらに今回の動画では、ゲームプレイ部分が不自然であるとの指摘もある。海外の人気YouTubeチャンネルForce Gamingは、今回の動画の戦闘シーンはカメラやエイムの挙動が滑らかすぎる、かつ、ぎこちないことから、実際にプレイヤーが操作しているようには見えないと指摘。さらに発砲時のマズルフラッシュのアニメーションも不自然だという。近年のゲームではマズルフラッシュのアニメーションは、数フレームにわたってエフェクトが用意されることが一般的。一方で今回の動画では1フレームしかエフェクトが確認できないそうだ。こうした不自然さは過去のゲームプレイ映像でも見られることから、ゲームの品質を隠そうとしているのではないかとの見解をForce Gamingは示している。
くわえて、過去には本作開発元Fntasticの、“ボランティア”に頼った運営方針が物議を醸したことがある（関連記事）。同スタジオのゲーム開発においては、幅広い業務を金銭報酬のないパートタイムボランティアが担当しているという。重要部分に無償のボランティアが開発参加しているであろう点から、『The Day Before』の開発進捗や最終的なクオリティを懸念する声も寄せられていた。そうした背景があるなかで公開された今回の動画を見て、疑念を深めたユーザーもいるだろう。
ただ今回の動画は、NVIDIAがお披露目した映像だ。ゲームプレイよりもグラフィックの美麗さを伝えるための、技術デモとしての側面もあるだろう。本作はリリースまでまだ約2か月あり、その間に開発元Fntasticから改めて公式トレイラーが公開されるかもしれない。
本作はSteamのウィッシュリスト数上位を昨年5月頃から長きにわたって堅守していたタイトル。現状1位の座は『ホグワーツ・レガシー』に譲っているものの、本稿執筆時点でも1位と僅差で2位を維持している（SteamDB）。期待が大きいからこそ、不安も大きいのだろう。
『The Day Before』はPC（Steam）向けに、日本時間3月2日に発売予定。クラウドストリーミングサービスGeForce NOWにも対応する見込み。またSteamストアページによると、日本語表示にも対応予定となっている。
