ヴァンパイア・バトルロイヤルゲームが、テンセント傘下スタジオで開発中。「Vampire: The Masquerade」IP作品

 

スウェーデンのゲームスタジオSharkmobは10月31日、テーブルトークRPGシリーズ「Vampire: The Masquerade」IPを使ったバトルロイヤル・マルチプレイアクションゲームを開発中であると発表した。チェコ・プラハの街を舞台に、ヴァンパイアたちの派閥争いが繰り広げられる。対応プラットフォームは未発表。リリース時期は2021年後期を予定している。


公式サイトの紹介文によると、ソロもしくは複数人チームにてプレイ可能。さまざまな武器、ヴァンパイア能力、そして血の力を駆使し、ライバル派閥やヴァンパイアを敵視する者たちと戦い、闇夜の激戦を生き抜くのだ。上のティザー映像では、建物の壁を颯爽と登っていくウォールクライミングや、地上・屋上での近接武器・銃器を使った戦闘、そしてヴァンパイアを狩る謎の兵士の姿が確認できる。なお兵士の盾には、原作世界においてヴァンパイアハンターとして知られる「Second Inquisition」のシンボルが描かれている。

「Vampire: The Masquerade」はWhite Wolf社によるTRPGシリーズ。原作では、人前での能力使用や吸血行為を禁じる「マスカレードの掟」を定めたヴァンパイア組織「カマリリャ」を中心とした物語が描かれる。ヴァンパイアたちが血への欲求と渇きがもたらす葛藤に苛まれつつ派閥争いに身を投じていく、ヴァンパイアの内面やヴァンパイア社会の政治的側面を見どころとし、海外でカルト的人気を誇るシリーズだ。

原作のヴァンパイアには複数の氏族があり、それぞれ強みが異なる。強靭な肉体を持つ格闘タイプのBrujah、魔術の扱いに長けたTremere、身体を獣のように変異させるGangrel。狂気にとらわれており、ヴァンパイアの中でも特筆した洞察力を発揮するMalkavian、高い社交性によって人間社会に溶け込むToreadorなど。Sharkmobの新作にて、こうした氏族の特徴がどう活かされるのか、続報が待たれるところである。


Sharkmobは、UbisoftのMassive Entertainmentおよび『HITMAN』シリーズで知られるIO Interactiveの元スタッフが2017年に設立したスタジオ。CEOは、Massive Entertainmentの元CEOであり、『ディビジョン』のエグゼクティブ・プロデューサーでもあったFredrik Rundqvist氏が務めている。

同スタジオは2018年の時点で、カルト的人気を誇るIPを使ったゲームに取り組んでいると伝えていた(VentureBeat)。察するに、今回発表されたバトルロイヤルゲームのことを指していたのではないだろうか。更新された公式サイトでも、「Vampire: The Masquerade」を「Cult Classic IP」と表現している。なお2019年には中国テンセントがSharkmobを買収(GamesIndustry.biz)。テンセントの資金力・技術力を活かしつつ、開発が進められているのだろう。

Sharkmobは「Vampire: The Masquerade」のバトルロイヤルゲームとは別途、Unreal Engine製のAAA級タイトルをもう2つ制作中であるとのこと。片方はスウェーデン・マルメにあるスタジオが開発を主導、もう片方はロンドンのスタジオが開発を担当しているという。同スタジオはオンラインやソーシャル体験を含むアクションゲームを好んでいるとし、未発表のタイトルにも、そうした要素があると伝えている。

*Sharkmobのスタジオ紹介映像


「Vampire: The Masquerade」は海外で人気を根強い人気を誇り、これまでにもゲーム化やコミック化などマルチ展開されてきた。2015年にParadox Interactiveが、TRPG「Vampire: The Masquerade」のパブリッシャーWhite Wolfを買収してからは、ゲーム化プロジェクトが活発に。2021年以降にはParadox InteractiveよりアクションRPG『Vampire: The Masquerade – Bloodlines 2』が発売される予定。同IPの名を聞く機会は、来年以降増えていくことだろう。