Steamにてお絵かきゲーム『Draw & Guess』が謎の大ブームを巻き起こす。お絵描き伝言ゲームの同接プレイヤー数が150人から3万人へ爆発

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お絵描き伝言ゲーム『Draw & Guess』がSteamの新たなトレンドになっている。ピーク時の同時接続プレイヤー数は3万5000人を超えて、直近24時間以内の同時接続プレイヤー数では25位以内にランクインするなど好調な作品だ。お絵描きゲームは国内外問わず、ブラウザやアプリゲームなどで数多く存在しているジャンル。そんななか、本作は謎の盛り上がりを見せている。
 

 
『Draw & Guess』は独立系開発会社Acureusが開発・販売をおこなうお絵描きゲームだ。今年3月21日にSteamで正式リリースされた作品で、伝言ゲームとクイズの2種類のゲームモードをプレイすることができる。日本語にも対応済みだ。

伝言ゲームは4~16人でプレイ可能。各プレイヤーには単語でお題が与えられ、絵だけでお題を描写する。描き終わったら右隣の人に絵を回して、自分は左のプレイヤーから回ってきた絵を受け取る。受け取った絵に何が描いてあるのか推測し、自分も同じお題について描き、また右の人に回す。ゲームが終了すると投票フェーズに入り、描いた絵を全員で鑑賞。最後の人までお題が正しく伝達したプレイヤーに投票して、点数を競う仕組みだ。

もうひとつのモードであるクイズは、2~16人でプレイ可能だ。親プレイヤーがお題に沿って絵を描いて、ほかのプレイヤーが早押しでお題を推測して当てるルールとなっている。有名どころでいえば、ハンゲの運営するブラウザゲーム『あつまれ!おえかきの森』に近いルールだ。
 

 
また『Draw & Guess』のユニークな点として、お題を自由にカスタマイズすることができる。というのも本作は、デフォルトでは「どうぶつ」か「たべもの」のお題セットしか選択できない。しかし『Draw & Guess』では自分でお題のセットを作成して、単語を登録することも可能だ。さらにSteamのワークショップで、ほかのユーザーが作成したお題のセットをダウンロードして使用することもできる。たとえば「アトリエシリーズ」や「モンハンライズ」、「ポケモン」などゲームにまつわる単語セットが人気だ。

Steamのユーザーレビューでは「非常に好評」となっており、実際に遊んだ人から高い評価を受けている。SteamDBでプレイ人口の推移を見てみると、リリース直後の同時接続プレイヤー数は最大でも150人程度だった。ところが5月下旬から急に人気を伸ばし、6月から7月にかけてプレイヤー数が1000人から8000人に伸びを見せているかたちだ。そして7月下旬には、一挙に人口が増え1万人規模のプレイヤー数に到達。7月27日には同時接続プレイヤー数が3万5000人を突破した。本稿執筆時点での、直近24時間のピークプレイヤー数で見ると24位にランクインしている。Steamでの存在感が増してきているタイトルといえそうだ。
 

 
本作のメインのプレイヤー層はアジア圏、とくに中国に集中している。同時接続プレイヤー数のピークは中国標準時で22時くらいとなっているようだ。またワークショップの投稿も中国語のものが多く、サーバーブラウザーでもルームの大半は中国からのプレイヤーという印象。ただしSteamストアページでは日本語のレビューも見られ、中国国内を中心に広くアジア圏で流行しているといえそうだ。なお、こうしたプレイヤー層の広がりを受け、6月のアップデートでは中国語のローカライズを見直す措置がとられている。

リリース後しばらくして人口が急に伸びたゲームとしては、ほかに『Among Us』の例が挙げられる。こちらはTwitchのインフルエンサーを起点に人気になったタイトルだ。ところが、『Draw & Guess』については、Twitchでの視聴者がほとんど存在しない。Twitchでほとんど試聴されていない『Draw & Guess』には、別の拡散経路が考えられそうだ。

本作の中国語でのタイトルは『你画我猜』で、ちょうど『Draw & Guess(描画と推測)』と同じニュアンスのタイトルだ。実は、中国では10年ほど前に同名のアプリゲームが流行したという。それ以来、「你画我猜」は描いた絵を推測して当てる「お絵かきゲーム」のジャンル名として認知されてきたのだ。たしかに調べてみると、『Draw & Guess』のほかにも「你画我猜」の名前を冠するお絵かきアプリゲームはいくつか見つかる。

『Draw & Guess』がとくに中国で人気である理由は、もともと認知度の高いジャンル名とぴったりの名前だったことが理由かもしれない。「你画我猜」が従来より人気のジャンルだったことから、Steamでも同名のゲームが親しまれている可能性はありそうだ。お絵かきに丁度いいPCゲームとして、口コミ的に広がっているのだろう。
 

 
ちなみに中国の動画サイトbilibiliでは『Draw & Guess』はそこそこ人気のゲームである。しかし超絶人気な動画ジャンルというわけでもない。やはり『Draw & Guess』のブームは作品単体としての爆発力というよりは、「你画我猜」ジャンルの知名度によるところが大きいと見て良さそうだ。

本作はお絵描きゲームということで、コミュニケーションが重要な作品だ。ルームは中国語のものがほとんどで、日本人が野良で参加するのは難しそうではある。しかしSteamのユーザーレビューからも「非常に好評」な作品であることは間違いない。気になった方はフレンドを誘って一緒にお絵描きをしてみてはどうだろうか。

なお開発チームの告知によれば、現在ネットワークの安定性について問題が見られるとのフィードバックが多く届いているという。本作はSteam ネットワーキングを利用しているため、ゲームのホストの接続が切れてしまうと、部屋ごと切断されてしまうという課題を抱えているようだ。開発チームは、簡単に解決できる問題ではないとしつつ、改善に向け取り組む意欲を見せている。

『Draw & Guess』は現在Steamにて310円で配信中だ。

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