『マインクラフト』のコンソール移植版の開発元として知られる4J Studiosは9月12日、同社の新作タイトル『Reforj』を発表した。現在Steamにてストアページが公開されている。同作については『マインクラフト』の続編に見立てた期待の声が多くあったものの、4J Studiosはこの見方を否定。『Reforj』は『マインクラフト』とはまったく異なるゲーム体験になるとしている。海外メディアRock Paper Shotgunなどが報じている。
4J Studiosは2005年に設立された、イギリスに拠点を構える開発会社だ。実績として『マインクラフト』のコンソール版移植を主に手掛けていることで知られており、2012年の『Minecraft: Xbox One Edition』を皮切りに、2017年の『Minecraft: Nintendo Switch Edition』まで数多くの『マインクラフト』のコンソール機種への移植を手掛けてきた。それ以前にも、2007年には『The Elder Scrolls IV: Oblivion』のPS3版や2008年に『バンジョーとカズーイの大冒険』のXbox 360版などの開発を担当。コンソール機種への移植を多く手掛けてきたベテランスタジオだ。
そんなスタジオの完全新作として9月12日、『Reforj』が発表された。ジャンルとしてはオープンワールド・マルチプレイヤー・サバイバル・サンドボックス と称されている。発売時期は未定となっており、現在はプレアルファ版が限定配布されているようだ。
なお本作の開発中のものとみられる映像は5月23日にYouTube上で公開されていた。物理演算に応じて挙動するブロックや、広大なオープンフィールド、ボクセル状のグラフィックなどが確認でき、『マインクラフト』を彷彿とさせる内容となっている。
本作は『Reforj』は同社の自社製エンジンであるElements Engineを使用して開発が行われているといい、5月に公開された動画のタイトルもあくまで「Elements Engineの紹介」となっている。その使用例として後の『Reforj』となる新作の存在がサプライズ的に発表されたかたちのようだ。
この動画は大きな話題を呼んでいたようで、本稿執筆時点で動画の再生数は約48万回再生以上を記録。そして動画に寄せられたコメント欄でも、トレイラーの内容から「ついに『マインクラフト2』が出る」としたコメントが多く見られる。5月時点ではくだんの新作が『マインクラフト』の続編であるということは動画内でも一切明言されていない。とはいえ、ボクセルスタイルの3Dサンドボックスであるということに加え、『マインクラフト』のコンソール移植版を手掛けた会社の新作ということもあり、ファンの期待のあらわれから、そういった見方をするユーザーが一定数存在していたのだろう。
この盛り上がりについては、4J Studios 側も予想外であったようだ。4J Studiosの会長であるChris van der Kuyl氏と開発に携わるJoseph Garrett氏は9月17日に公開されたGamesIndustry.bizへのインタビューで語っており、Kuyl氏は「(前述したYouTube動画は)コアな4J Studiosファンしか見てくれないと思っていた」と述べている。大々的に新作を発表するつもりもあまりなかったのだろう。
ちなみにGarrett 氏はマインクラフトYouTuberのStampyとしても知られており、同氏のYouTubeチャンネル登録者は1000万人以上を記録するなど多大な人気を博している。同氏は2024年1月に4J Studiosに加入。現在は『Reforj』の開発チームの一員として開発に取り組んでいるという。
そんな『マインクラフト』にかかわりの深い会社、そして人気マインクラフトクリエイターがタッグを組み開発に携わっているということもあり、4J Studios自身も『Reforj』が『マインクラフト』と比較されることは避けられないだろうと認識しているようだ。しかし、インタビュー内で改めて「『マインクラフト2』を作ろうとはしていない」と明言している。4J Studiosの開発チーム全員が『マインクラフト』の大ファンであるとしつつも、すでに『マインクラフト』は絶大な人気を誇っており、新たな『マインクラフト』を作る必要性は感じていないとも語っている。
そして『Reforj』は『マインクラフト』と直接の関係はないことを強調。加えて『マインクラフト』とは非常に異なるプレイ体験となることが明かされている。多くのファンの見立てとは異なり、4J Studiosとしては『Reforj』を単純に『マインクラフト』の“続編”のようなものにはするつもりがない、ということのようだ。
なお、『Reforj』の開発において、UnityやUnreal Engineといった既存のエンジンではなく自社製エンジンを使用していることについてもインタビュー内で言及されている。同作はXbox Series S世代での動作に焦点を当てているとのこと。一般的にパフォーマンスが安定しない傾向にあるというオープンワールドサンドボックスゲームにおいて、自社製エンジンを使用することで同作は安定的に60fpsのパフォーマンスを実現できていると語っている。さらにレイトレーシング機能やセーブデータの高速読み込みにも対応すると語っており、4J Studiosで培われた移植のノウハウと高い技術力が生かされたものになるのだろう。
ちなみに本稿執筆時点で『Reforj』のリリース時期は未定となっている。対応プラットフォームは未定ながら、Steamストアページが公開中。『マインクラフト』とは異なる方向性で打ち出される同作の、今後の続報に期待したいところだ。