『マインクラフト』利用の非公式NFTプロジェクトにて詐欺疑惑騒動が勃発。1億5000万円相当の売上直後に公式サイトなどが消失

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『マインクラフト』を利用したNFTプロジェクト「Blockverse」が、疑惑の渦中に立たされている。1億5000万相当のNFTを販売した直後に、公式サイトやゲームサーバーを停止し一時完全沈黙してしまったのだ。開発チームは後日釈明の発表をしたものの、ユーザーによる追求は続きそうだ。海外メディアPC Gamerが報じている。


「Blockverse」は、人気サンドボックスゲーム『マインクラフト』を利用したNFTプロジェクトだ。NFTとはNon-Fungible Token(非代替性トークン)の略。簡単にいえば、ブロックチェーン技術を用いて画像などのデジタルデータに所有権の証明を発行する技術だ。ユーザーはNFTとして発行されたキャラクター兼アカウントをイーサリアムで購入し、「Blockverse」に参加するシステムとなっている。つまり、「自分専用の唯一性あるキャラクター」なる価値が、NFT技術によって仕組み上保証されるわけだ。

プレイヤーたちは購入したNFTを利用して、専用の『マインクラフト』サーバーにログイン。ほかのプレイヤーたちと対人戦を繰り広げる仕組みだ。また、同プロジェクトは「Play to Earn(遊んで稼げる)」として、ゲームを遊ぶことで収益を得られるシステムになると謳っている。


「Blockverse」は、今年1月13日に正式発表され、瞬く間に多くのユーザーの注目を集めた。その後公式Discordサーバーが開設され、開発・運営チームがユーザーと質疑応答する「Ask Me Anything(なんでも聞いて)」企画をTwitter上で実施。1月24日には約1万のNFTキャラクターの完売を報告し、専用『マインクラフト』サーバーも立ち上がるなど順調な滑り出しを見せていた。しかし、その直後に公式サイト、公式Discordサーバー、専用『マインクラフト』サーバーがいずれも停止。運営チームからの発表もなく、ユーザーたちが騒然とする事態が発生したのだ。

同プロジェクトのNFTは、ひとつあたり0.05ETH(イーサリアム)で販売されていた。記事執筆現在のレートでいえば、約1万5000円となる。それが約1万個売れたとなれば、「Blockverse」運営は500ETH(約1億5000万円相当)の売上を一瞬にして得たことになる。多額の資産を得た直後の「Blockverse」の“失踪”に、ユーザーたちは詐欺の可能性を強く認識しただろう。しかし、沈黙から数日後の1月29日には「Blockverse」運営チームが声明を発表した。


同声明によれば、今回の公式サイトや一連のサーバー停止の理由は「ユーザーからの嫌がらせ」が原因だったという。「Blockverse」チームは、次なる段階の開発を進めている最中だったと主張。しかしながら、さまざまな問題でユーザーの不安や疑念が募っている点に気づけなかったとしている。不安や疑念というのは具体的には、専用『マインクラフト』サーバーの収容人数の少なさや、ETHの取引にまつわる手数料(ガス代)の高さ、そして「遊んで稼げる」システムを支える根幹になると思われる、ゲームプレイで得られるトークン「$DIAMONDS」に現状では使い道がないなどの問題が挙げられている。

同チームはそうした問題について「問題点の多くは対処しようがない」とする旨を伝えている。ETHの手数料のコントロールは難しく、『マインクラフト』サーバー収容人数の少なさは、ゲーム側の技術的限界のせいだとしている。また、$DIAMONDSについても「プロジェクトローンチ後すぐに使い道ができるとは言っていない」と強調した。

そして「Blockverse」チームは、ユーザーの不満が開発・運営チームへの脅迫や嫌がらせ、個人情報晒し(Doxing)に発展したと主張。そうした反応を受けてチームがパニックに陥り、「つい衝動的にサーバーを停止してしまった」としている。チームは「コミュニティに濡れ衣を着せられたことには落胆した」としつつも、近日のサーバー復旧と予定通りの開発継続をすると告げている。発表は一貫して、あくまでも「売上を持って逃げた」わけではなく、ユーザーの問題行動に起因すると主張する内容だ。


一方で、不信感の募るユーザー側も対策に打って出ている。「Blockverse」ユーザー主導のDiscordサーバーでは、1月26日前後より「Blockverse」の裏側を明らかにする調査が進行しており、まるで探偵団の如き様相だ。各チャンネルでは、仮想通貨のやりとりの足跡やSNS/Discord上でのチャットログなどの証拠や議論が行き交い、開発・運営チームの身元の追求および信頼性の検証が進められている。同コミュニティメンバーはPC Gamerに向け、「Blockverse」の背後にいるメンバーについてさまざまな証拠があるとコメント。「逃げ切れないとわかったので、今回の声明を出したのだろう」との見解を示している。

また同誌は、上述のユーザーコミュニティと「Blockverse」チームの間で、コミュニティへの同プロジェクトの譲渡の交渉が進行中であると伝えている。「Blockverse」チームはコードなどの受け渡しは認めたものの、500ETHの売上については譲渡を拒んでいるそうだ。また、別のNFTゲームプロジェクト「NFT Worlds」運営元であるArkDevも、プロジェクト譲渡先として浮上しているとのこと。「Blockverse」が信頼を取り戻せるかどうかを含め、プロジェクトの先行きは不透明な状態だ。


また、今回の一件はユーザーたちのNFTに対する印象にも影響しそうだ。NFTは、その投機性などから詐欺に利用されるケースもあり、また悪質な事業者によるアセットの無断盗用なども発生している。また、そのままプロジェクトを放棄してしまう例もある。そのため、「NFTは怪しい」とのイメージが付き拒否感を抱くユーザーも多い。また、運用に伴う電力消費などに起因する環境負荷への懸念も批判を集める要因のひとつだ。そうした背景もある中、『マインクラフト』という人気作に絡む非公式NFTプロジェクトが起こした騒動は、ユーザーの不信感をさらに高めてしまいかねない。

一方で最近では、コナミやユービーアイソフトなど、大手ゲームメーカーもNFT事業に乗り出している(関連記事)。NFTアートの販売はさておき、技術そのものとしてはゲームやメタバースとの親和性や可能性があるのも確かだ。しかし、多くのユーザーがNFTに向ける疑念が晴れる日は、少なくともすぐには来なさそうだ。

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